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【短編】
騎士団長と南の島 (4)
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第四話 海を泳ぐ
「宿の話だと、今はシーズンオフに近いから、今夜からの宿泊は俺達だけのようだ」
「貸し切りということですね」
フィリップは青い目をきらめかせる。
水上コテージは名前の通り、海の水上に建てられた建物で、床にはガラス板が一部はめられていて、そこから下の海を泳ぐ魚の姿を見ることができた。そして、小さな舟が付けられており、コテージから直接海に漕ぎだすことまでできるのだった。
「早速、泳ぐか」
バーナードは言うや否や、服をぽいぽいと脱ぎ始める。
「……え?」
唖然とする顔のフィリップをよそに、バーナードは全裸で海の中に飛び込んでいた。
「……水着は……着ないんですか」
顔を水面に出したバーナードは、濡れた黒髪を掻き上げながら言った。
「言っただろう。宿に泊まっているのは俺達だけだ。この辺りで泳いでいるのは俺達だけだ。さっさと来い、フィリップ」
それに、フィリップも服を脱ぎ捨てると、彼の後を追って海の中に飛び込んだのだった。
バーナードは泳ぎも達者だった。フィリップの手を握りながら、水の中を泳ぎ進む。
潜っては色とりどりの魚を見て、そして水面に顔を出して、どの魚がなんという名前か教えてくれる。
二人で綺麗な海に浮かんで、笑い合っているこの時間が夢のようだった。
いつもなら、王国の騎士として忙しく働いているだろう時間帯に、彼と二人きりでいられるのだ。
彼の、引き締まった滑らかな肌の上を流れ落ちる水滴を見て、フィリップは無性に乾きを覚えた。
つい、後ろから抱きしめて、その首筋に噛みつく。
「おい」
驚いて、フィリップの金髪を掴むバーナードの手を取り、その甲に口づける。
「バーナード」
熱のこもった声でその名を呼ぶと、彼は仕様のないように笑ってフィリップの顔を見つめる。そして、フィリップの背に両手を回した。
甘く口づけてくる。
だからフィリップも彼の頬に唇に口づけを落としていった。
広い海の中、まるで二人きりしか世界にはいないようで、そして幸せだった。
海から上がった二人は、水のシャワーで身体を洗った後、立派な天蓋付きの寝台の上で愛し合った。
夕方になると、服を着て、食事に出かける。
舟をこぎ出し、受付の建物まで戻ると、食事処に案内される。
そこで立派な魚の塩焼きが出され、バーナードが魚のことを説明するのを聞きながら(右から左へ聞き流す技を覚えた)、フィリップは美味しい食事を取った。
「宿の話だと、今はシーズンオフに近いから、今夜からの宿泊は俺達だけのようだ」
「貸し切りということですね」
フィリップは青い目をきらめかせる。
水上コテージは名前の通り、海の水上に建てられた建物で、床にはガラス板が一部はめられていて、そこから下の海を泳ぐ魚の姿を見ることができた。そして、小さな舟が付けられており、コテージから直接海に漕ぎだすことまでできるのだった。
「早速、泳ぐか」
バーナードは言うや否や、服をぽいぽいと脱ぎ始める。
「……え?」
唖然とする顔のフィリップをよそに、バーナードは全裸で海の中に飛び込んでいた。
「……水着は……着ないんですか」
顔を水面に出したバーナードは、濡れた黒髪を掻き上げながら言った。
「言っただろう。宿に泊まっているのは俺達だけだ。この辺りで泳いでいるのは俺達だけだ。さっさと来い、フィリップ」
それに、フィリップも服を脱ぎ捨てると、彼の後を追って海の中に飛び込んだのだった。
バーナードは泳ぎも達者だった。フィリップの手を握りながら、水の中を泳ぎ進む。
潜っては色とりどりの魚を見て、そして水面に顔を出して、どの魚がなんという名前か教えてくれる。
二人で綺麗な海に浮かんで、笑い合っているこの時間が夢のようだった。
いつもなら、王国の騎士として忙しく働いているだろう時間帯に、彼と二人きりでいられるのだ。
彼の、引き締まった滑らかな肌の上を流れ落ちる水滴を見て、フィリップは無性に乾きを覚えた。
つい、後ろから抱きしめて、その首筋に噛みつく。
「おい」
驚いて、フィリップの金髪を掴むバーナードの手を取り、その甲に口づける。
「バーナード」
熱のこもった声でその名を呼ぶと、彼は仕様のないように笑ってフィリップの顔を見つめる。そして、フィリップの背に両手を回した。
甘く口づけてくる。
だからフィリップも彼の頬に唇に口づけを落としていった。
広い海の中、まるで二人きりしか世界にはいないようで、そして幸せだった。
海から上がった二人は、水のシャワーで身体を洗った後、立派な天蓋付きの寝台の上で愛し合った。
夕方になると、服を着て、食事に出かける。
舟をこぎ出し、受付の建物まで戻ると、食事処に案内される。
そこで立派な魚の塩焼きが出され、バーナードが魚のことを説明するのを聞きながら(右から左へ聞き流す技を覚えた)、フィリップは美味しい食事を取った。
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