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第4章 ちびっこ怪獣三匹、仲間と協力して戦利品を吟味する
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生活魔法が魔法を使う入り口だとユーゴは言うが、魔力はあっても必ず魔法が使えるわけではないのではないか。
そんな疑問が頭を掠めていた金堂だったが。
「あー、金堂はアレだ。見えてるトコだけじゃなくてさ、『見えないところも、まるっと全部きれいにしたい』でやってみ?」
「まるっと全部……? まるっと……おぉ!?」
半信半疑で光太の言葉通りやってみれば、薄汚れ、くたびれていた採取用の布袋が新品同様の色味を取り戻したことに喜びの声をあげる。
「な? な? 魔力がどうとか考えないで、どういう風になって欲しいかを考えて、能力を使う時みたいにやればいいんだって!」
「ホントぉ?」
力説する光太を、カエデが疑わしそうな目で見る。
コズエとふたり、せっせと練習してみたものの、一度としてまともに発動しなかったのだ。
そんな簡単な方法でうまくいくとは思えないカエデである。
「いや。どうやら本当だ。コウちゃんの言う通りやったら、失敗がなくなった」
ケースケが、物は試しと光太の言う通りにやってみて、軽く頷く。
光太の言う通り、能力を使う感覚で生活魔法を使えば、思った通りの魔法が発動する。
魔力がどうの、効果がどうのと細かく考えすぎると、ちょっと余計なことが頭をよぎっただけで、うまく発動できなくなってしまうのだ。
あれこれ深く考えるのではなく、望みをそのまま魔力に託せば、魔法がちゃんと発動してくれる。
曖昧にではなく具体的に。
なにをどうしたいかをしっかり定める。
ただそれだけでよかったのだ。
「とりあえずやってみろって」
「まあ、やるだけならタダだからやってみるけどお」
「あ、じゃあコズエちゃん。木のカップでやってみよう?」
光太にうながされ、コズエとカエデが自分用に確保した木のカップを取り出す。
コズエとカエデが選んだカップは、木目がキレイな、取手付きのものだ。
なるべく目立った汚れのないモノを探して選んだが、お古なだけあって、どうしてもシミやくすみがこびりついている。
後でユーゴに頼んで浄化をかけてもらうつもりでいたふたりは、それぞれがカップを手に取り、生活魔法を発動させる。
「ぴかぴかの新品みたいにキレイになぁれ」
「まっさらみたいにキレイになれ!」
望みはわかりやすく手短に。
言葉にすればよりわかりやすく、雑念も入りにくい。
ふたりは、手に持ったカップに集中して魔力を動かし--……。
「「できたあ!」」
手の中のカップが削りたての木の質感を取り戻したのを見て、歓声をあげる。
「え、ウソ。光太スゴイよ!」
「光太くん感謝だよう」
そんな疑問が頭を掠めていた金堂だったが。
「あー、金堂はアレだ。見えてるトコだけじゃなくてさ、『見えないところも、まるっと全部きれいにしたい』でやってみ?」
「まるっと全部……? まるっと……おぉ!?」
半信半疑で光太の言葉通りやってみれば、薄汚れ、くたびれていた採取用の布袋が新品同様の色味を取り戻したことに喜びの声をあげる。
「な? な? 魔力がどうとか考えないで、どういう風になって欲しいかを考えて、能力を使う時みたいにやればいいんだって!」
「ホントぉ?」
力説する光太を、カエデが疑わしそうな目で見る。
コズエとふたり、せっせと練習してみたものの、一度としてまともに発動しなかったのだ。
そんな簡単な方法でうまくいくとは思えないカエデである。
「いや。どうやら本当だ。コウちゃんの言う通りやったら、失敗がなくなった」
ケースケが、物は試しと光太の言う通りにやってみて、軽く頷く。
光太の言う通り、能力を使う感覚で生活魔法を使えば、思った通りの魔法が発動する。
魔力がどうの、効果がどうのと細かく考えすぎると、ちょっと余計なことが頭をよぎっただけで、うまく発動できなくなってしまうのだ。
あれこれ深く考えるのではなく、望みをそのまま魔力に託せば、魔法がちゃんと発動してくれる。
曖昧にではなく具体的に。
なにをどうしたいかをしっかり定める。
ただそれだけでよかったのだ。
「とりあえずやってみろって」
「まあ、やるだけならタダだからやってみるけどお」
「あ、じゃあコズエちゃん。木のカップでやってみよう?」
光太にうながされ、コズエとカエデが自分用に確保した木のカップを取り出す。
コズエとカエデが選んだカップは、木目がキレイな、取手付きのものだ。
なるべく目立った汚れのないモノを探して選んだが、お古なだけあって、どうしてもシミやくすみがこびりついている。
後でユーゴに頼んで浄化をかけてもらうつもりでいたふたりは、それぞれがカップを手に取り、生活魔法を発動させる。
「ぴかぴかの新品みたいにキレイになぁれ」
「まっさらみたいにキレイになれ!」
望みはわかりやすく手短に。
言葉にすればよりわかりやすく、雑念も入りにくい。
ふたりは、手に持ったカップに集中して魔力を動かし--……。
「「できたあ!」」
手の中のカップが削りたての木の質感を取り戻したのを見て、歓声をあげる。
「え、ウソ。光太スゴイよ!」
「光太くん感謝だよう」
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