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第七章 加護を外れる
第十三話 彼らの望み(下)
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「団長の子供が欲しいです」
フィリップが自分も叶えて欲しい願いがあると告げ、そしてそれを聞いた時、バーナードは狼狽した。
「何を言っている。……男同士だ。子など孕めない。それに、前にも言っただろう。俺は養子を迎えるつもりだ。フィリップ。そんな世迷言を言うんじゃない」
「…………」
フィリップは、怒った顔でバーナードを見つめた。
「私が望みを言うのは自由でしょう。叶えられるかどうかは、ご隠居様が決めることです」
バーナードはため息をついて、前髪を掻き上げた。
「無理だ。いいか、俺達は男同士だ。男は子を産めない」
「そう、バーナード殿の言っていることは間違いない。男は子を産めない」
ご隠居様と呼ばれる大妖精の老人は相槌を打つ。
「だが…………“魔”を帯びし者は特殊でな。実らせることができる」
その言葉を聞いた時、フィリップは満面に喜色を浮かべ、バーナードは衝撃を受けて動きを止めていた。
「実らせるというのは、どういうことですか?」
「木の股から生み落としたり、木の枝に実らせるのじゃよ。そういうことができる者もいる。お主がそれを望むなら……」
「望みます!!」
フィリップは食いつくが、バーナードは額に手をやり、ひどく困惑した様子で頭を振った。
「待て、フィリップ。木から実り、木の股から生まれるなど、それは人ではない。人ならざるものだ。そんなものを生むべきではない」
「団長の子供はかわいいでしょうね。前に執事のセバスさんに見せてもらったことがあるんです。犬におしめを取られて泣いている……」
その言葉に、サッとバーナードの頬が赤く染まった。
「そんなものまで見せられたのか!!」
「早く団長の子供が見たいです。是非、お願いします」
「フィリップ、ダメだ。過ぎた願いはその身を滅ぼすという。いいか、それは望んではいけないことだ」
そのバーナードの言葉に、フィリップはくるりと彼の方に向きかって言った。
「人の世の常識から外れてきているのだから、それを当てはめるのはもはや間違えていると思いませんか、バーナード」
「フィリップ……」
「愛しています、バーナード。だから、あなたの子供が欲しいです」
それに、静かに大妖精の老人は呟いた。
「それはワシが叶える望みではない。ワシはただ、可否を告げるだけだ。そして告げよう。そなたらなら、恐らく作ることが出来るだろう」
「団長、聞きましたか?」
「…………ああ」
「頑張りましょうね」
いったい何を頑張るというのだ。
その言葉に、部屋にいた一行は赤面する思いで彼らを眺めていた。
フィリップが自分も叶えて欲しい願いがあると告げ、そしてそれを聞いた時、バーナードは狼狽した。
「何を言っている。……男同士だ。子など孕めない。それに、前にも言っただろう。俺は養子を迎えるつもりだ。フィリップ。そんな世迷言を言うんじゃない」
「…………」
フィリップは、怒った顔でバーナードを見つめた。
「私が望みを言うのは自由でしょう。叶えられるかどうかは、ご隠居様が決めることです」
バーナードはため息をついて、前髪を掻き上げた。
「無理だ。いいか、俺達は男同士だ。男は子を産めない」
「そう、バーナード殿の言っていることは間違いない。男は子を産めない」
ご隠居様と呼ばれる大妖精の老人は相槌を打つ。
「だが…………“魔”を帯びし者は特殊でな。実らせることができる」
その言葉を聞いた時、フィリップは満面に喜色を浮かべ、バーナードは衝撃を受けて動きを止めていた。
「実らせるというのは、どういうことですか?」
「木の股から生み落としたり、木の枝に実らせるのじゃよ。そういうことができる者もいる。お主がそれを望むなら……」
「望みます!!」
フィリップは食いつくが、バーナードは額に手をやり、ひどく困惑した様子で頭を振った。
「待て、フィリップ。木から実り、木の股から生まれるなど、それは人ではない。人ならざるものだ。そんなものを生むべきではない」
「団長の子供はかわいいでしょうね。前に執事のセバスさんに見せてもらったことがあるんです。犬におしめを取られて泣いている……」
その言葉に、サッとバーナードの頬が赤く染まった。
「そんなものまで見せられたのか!!」
「早く団長の子供が見たいです。是非、お願いします」
「フィリップ、ダメだ。過ぎた願いはその身を滅ぼすという。いいか、それは望んではいけないことだ」
そのバーナードの言葉に、フィリップはくるりと彼の方に向きかって言った。
「人の世の常識から外れてきているのだから、それを当てはめるのはもはや間違えていると思いませんか、バーナード」
「フィリップ……」
「愛しています、バーナード。だから、あなたの子供が欲しいです」
それに、静かに大妖精の老人は呟いた。
「それはワシが叶える望みではない。ワシはただ、可否を告げるだけだ。そして告げよう。そなたらなら、恐らく作ることが出来るだろう」
「団長、聞きましたか?」
「…………ああ」
「頑張りましょうね」
いったい何を頑張るというのだ。
その言葉に、部屋にいた一行は赤面する思いで彼らを眺めていた。
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