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【短編】
騎士団長と会議は踊る (2)
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何度もバーナードは新型の“静寂の魔道具”を作動させ、その表示される数値が三十二個と変わらないでいることに、驚いていた。それどころか途中から数値の値が増えて三十四個になっていた。
「なんでこんな、俺達を盗聴するんだ」
額に手を当て、悩むような姿を見せる彼の背に、フィリップは手を這わせた。
その耳に口づけする。
「団長が強くて素敵で、そして新婚だからですよ」
「………………………………………」
バーナードはその意味がよく理解できるまで、しばらく時間がかかったようだった。
新婚の二人の様子をのぞきたいと思う者が相当数いるということだろう。
国際会議のはずなのに!!
苛立ったバーナードはフィリップに言った。
「マグルから持たせられた“静寂の魔道具”は全部作動させておけ。誰にも部屋の中の音を聞かせるな!!」
「はなからそのつもりです。団長」
フィリップは静かにそう答えていた。
バーナードは風呂に入ると言って、部屋付きの風呂に向かった。
しばらくしてフィリップが浴室に向かうと、彼は浴槽の中に入って少しだけリラックスしていた。
苛ついていた気持ちも少しは収まったようだった。
フィリップも服を脱いで一緒に浴室に入ろうとしているのを見て、茶色の目をすがめている。
「……入るつもりなのか」
「ええ。それにそろそろあなたも“飢え”ているんじゃないですか。二日間していないのですから」
先ほど、バーナードの方から口づけを求めてきたことがその証のように思えた。
彼の中の“淫魔の王女”の加護が、男を欲し始めている。
そしてそう指摘されたバーナードは、それを否定しなかった。
身を清めたフィリップは、すぐに浴槽に入るとバーナードの身体を抱きしめ、その唇を重ねる。
「ん……あ」
抵抗は見せずに素直に口づけを受け入れるが、彼は眉を寄せてこう言う。
「外に……聞こえないか」
「“静寂の魔道具”をあれだけ起動させているのだから、絶対に聞こえません。それに、マグルの持たせてくれた新型はおかしいんですよ」
クスクスと笑いながら、バーナードの頬に、耳に口づけを落としていく。その手は彼の素晴らしい張り詰めた筋肉に触れていく。際どい部分を触れられ、身をひくつかせる彼を、指と唇で愛していく。
「この部屋の音を聞かせない代わりに、妨害の音を流すことができるそうです。だから、私は王国国歌を流しておきました」
それにバーナードは声を上げて笑い、フィリップの唇に噛みつくように口づけた。
「あいつにはザッハトリア土産を買っていかないとな」
「ええ。羊毛細工が有名ですよ」
そして二人は貪るように口づけを交わし、浴槽の中で深く愛し合ったのだった。
「なんでこんな、俺達を盗聴するんだ」
額に手を当て、悩むような姿を見せる彼の背に、フィリップは手を這わせた。
その耳に口づけする。
「団長が強くて素敵で、そして新婚だからですよ」
「………………………………………」
バーナードはその意味がよく理解できるまで、しばらく時間がかかったようだった。
新婚の二人の様子をのぞきたいと思う者が相当数いるということだろう。
国際会議のはずなのに!!
苛立ったバーナードはフィリップに言った。
「マグルから持たせられた“静寂の魔道具”は全部作動させておけ。誰にも部屋の中の音を聞かせるな!!」
「はなからそのつもりです。団長」
フィリップは静かにそう答えていた。
バーナードは風呂に入ると言って、部屋付きの風呂に向かった。
しばらくしてフィリップが浴室に向かうと、彼は浴槽の中に入って少しだけリラックスしていた。
苛ついていた気持ちも少しは収まったようだった。
フィリップも服を脱いで一緒に浴室に入ろうとしているのを見て、茶色の目をすがめている。
「……入るつもりなのか」
「ええ。それにそろそろあなたも“飢え”ているんじゃないですか。二日間していないのですから」
先ほど、バーナードの方から口づけを求めてきたことがその証のように思えた。
彼の中の“淫魔の王女”の加護が、男を欲し始めている。
そしてそう指摘されたバーナードは、それを否定しなかった。
身を清めたフィリップは、すぐに浴槽に入るとバーナードの身体を抱きしめ、その唇を重ねる。
「ん……あ」
抵抗は見せずに素直に口づけを受け入れるが、彼は眉を寄せてこう言う。
「外に……聞こえないか」
「“静寂の魔道具”をあれだけ起動させているのだから、絶対に聞こえません。それに、マグルの持たせてくれた新型はおかしいんですよ」
クスクスと笑いながら、バーナードの頬に、耳に口づけを落としていく。その手は彼の素晴らしい張り詰めた筋肉に触れていく。際どい部分を触れられ、身をひくつかせる彼を、指と唇で愛していく。
「この部屋の音を聞かせない代わりに、妨害の音を流すことができるそうです。だから、私は王国国歌を流しておきました」
それにバーナードは声を上げて笑い、フィリップの唇に噛みつくように口づけた。
「あいつにはザッハトリア土産を買っていかないとな」
「ええ。羊毛細工が有名ですよ」
そして二人は貪るように口づけを交わし、浴槽の中で深く愛し合ったのだった。
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