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第4章 ちびっこ怪獣三匹、仲間と協力して戦利品を吟味する
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「ああ。それなら武器もだな。各自、人目のあるところでは導くものが用意してくれた武器はウエストポーチにしまっておいて、別のモノを装備しておいた方がいいだろう」
トレントを回収し終えて戻ってきた大内先生が、やんちゃ怪獣トリオの話を聞いて大きく頷く。
ユーゴの見つけた地図にある村へ行くなら、トラブルの元になりそうなモノはとりあえず、すべてウエストポーチに収納しておいた方が安全だ。
「それなら、防具も目立たないよう隠した方がいいんじゃないかしら?」
「いやしかし、木本先生。万が一を考えると防具はそのままの方がよくありませんか?」
「ええ。ですから、先ほど、汚れてるからと不要品に分類したマントがありましたでしょう? あれを洗って使えないかと思いまして」
「あー……アレですか……」
大内先生は、まだまだ使えそうではあったものの、血のシミのような汚れがあるからと女の子たちが嫌がったため、不要品に分類したマントに視線を向ける。
枚数だけなら、人数分以上。
破れているモノやほつれているモノもあったが、使えないというほどでもない。
いや。この先を考えればあった方がいいだろうソレら。
「洗ったくらいでおちますかねえ?」
「それは……どうでしょう」
大内先生と木本先生の視線が動いて、ちろりとユーゴを見つめる。
このメンバーの中で、魔法担当はユーゴだけだ。
魔力さえあればもれなく使える生活魔法なるものの使い方をレクチャーされたが、まったく使いこなせる気がしないふたりである。
とりあえず、この中では魔法の扱いに長けているユーゴなら、なにか汚れ落としに使える魔法があるのではないかと思ったのだが。
「悠悟くん。ちゃんとキレイにしてねえ?」
「血のシミ。血のシミだけは残さないでよ?」
会話の流れからマントを使わされると悟った女の子たちによって、すでにマントを洗浄させられていた。
「浄化も生活魔法なんだから、使えるようになりなよ」
「魔法なんてムリムリ」
「ねー。どうやったらちゃんと発動するかわかんないもん」
「ふたりとも魔力マシマシだし、ちゃんと使えるはずなんだけど……って、コウちゃん、ケースケ。ソレ浄化じゃなくて水生成だから」
どばどばと汚れモノの山に水をかけている光太とケースケのふたりに、ユーゴがやや疲れた調子で突っ込みを入れる。
全員、魔力を持っているくせをして、何故か誰ひとりとしてまともに生活魔法を使うことができないでいるのだ。
「なんでユーゴみたいにビシッと発動しないんだろ?」
「練習あるのみだ、コウちゃん」
「いや、水浸しになるから。ふたりとも、練習したいなら向こうでやって」
トレントを回収し終えて戻ってきた大内先生が、やんちゃ怪獣トリオの話を聞いて大きく頷く。
ユーゴの見つけた地図にある村へ行くなら、トラブルの元になりそうなモノはとりあえず、すべてウエストポーチに収納しておいた方が安全だ。
「それなら、防具も目立たないよう隠した方がいいんじゃないかしら?」
「いやしかし、木本先生。万が一を考えると防具はそのままの方がよくありませんか?」
「ええ。ですから、先ほど、汚れてるからと不要品に分類したマントがありましたでしょう? あれを洗って使えないかと思いまして」
「あー……アレですか……」
大内先生は、まだまだ使えそうではあったものの、血のシミのような汚れがあるからと女の子たちが嫌がったため、不要品に分類したマントに視線を向ける。
枚数だけなら、人数分以上。
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いや。この先を考えればあった方がいいだろうソレら。
「洗ったくらいでおちますかねえ?」
「それは……どうでしょう」
大内先生と木本先生の視線が動いて、ちろりとユーゴを見つめる。
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とりあえず、この中では魔法の扱いに長けているユーゴなら、なにか汚れ落としに使える魔法があるのではないかと思ったのだが。
「悠悟くん。ちゃんとキレイにしてねえ?」
「血のシミ。血のシミだけは残さないでよ?」
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「浄化も生活魔法なんだから、使えるようになりなよ」
「魔法なんてムリムリ」
「ねー。どうやったらちゃんと発動するかわかんないもん」
「ふたりとも魔力マシマシだし、ちゃんと使えるはずなんだけど……って、コウちゃん、ケースケ。ソレ浄化じゃなくて水生成だから」
どばどばと汚れモノの山に水をかけている光太とケースケのふたりに、ユーゴがやや疲れた調子で突っ込みを入れる。
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「いや、水浸しになるから。ふたりとも、練習したいなら向こうでやって」
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