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第4章 ちびっこ怪獣三匹、仲間と協力して戦利品を吟味する
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「あー、確かに。ユーゴ、このウエストポーチって、どんな性能なんだ? 魔法の鞄ってくらいだから、なんか魔法がかかってるんだろ?」
同じく、細かいモノが多すぎて嫌気がさしていた金堂が、コズエにのっかりユーゴを見る。
空っぽだったことですっかり忘れ去っていたウエストポーチの存在を思い出したからだ。
トレントをなんとか斬り倒した後、光太がまったくの無傷だったことから、ユーゴは『神の目』を使って、自分たちの装備がどんなものかを調べていた。
武器、防具共に不破壊と自動修復の機能が付与されており、どうやらソレのおかげで光太は、頭からトレントに突っ込んでも無傷で済んだらしい。
それでも、生身の部分に擦り傷くらいできていそうなものだが、光太に宿った光は、『神速』で動いても潰れない身体を求め、身体強化系の能力を集めまくっていたようだ。
壊れない武器と、壊れない防具。
それに加えて魔法の鞄。
導くものが与えてくれたのは、それで全部。
食料もなければ水もない。おまけに現金すらない。
これでどうやって世界を救えというのかと、みんなで遠い目になったものだが--それはさておき。
魔法の鞄というくらいだから、なにか魔法がかかっているはずだ。
わざわざ小さなウエストポーチにしたということは、このポーチで間に合うような魔法がかかっているということで。
たぶんきっと、小さくてもたくさん入る魔法がかかっているに違いない。
いや、かかっていてくれないと、小さ過ぎてほとんどモノが入らない。
せっかくの魔法の鞄だ。
どうせなら、たくさん入るヤツがいい。
たくさん入るヤツなら、いくらでも詰め込めるはず。
いや、詰め込めてくれ。
そんな金堂の願いが通じたのだろうか。
「待って、いま視る。え~と、無限収納? 生き物じゃなければ大きさに関係なく、『収納したい』って念じれば入るみたい?」
『神の目』であらためて魔法の鞄の性能を調べたユーゴが、半信半疑で口にする。
小さなウエストポーチだ。
ポーチの入り口より大きなモノが念じるだけで入ると言われても、いまいちピンとこなかったのだろう。
しかしながら、女の子たちの反応は違った。
肉体労働から解放されるならなんでもいいとばかりに、理屈ではなく感覚で、魔法の鞄に触れつつ、反対側の手でドロップ品を触る。
すると、どうだろう。
コズエが重さによろめいていた大鍋が、するんとポーチに吸い込まれてしまった。
「うっそ。はやく言ってよ!」
「ホントだあ。手で触りながら入れって思ったら入ったあ」
一難去ったばかりでテンションがあがっているのだろう。
雑貨を中心に仕分けしていたコズエたちが、小さなポーチが大きな鍋を吸い込んだのを見て、はしゃいだ声をあげる。
「あ、すご~い。コレ、収納したモノの鑑定ができるんだあ」
「え? ホントだ! みんな、魔法の鞄使って、魔法の鞄。すっごい便利!!」
大人ふたりの不安を吹き飛ばすかのように、コズエとカエデが華やいだ声をあげる。
これには大人たちも、暗い顔ばかりをしているわけにはいかなくなった。
くよくよと悪いことばかりを考えても仕方がない。
いまできることを全力で。
まずは、現状を把握するところからはじめようと、大内先生は木本先生と頷きあった。
同じく、細かいモノが多すぎて嫌気がさしていた金堂が、コズエにのっかりユーゴを見る。
空っぽだったことですっかり忘れ去っていたウエストポーチの存在を思い出したからだ。
トレントをなんとか斬り倒した後、光太がまったくの無傷だったことから、ユーゴは『神の目』を使って、自分たちの装備がどんなものかを調べていた。
武器、防具共に不破壊と自動修復の機能が付与されており、どうやらソレのおかげで光太は、頭からトレントに突っ込んでも無傷で済んだらしい。
それでも、生身の部分に擦り傷くらいできていそうなものだが、光太に宿った光は、『神速』で動いても潰れない身体を求め、身体強化系の能力を集めまくっていたようだ。
壊れない武器と、壊れない防具。
それに加えて魔法の鞄。
導くものが与えてくれたのは、それで全部。
食料もなければ水もない。おまけに現金すらない。
これでどうやって世界を救えというのかと、みんなで遠い目になったものだが--それはさておき。
魔法の鞄というくらいだから、なにか魔法がかかっているはずだ。
わざわざ小さなウエストポーチにしたということは、このポーチで間に合うような魔法がかかっているということで。
たぶんきっと、小さくてもたくさん入る魔法がかかっているに違いない。
いや、かかっていてくれないと、小さ過ぎてほとんどモノが入らない。
せっかくの魔法の鞄だ。
どうせなら、たくさん入るヤツがいい。
たくさん入るヤツなら、いくらでも詰め込めるはず。
いや、詰め込めてくれ。
そんな金堂の願いが通じたのだろうか。
「待って、いま視る。え~と、無限収納? 生き物じゃなければ大きさに関係なく、『収納したい』って念じれば入るみたい?」
『神の目』であらためて魔法の鞄の性能を調べたユーゴが、半信半疑で口にする。
小さなウエストポーチだ。
ポーチの入り口より大きなモノが念じるだけで入ると言われても、いまいちピンとこなかったのだろう。
しかしながら、女の子たちの反応は違った。
肉体労働から解放されるならなんでもいいとばかりに、理屈ではなく感覚で、魔法の鞄に触れつつ、反対側の手でドロップ品を触る。
すると、どうだろう。
コズエが重さによろめいていた大鍋が、するんとポーチに吸い込まれてしまった。
「うっそ。はやく言ってよ!」
「ホントだあ。手で触りながら入れって思ったら入ったあ」
一難去ったばかりでテンションがあがっているのだろう。
雑貨を中心に仕分けしていたコズエたちが、小さなポーチが大きな鍋を吸い込んだのを見て、はしゃいだ声をあげる。
「あ、すご~い。コレ、収納したモノの鑑定ができるんだあ」
「え? ホントだ! みんな、魔法の鞄使って、魔法の鞄。すっごい便利!!」
大人ふたりの不安を吹き飛ばすかのように、コズエとカエデが華やいだ声をあげる。
これには大人たちも、暗い顔ばかりをしているわけにはいかなくなった。
くよくよと悪いことばかりを考えても仕方がない。
いまできることを全力で。
まずは、現状を把握するところからはじめようと、大内先生は木本先生と頷きあった。
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