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第十一章 聖王国の神子
第十二話 疑問
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バーナード騎士団長が、伴侶であるフィリップ副騎士団長の屋敷に泊まるのは、今では週に二日ほどになっていた。
そのことがフィリップには大いに不満だった。
以前は週の半分以上は通って来て下さっていたのに、今ではたったの週二である。
不満である。
そう言うと、彼は「毎日、拠点で会えるだろう」と言うのだけど、それとこれとは全く違う。
団長室でイチャつくことを、団長は絶対に許さないので、新婚らしい甘い雰囲気は、フィリップの屋敷でするしかないのだ。
フィリップの屋敷に来た時には、団長はとても優しくて、蕩けるくらい甘く愛し合うこともできる。
だけど、毎日はないと、彼はハッキリとフィリップに言った。
「お前が俺と釣り合うがために、“精力に満ち溢れる存在”になったのはいい。だけど、絶倫になるとは思ってもみなかった……」
どこか後悔している様子もあった。
そして三日ぶりに、本日バーナードがフィリップの屋敷を訪問してくれたのだ。
フィリップは、本当なら彼が部屋に入ると同時に抱きしめて、そのままベットに雪崩れ込みたいところだったが、以前、がっつきすぎだと責められて以来、フィリップはようやく「待て」を覚えたのだった。
笑顔で彼のコートを受け取りながら、「食事にしますか、お風呂にしますか」と聞く。
その言葉の後ろに、それとも「ベットに行きますか」と言わなかった自分を褒めて欲しかった。
「食事にしようか」
コートを受け取りながら、フィリップはうなずいた。
彼が来ると聞いていたため、すでに食事の準備は完璧だった。
即座にテーブルの上には、美味しそうな料理がずらりと並ぶのを、バーナードが驚いて眺めている。
「……早いな」
「いいえ、まだまだです」
褒められて嬉しそうに答えるフィリップ。なんだか、本当に犬めいてきたな。
バーナードは襟元を緩めながら、そう思った。
食事を終えて、二人でお茶をした後に、バーナードは浴室で身を清めていた。
ガウンをまとって戻ってきたバーナードの身を、フィリップはそっと抱きしめる。
「バーナード……」
もういいですよね。
もう充分「待て」をしていますよね。
そう言いたげな空気感。それに、気が付いたバーナードは小さく笑った。
「お前は……かわいいな」
その言葉に、「よし」と言われたような気持ちになったフィリップは、バーナードの頬に手をやり、優しく口づける。
バーナードの手が、フィリップのズボンにかかり、そしてそっと股間のすでに固く張り詰めているソレに手をやった時、フィリップは小さく呻いた。
「ああ、団長……」
「“精力に満ち溢れる存在”になって以来、お前は本当に元気だな……」
唇と唇を重ね、その身もぴったりと重ねる。
熱い吐息を吐く。
フィリップはバーナードのガウンの帯を解いた。そのしなやかで素晴らしい筋肉がついた身体に手をやり、口付けていく。
舐めるのが趣味かと、先日呆れたように言われたが、もはや、それは趣味ですと言わざるを得ないほど、彼の身体を唇で触れ、舌で舐めて愛でることが好きだった。
胸元からへそにかけて舌を這わせる。
「……ん」
そしてバーナードもすでに発情していた。彼のものも固く反り返り、先端を欲望に潤ませている。
彼は相変わらず淫らで、その身体も素晴らしかった。
“淫魔”になった後は艶やかさを増し、そしてエドワード王太子と自分の精力を受け取り続けているせいで、以前のような飢えを覚えることもなく満たされている。
そのことをフィリップは残念に思っていた。
満ち満ちてしまっている彼。
飢えて飢えて、切なげに自分を必死に求めるその姿も見てみたかった。
だが、今の状況で、それはあり得ないだろう。
満ち満ちているから、彼は週に二回しか自分の屋敷には来ない。
その他の日の夜には、いったい彼は何をしているのだろう。
ふと、フィリップは疑問を抱いた。
まさか、エドワード王太子の夢の中へ渡っているのでは……
「どうした、急に怖い顔をしているぞ」
「団長は……私のところに来ていない時は、殿下の夢の中へお渡りになっているのですか」
直球で聞いてしまった。
バーナードは否定した。
「呼ばれることもあるが、必ずしもそうではない」
呼ばれることがあるのか……
暗い表情を見せるフィリップに、バーナードはその肩に手をやった。
「話をするだけだ。仕事の話が多いぞ」
…………………仕事……?
「そうだ。寝てはいない。お前に誓っただろう。今の騎士団長の姿を取る時は、お前のものだと」
バーナードはフィリップの唇に唇を押し付けた。
「俺は誓いは守る」
殿下の夢へ渡ったとしても、寝ていないと聞いて、フィリップは少し驚く思いだった。
あの、どこか昏い眼差しでバーナードを見ている殿下が、バーナードに手を出していないのだ。
それと共に、喜びが胸に溢れる。
「団長」
ぎゅっと彼を強く抱きしめる。
途中から「強く抱きすぎだ」とまた怒られたが、ずっと抱きしめていたかった。
その日も発奮してしまい、バーナードを朝まで抱き続けて、彼に怒られてしまった。
だが、フィリップは後悔していなかった。
けれど一方で、疑問が湧いた。
殿下の夢の中へ渡らない時、彼は一体何をしているのだろう。
そのまま、自分の夢の中で眠りについているだけなのか。
それとも…………
そのことがフィリップには大いに不満だった。
以前は週の半分以上は通って来て下さっていたのに、今ではたったの週二である。
不満である。
そう言うと、彼は「毎日、拠点で会えるだろう」と言うのだけど、それとこれとは全く違う。
団長室でイチャつくことを、団長は絶対に許さないので、新婚らしい甘い雰囲気は、フィリップの屋敷でするしかないのだ。
フィリップの屋敷に来た時には、団長はとても優しくて、蕩けるくらい甘く愛し合うこともできる。
だけど、毎日はないと、彼はハッキリとフィリップに言った。
「お前が俺と釣り合うがために、“精力に満ち溢れる存在”になったのはいい。だけど、絶倫になるとは思ってもみなかった……」
どこか後悔している様子もあった。
そして三日ぶりに、本日バーナードがフィリップの屋敷を訪問してくれたのだ。
フィリップは、本当なら彼が部屋に入ると同時に抱きしめて、そのままベットに雪崩れ込みたいところだったが、以前、がっつきすぎだと責められて以来、フィリップはようやく「待て」を覚えたのだった。
笑顔で彼のコートを受け取りながら、「食事にしますか、お風呂にしますか」と聞く。
その言葉の後ろに、それとも「ベットに行きますか」と言わなかった自分を褒めて欲しかった。
「食事にしようか」
コートを受け取りながら、フィリップはうなずいた。
彼が来ると聞いていたため、すでに食事の準備は完璧だった。
即座にテーブルの上には、美味しそうな料理がずらりと並ぶのを、バーナードが驚いて眺めている。
「……早いな」
「いいえ、まだまだです」
褒められて嬉しそうに答えるフィリップ。なんだか、本当に犬めいてきたな。
バーナードは襟元を緩めながら、そう思った。
食事を終えて、二人でお茶をした後に、バーナードは浴室で身を清めていた。
ガウンをまとって戻ってきたバーナードの身を、フィリップはそっと抱きしめる。
「バーナード……」
もういいですよね。
もう充分「待て」をしていますよね。
そう言いたげな空気感。それに、気が付いたバーナードは小さく笑った。
「お前は……かわいいな」
その言葉に、「よし」と言われたような気持ちになったフィリップは、バーナードの頬に手をやり、優しく口づける。
バーナードの手が、フィリップのズボンにかかり、そしてそっと股間のすでに固く張り詰めているソレに手をやった時、フィリップは小さく呻いた。
「ああ、団長……」
「“精力に満ち溢れる存在”になって以来、お前は本当に元気だな……」
唇と唇を重ね、その身もぴったりと重ねる。
熱い吐息を吐く。
フィリップはバーナードのガウンの帯を解いた。そのしなやかで素晴らしい筋肉がついた身体に手をやり、口付けていく。
舐めるのが趣味かと、先日呆れたように言われたが、もはや、それは趣味ですと言わざるを得ないほど、彼の身体を唇で触れ、舌で舐めて愛でることが好きだった。
胸元からへそにかけて舌を這わせる。
「……ん」
そしてバーナードもすでに発情していた。彼のものも固く反り返り、先端を欲望に潤ませている。
彼は相変わらず淫らで、その身体も素晴らしかった。
“淫魔”になった後は艶やかさを増し、そしてエドワード王太子と自分の精力を受け取り続けているせいで、以前のような飢えを覚えることもなく満たされている。
そのことをフィリップは残念に思っていた。
満ち満ちてしまっている彼。
飢えて飢えて、切なげに自分を必死に求めるその姿も見てみたかった。
だが、今の状況で、それはあり得ないだろう。
満ち満ちているから、彼は週に二回しか自分の屋敷には来ない。
その他の日の夜には、いったい彼は何をしているのだろう。
ふと、フィリップは疑問を抱いた。
まさか、エドワード王太子の夢の中へ渡っているのでは……
「どうした、急に怖い顔をしているぞ」
「団長は……私のところに来ていない時は、殿下の夢の中へお渡りになっているのですか」
直球で聞いてしまった。
バーナードは否定した。
「呼ばれることもあるが、必ずしもそうではない」
呼ばれることがあるのか……
暗い表情を見せるフィリップに、バーナードはその肩に手をやった。
「話をするだけだ。仕事の話が多いぞ」
…………………仕事……?
「そうだ。寝てはいない。お前に誓っただろう。今の騎士団長の姿を取る時は、お前のものだと」
バーナードはフィリップの唇に唇を押し付けた。
「俺は誓いは守る」
殿下の夢へ渡ったとしても、寝ていないと聞いて、フィリップは少し驚く思いだった。
あの、どこか昏い眼差しでバーナードを見ている殿下が、バーナードに手を出していないのだ。
それと共に、喜びが胸に溢れる。
「団長」
ぎゅっと彼を強く抱きしめる。
途中から「強く抱きすぎだ」とまた怒られたが、ずっと抱きしめていたかった。
その日も発奮してしまい、バーナードを朝まで抱き続けて、彼に怒られてしまった。
だが、フィリップは後悔していなかった。
けれど一方で、疑問が湧いた。
殿下の夢の中へ渡らない時、彼は一体何をしているのだろう。
そのまま、自分の夢の中で眠りについているだけなのか。
それとも…………
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