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第五章 サキュバスの加護を持つ娘
第一話 騎士団長の悩み
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二週間に一度、騎士団長バーナードは王宮へ赴くことになっている。
名目は、王立騎士団の業務の報告であった。
実際、彼はその報告資料を毎回作成し、提出している。
だが、その提出はメインの業務ではなかった。
そう、二週間に一度の業務は、王太子エドワードの“最強王”の呪いを鎮めることであった。
“淫魔の王女の加護”を持つバーナードは、エドワードの巨根・絶倫を受け止めることのできる稀有な存在であった。
王立騎士団の騎士団長としての要職につきながらも、二週間に一度は王子の欲を慰めに伽に向かう。
現状、やむを得ないこととは思うが、どうにかならないものかとも思っていた。
バーナードは、王太子エドワードと体を重ねるようになって気が付いた。
この若く美麗な王太子が、“変態”であることに。
呪いが発現した当初、エドワードは、高級娼婦や男娼といった性技に長けた者達と数多、身体を重ねていた。そのためか、ストイックなバーナードにとっては耐えられない“変態”的行為を普通のものだと捉えているのかも知れない。
それもあって、最近では二週間に一度、王宮へ向かうことはすこぶる気が重かった。
特に、王太子エドワードから、言葉攻めや羞恥攻めということをされて、バーナードのプライドはがりがりと削られていた。
バーナードは今まで男として生きてきて、自分が女のように受け手となって身体を拓くようになったのは、“淫魔の王女”が彼に取り憑いて初めてのことだった。男同士でのセックスについては、騎士団にいたので耳にしていたことはあったが、まったく自分には無縁のことだと思っていた。
だからこそ、“淫魔の王女”が取り憑き、自分の身体が変わったことに驚き、慄き、そして最後にはようやく諦観を覚えた。自分の秘密を知るフィリップと、押し切られるように結婚までした。
そうした関係に加わったのが、巨根・絶倫の呪いを受けているエドワード王太子だった。
ただ抱かれるだけならばいいが、男のバーナードの羞恥を煽るような行為を好むエドワードに、精神的ダメージを受け続けるバーナードは、最近になって強く願うようになっていた。
早く、エドワードにふさわしいパートナーを見つけて欲しいと。
彼はもう、結婚相手のフィリップだけで自分は手一杯だと思い始めていた。
嫌がる様子を見せるバーナードを見て、親友で王立魔術師であるマグルは面白がっていた。
「殿下が変態とか、お前、不敬も極まることを言っているな、バーナード」
王宮のエドワードの元に行く前には、必ず“若返りの魔道具”を付けに、マグルの元を訪れることになっている。
眉間にくっきりと皺を寄せ、不機嫌そうな様子で椅子に座るバーナードを見て、マグルは「どうした」と聞いて、バーナードが「殿下が変態で困る」と答えたのだった。
「殿下の変態プレイってなんなんだよ、興味があるから教えてくれ」
その問いには、バーナードはぴたりと口を噤んでしまった。頬を赤らめ、目を逸らしている。
バーナードの今の姿は非常に凛々しく、男らしい体躯をしている。顔立ちも精悍なものといえた。実際、王立騎士団の騎士団長として働くバーナードである。本来、男に組み伏せられるような姿形はしていない。
その彼が恥じるように目を逸らす様子は、確かにそそるものがあった。
「……話せるわけがなかろう」
「ふぅん、話せないようなことをされているのか」
つい意地悪くマグルもそう言ってしまった。
王太子エドワードとのセックスは、二週間に一度という定められた間隔で行われていた。
バーナードと会わない間は、人造人間を使い欲望を慰めているという話は聞いているが、やはり“淫魔の王女の加護”持ちのバーナードとのセックスの良さとは比べものにならないらしい。
マグルは内心、この騎士団長バーナードの尻の穴か名器とは信じられない思いでいた。だが、エドワードが夢中になっているのであれば、それが真実なのだろう。
次期国王たるエドワードが、王立騎士団の騎士団長の身体に夢中とか……醜聞もいいところだと思うが、少し面白がる気持ちもマグルの中にはあった。
だが、それもそろそろ、ようやく終わりになりそうだった。
「……まぁ、お前の苦労もそろそろ終わる」
マグルはバーナードに言った。
「“サキュバスの加護”を持つ娘を見つけたんだ」
名目は、王立騎士団の業務の報告であった。
実際、彼はその報告資料を毎回作成し、提出している。
だが、その提出はメインの業務ではなかった。
そう、二週間に一度の業務は、王太子エドワードの“最強王”の呪いを鎮めることであった。
“淫魔の王女の加護”を持つバーナードは、エドワードの巨根・絶倫を受け止めることのできる稀有な存在であった。
王立騎士団の騎士団長としての要職につきながらも、二週間に一度は王子の欲を慰めに伽に向かう。
現状、やむを得ないこととは思うが、どうにかならないものかとも思っていた。
バーナードは、王太子エドワードと体を重ねるようになって気が付いた。
この若く美麗な王太子が、“変態”であることに。
呪いが発現した当初、エドワードは、高級娼婦や男娼といった性技に長けた者達と数多、身体を重ねていた。そのためか、ストイックなバーナードにとっては耐えられない“変態”的行為を普通のものだと捉えているのかも知れない。
それもあって、最近では二週間に一度、王宮へ向かうことはすこぶる気が重かった。
特に、王太子エドワードから、言葉攻めや羞恥攻めということをされて、バーナードのプライドはがりがりと削られていた。
バーナードは今まで男として生きてきて、自分が女のように受け手となって身体を拓くようになったのは、“淫魔の王女”が彼に取り憑いて初めてのことだった。男同士でのセックスについては、騎士団にいたので耳にしていたことはあったが、まったく自分には無縁のことだと思っていた。
だからこそ、“淫魔の王女”が取り憑き、自分の身体が変わったことに驚き、慄き、そして最後にはようやく諦観を覚えた。自分の秘密を知るフィリップと、押し切られるように結婚までした。
そうした関係に加わったのが、巨根・絶倫の呪いを受けているエドワード王太子だった。
ただ抱かれるだけならばいいが、男のバーナードの羞恥を煽るような行為を好むエドワードに、精神的ダメージを受け続けるバーナードは、最近になって強く願うようになっていた。
早く、エドワードにふさわしいパートナーを見つけて欲しいと。
彼はもう、結婚相手のフィリップだけで自分は手一杯だと思い始めていた。
嫌がる様子を見せるバーナードを見て、親友で王立魔術師であるマグルは面白がっていた。
「殿下が変態とか、お前、不敬も極まることを言っているな、バーナード」
王宮のエドワードの元に行く前には、必ず“若返りの魔道具”を付けに、マグルの元を訪れることになっている。
眉間にくっきりと皺を寄せ、不機嫌そうな様子で椅子に座るバーナードを見て、マグルは「どうした」と聞いて、バーナードが「殿下が変態で困る」と答えたのだった。
「殿下の変態プレイってなんなんだよ、興味があるから教えてくれ」
その問いには、バーナードはぴたりと口を噤んでしまった。頬を赤らめ、目を逸らしている。
バーナードの今の姿は非常に凛々しく、男らしい体躯をしている。顔立ちも精悍なものといえた。実際、王立騎士団の騎士団長として働くバーナードである。本来、男に組み伏せられるような姿形はしていない。
その彼が恥じるように目を逸らす様子は、確かにそそるものがあった。
「……話せるわけがなかろう」
「ふぅん、話せないようなことをされているのか」
つい意地悪くマグルもそう言ってしまった。
王太子エドワードとのセックスは、二週間に一度という定められた間隔で行われていた。
バーナードと会わない間は、人造人間を使い欲望を慰めているという話は聞いているが、やはり“淫魔の王女の加護”持ちのバーナードとのセックスの良さとは比べものにならないらしい。
マグルは内心、この騎士団長バーナードの尻の穴か名器とは信じられない思いでいた。だが、エドワードが夢中になっているのであれば、それが真実なのだろう。
次期国王たるエドワードが、王立騎士団の騎士団長の身体に夢中とか……醜聞もいいところだと思うが、少し面白がる気持ちもマグルの中にはあった。
だが、それもそろそろ、ようやく終わりになりそうだった。
「……まぁ、お前の苦労もそろそろ終わる」
マグルはバーナードに言った。
「“サキュバスの加護”を持つ娘を見つけたんだ」
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