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第4章 ちびっこ怪獣三匹、仲間と協力して戦利品を吟味する
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結論として、ウサギのお肉は美味しかった。
一羽じゃ足りないとコズエが気配探知でウサギを探しはじめ。
コズエの見つけたウサギをカエデが気配遮断を使ってこっそり近寄り捕まえだしたときにはどうしようかと震えた男性陣だったが。
「ウチの実家は田舎の山奥で、狩猟は生活の一部だったから、獲物の解体は小さい頃からよくやらされてたの」
とかなんとか。
木本先生がちゃちゃっと手際よく内臓を抜いて皮を剥いでお肉にしてしまうと、美味しそうに見えたのだから現金なものだ。
ウサギの形をしていたときは愛玩動物にしか見えなかったのに、解体されたウサギは見慣れた『お肉』だった。
「なっさけないなあ、男子」
「ねー。牛や豚だって、誰かがお肉にしてくれてるのにねー」
魔方陣に引きずり込まれたり、トレントと戦ったり。
そこそこお腹の空いていた男性陣は、木本先生と女の子たちがバーベキューよろしくウサギのお肉を焼きはじめると、あっさり陥落した。
逃げたことをごめんなさいして、片付けはするのでお肉をわけてくださいと頭を下げたのである。
「オレたちが情けないんじゃなくて、そっちがすごいんだって!」
ドロップ品の中にあった岩塩で味付けされたウサギ肉を頬張りながら、光太は解体の手伝いまでしていた女の子たちに、『なんでそんなことできんの?』と問いかける。
光太の勝手なイメージからすると、女の子は血を見れば悲鳴をあげ、小動物が殺されるところを見たりしたら、泣いてしまいそうだと思っていたのに。
ふたりはケロリとして、ウサギを『お肉』にする手伝いまでしていた。
普通はそんなことできないよな、と男の子たちに首を傾げられ、コズエとカエデは顔を見合わせる。
なんでと言われても、ふたりにとってはできて当たり前のことなのだ。
なぜなら。
「ウチ、おじいちゃんが猟師だからぁ」
「ウチも」
彼女らの祖父は、どちらも猟師だからだ。
もともと、祖父同士が友だちだったことから仲良くなったふたりである。
ふたりは、幼い頃から祖父母の家に遊びに行く度に猟師をしている祖父に連れられ、猟へと出掛けていた。
猟といっても、罠に獣がかかっていないか見に行く程度のことだったが、獣に止めをさすところから、血抜き解体まで。
一通りのことを祖父から教えられている。
コズエの祖父もカエデの祖父も、『命をいただくこと』の意味を、幼い頃からきちんと学ぶべきだと考えていた。
ふたりの両親もそんな祖父の教育理念のもと、獲物の解体はお手のものである。
一羽じゃ足りないとコズエが気配探知でウサギを探しはじめ。
コズエの見つけたウサギをカエデが気配遮断を使ってこっそり近寄り捕まえだしたときにはどうしようかと震えた男性陣だったが。
「ウチの実家は田舎の山奥で、狩猟は生活の一部だったから、獲物の解体は小さい頃からよくやらされてたの」
とかなんとか。
木本先生がちゃちゃっと手際よく内臓を抜いて皮を剥いでお肉にしてしまうと、美味しそうに見えたのだから現金なものだ。
ウサギの形をしていたときは愛玩動物にしか見えなかったのに、解体されたウサギは見慣れた『お肉』だった。
「なっさけないなあ、男子」
「ねー。牛や豚だって、誰かがお肉にしてくれてるのにねー」
魔方陣に引きずり込まれたり、トレントと戦ったり。
そこそこお腹の空いていた男性陣は、木本先生と女の子たちがバーベキューよろしくウサギのお肉を焼きはじめると、あっさり陥落した。
逃げたことをごめんなさいして、片付けはするのでお肉をわけてくださいと頭を下げたのである。
「オレたちが情けないんじゃなくて、そっちがすごいんだって!」
ドロップ品の中にあった岩塩で味付けされたウサギ肉を頬張りながら、光太は解体の手伝いまでしていた女の子たちに、『なんでそんなことできんの?』と問いかける。
光太の勝手なイメージからすると、女の子は血を見れば悲鳴をあげ、小動物が殺されるところを見たりしたら、泣いてしまいそうだと思っていたのに。
ふたりはケロリとして、ウサギを『お肉』にする手伝いまでしていた。
普通はそんなことできないよな、と男の子たちに首を傾げられ、コズエとカエデは顔を見合わせる。
なんでと言われても、ふたりにとってはできて当たり前のことなのだ。
なぜなら。
「ウチ、おじいちゃんが猟師だからぁ」
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彼女らの祖父は、どちらも猟師だからだ。
もともと、祖父同士が友だちだったことから仲良くなったふたりである。
ふたりは、幼い頃から祖父母の家に遊びに行く度に猟師をしている祖父に連れられ、猟へと出掛けていた。
猟といっても、罠に獣がかかっていないか見に行く程度のことだったが、獣に止めをさすところから、血抜き解体まで。
一通りのことを祖父から教えられている。
コズエの祖父もカエデの祖父も、『命をいただくこと』の意味を、幼い頃からきちんと学ぶべきだと考えていた。
ふたりの両親もそんな祖父の教育理念のもと、獲物の解体はお手のものである。
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