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【短編】
王宮副魔術師長の春 (中)
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街の中心部にある図書館で知り合ったカトリーヌと、マグルは非常に話が合った。
カトリーヌが手を伸ばした『異世界魔物妖精辞典』に、ちょうどマグルも手を伸ばしており、二人の手が触れ合ったところから会話が始まった。
非常に大きくてぶ厚い『異世界魔物妖精辞典』は、本棚から取り出すのも一苦労で、二人は一緒に力を合わせて棚から下ろし、一緒のテーブルについて一緒にページをめくって調べ始めた。
ちなみにカトリーヌは“妖精”の項目を調べ、マグルは“淫魔”の項目を調べていた。
「僕が“淫魔”の項目を調べるっていったら、カトリーヌは少し引いていたよ。まったく、バーナード、お前は反省しろ!!」
なぜかバーナードは怒られたが、黙っていた。
団長室のテーブルに、フィリップはお茶とお菓子を運び、マグルは遠慮なくお菓子のクッキーをボリボリ食べていた。
「相変わらず、フィリップ。お前の菓子選びのセンスはいいな。バーナード、お前も見習え」
叱られるばかりのバーナードは黙ってお茶を飲んでいた。
「それで、お二人は知り合ったんですか」
フィリップがマグルの前の椅子に座り尋ねると、マグルは頷いた。
「妖精学の古い本とか、僕も持っていたから彼女に貸してあげたんだ。カトリーヌのお義父さんも妖精学の本の収集家で大抵の本は持っているようだけど、ま、僕のコレクションには敵わないかな~」
マグルの鼻が少し高くなっていた。
マグルは書物と魔道具には金に糸目をつけずに集めていた。
彼の家は、古い本と魔道具でいっぱいだった。
「それで彼女は喜んで、僕の家と行き来しているうちに、僕達は付き合うようになったんだ!!」
そこでまたバーナードがマグルの手を握り「おめでとうマグル」と言い、フィリップも「おめでとうございます、マグル」と言っていた。
「いや、君達にそんなに祝福されると嬉しいけど。でも、問題はさー」
そこでマグルは深くため息をついた。
「お義父さんに反対されまくっていることなんだよね」
フィリップとバーナードは顔を見合わせていた。
カトリーヌの姉、セリーヌ=マクレイガーは、妖精の国の妖精王子と結婚した。
いわゆる異種族婚である。
セリーヌが妖精の国へ渡る時、彼女の父は冒険者を雇い、なんとか止めようとしたらしい。
だがあの娘は妖精王子の手を取って、妖精の国へと渡ってしまった。
当然のことながら、愛娘を失った父親は嘆き悲しんだ。
さすれば一人手許に残されたカトリーヌは、決して手放せないはずだ。
マグルとカトリーヌの恋愛ハードルが高くなっているのは仕方のない話だった。
「私とマクレイガー教授は釣り倶楽部でご一緒したことがある」
そうバーナードが言うと、マグルは驚いていた。
「お義父さんは釣り倶楽部メンバーなの!!」
「そうだ。古株と言ってもいい」
「……釣り倶楽部って何気に人脈すごいよね」
「彼は話せばわかる人だ。マグル、年齢差もあるから最初は反対されるだろう。だけど、お前が誠実にカトリーヌ嬢とお付き合いを続けていけば、いつかきっと、わかってもらえると思う」
「そうかな」
「そうだ。それに」
バーナードはしっかとマグルの目を見て言った。
「お前は誠実でいい奴だ。俺はよく知っている」
「バーナード!!!!」
親友のその言葉に、マグルは感激して目に涙を浮かべ、ひしとバーナードの身体にしがみついた。
「俺も、俺もバーナードのことをいい奴だと思っているぞ。お前は心の友だ!!」
「ああ」
騎士団長と王宮副魔術師長が友情を温め合っているのを、副騎士団長フィリップは生温かく見守っているのだった。
カトリーヌが手を伸ばした『異世界魔物妖精辞典』に、ちょうどマグルも手を伸ばしており、二人の手が触れ合ったところから会話が始まった。
非常に大きくてぶ厚い『異世界魔物妖精辞典』は、本棚から取り出すのも一苦労で、二人は一緒に力を合わせて棚から下ろし、一緒のテーブルについて一緒にページをめくって調べ始めた。
ちなみにカトリーヌは“妖精”の項目を調べ、マグルは“淫魔”の項目を調べていた。
「僕が“淫魔”の項目を調べるっていったら、カトリーヌは少し引いていたよ。まったく、バーナード、お前は反省しろ!!」
なぜかバーナードは怒られたが、黙っていた。
団長室のテーブルに、フィリップはお茶とお菓子を運び、マグルは遠慮なくお菓子のクッキーをボリボリ食べていた。
「相変わらず、フィリップ。お前の菓子選びのセンスはいいな。バーナード、お前も見習え」
叱られるばかりのバーナードは黙ってお茶を飲んでいた。
「それで、お二人は知り合ったんですか」
フィリップがマグルの前の椅子に座り尋ねると、マグルは頷いた。
「妖精学の古い本とか、僕も持っていたから彼女に貸してあげたんだ。カトリーヌのお義父さんも妖精学の本の収集家で大抵の本は持っているようだけど、ま、僕のコレクションには敵わないかな~」
マグルの鼻が少し高くなっていた。
マグルは書物と魔道具には金に糸目をつけずに集めていた。
彼の家は、古い本と魔道具でいっぱいだった。
「それで彼女は喜んで、僕の家と行き来しているうちに、僕達は付き合うようになったんだ!!」
そこでまたバーナードがマグルの手を握り「おめでとうマグル」と言い、フィリップも「おめでとうございます、マグル」と言っていた。
「いや、君達にそんなに祝福されると嬉しいけど。でも、問題はさー」
そこでマグルは深くため息をついた。
「お義父さんに反対されまくっていることなんだよね」
フィリップとバーナードは顔を見合わせていた。
カトリーヌの姉、セリーヌ=マクレイガーは、妖精の国の妖精王子と結婚した。
いわゆる異種族婚である。
セリーヌが妖精の国へ渡る時、彼女の父は冒険者を雇い、なんとか止めようとしたらしい。
だがあの娘は妖精王子の手を取って、妖精の国へと渡ってしまった。
当然のことながら、愛娘を失った父親は嘆き悲しんだ。
さすれば一人手許に残されたカトリーヌは、決して手放せないはずだ。
マグルとカトリーヌの恋愛ハードルが高くなっているのは仕方のない話だった。
「私とマクレイガー教授は釣り倶楽部でご一緒したことがある」
そうバーナードが言うと、マグルは驚いていた。
「お義父さんは釣り倶楽部メンバーなの!!」
「そうだ。古株と言ってもいい」
「……釣り倶楽部って何気に人脈すごいよね」
「彼は話せばわかる人だ。マグル、年齢差もあるから最初は反対されるだろう。だけど、お前が誠実にカトリーヌ嬢とお付き合いを続けていけば、いつかきっと、わかってもらえると思う」
「そうかな」
「そうだ。それに」
バーナードはしっかとマグルの目を見て言った。
「お前は誠実でいい奴だ。俺はよく知っている」
「バーナード!!!!」
親友のその言葉に、マグルは感激して目に涙を浮かべ、ひしとバーナードの身体にしがみついた。
「俺も、俺もバーナードのことをいい奴だと思っているぞ。お前は心の友だ!!」
「ああ」
騎士団長と王宮副魔術師長が友情を温め合っているのを、副騎士団長フィリップは生温かく見守っているのだった。
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