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第3章 ちびっこ怪獣三匹、仲間と共に|能力《ちから》の検証をする
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いくつかの枝や根っこが、カエデの手を逃れてユーゴに向かう。
しかしながらカエデは、慌てることなく手の届く範囲のモノを、着実に切り落とすことに集中する。
だって、コズエが手伝ってくれると言ったのだ。
コズエは、一度やると口に出したことは、必ずやりとげてみせる。
そのコズエが手伝うと言ってくれたなら、カエデはいま自分にできることを、精一杯やるだけでいい。
いつもと同じ。
カエデひとりで無理ならコズエが。コズエがひとりで無理ならカエデが。
お互いがお互いのフォローをすれば、どんなことだってやりきれる。
それに--。
「カエデちゃん、もっとこっちへくれてもいいよ!」
気配を薄めて動き回るカエデを器用に避けてコズエの放った矢が、トレントの枝や根っこを次から次へと粉砕している。
カエデが無理をする必要なんて、どこにもない。
「ありがとう、コズエちゃん!」
的確なフォローをしてくれるコズエを信じ、カエデはユーゴたちの背中を守ることに集中する。
コズエの放った矢が、間違えて自分に刺さるかも、なんて考えない。
コズエがカエデを傷付けるような真似をするはずがないし、能力を自分のモノにしたいまならわかる。
光のくれた能力とは、そういうモノだ。
最初の文字の能力には、絶対的な行使力がある。
コズエの腕前を心配するひまがあるなら、一本でも多くの枝や根っこを切り落とす方がいいに決まってる。
光太の側で様子を確めているユーゴは、光太に意識を向けている分、どうしたって死角ができる。
ユーゴの指示に従って、光太を助けようとしゃがんでいるケースケもだ。
トレント本体への攻撃は木本先生と大内先生が、光太の近くの空間を守るのは金堂が担当するなら。
カエデとコズエの役目は、そんなみんなを絡めとろうと攻撃してくる枝や根っこを打ち払うことだろう。
「お互い、無理はなしだよ!」
そう言って、コズエは無造作に矢を放つ。
コズエの武器は短弓だ。
他のみんなのように敵に近づかなくても、離れた場所から攻撃ができる。
気配探知で周囲を把握しながら、コズエは慎重に、けれど素早く矢を放つ。
コズエの能力は『必中』。
目標としたものに、必ず命中させられる能力だ。
急所を狙えば急所に当たり、どんな小さな的でも、狙い定めれば撃ち抜ける。
動きまくっている的だって、狙って撃てば必ず当たる。
そんなコズエに与えられた武器が、短弓。
しかも、魔力を矢に変えて放つ魔弓だ。
最初の文字の光は、撃っても撃ってもなくならない矢をと望んでたくさんの魔力を集めていたらしく、コズエの魔力は豊富にある。
カエデが無理をしなくとも、コズエと力を合わせれば、じゅうぶんみんなの死角をフォローできた。
しかしながらカエデは、慌てることなく手の届く範囲のモノを、着実に切り落とすことに集中する。
だって、コズエが手伝ってくれると言ったのだ。
コズエは、一度やると口に出したことは、必ずやりとげてみせる。
そのコズエが手伝うと言ってくれたなら、カエデはいま自分にできることを、精一杯やるだけでいい。
いつもと同じ。
カエデひとりで無理ならコズエが。コズエがひとりで無理ならカエデが。
お互いがお互いのフォローをすれば、どんなことだってやりきれる。
それに--。
「カエデちゃん、もっとこっちへくれてもいいよ!」
気配を薄めて動き回るカエデを器用に避けてコズエの放った矢が、トレントの枝や根っこを次から次へと粉砕している。
カエデが無理をする必要なんて、どこにもない。
「ありがとう、コズエちゃん!」
的確なフォローをしてくれるコズエを信じ、カエデはユーゴたちの背中を守ることに集中する。
コズエの放った矢が、間違えて自分に刺さるかも、なんて考えない。
コズエがカエデを傷付けるような真似をするはずがないし、能力を自分のモノにしたいまならわかる。
光のくれた能力とは、そういうモノだ。
最初の文字の能力には、絶対的な行使力がある。
コズエの腕前を心配するひまがあるなら、一本でも多くの枝や根っこを切り落とす方がいいに決まってる。
光太の側で様子を確めているユーゴは、光太に意識を向けている分、どうしたって死角ができる。
ユーゴの指示に従って、光太を助けようとしゃがんでいるケースケもだ。
トレント本体への攻撃は木本先生と大内先生が、光太の近くの空間を守るのは金堂が担当するなら。
カエデとコズエの役目は、そんなみんなを絡めとろうと攻撃してくる枝や根っこを打ち払うことだろう。
「お互い、無理はなしだよ!」
そう言って、コズエは無造作に矢を放つ。
コズエの武器は短弓だ。
他のみんなのように敵に近づかなくても、離れた場所から攻撃ができる。
気配探知で周囲を把握しながら、コズエは慎重に、けれど素早く矢を放つ。
コズエの能力は『必中』。
目標としたものに、必ず命中させられる能力だ。
急所を狙えば急所に当たり、どんな小さな的でも、狙い定めれば撃ち抜ける。
動きまくっている的だって、狙って撃てば必ず当たる。
そんなコズエに与えられた武器が、短弓。
しかも、魔力を矢に変えて放つ魔弓だ。
最初の文字の光は、撃っても撃ってもなくならない矢をと望んでたくさんの魔力を集めていたらしく、コズエの魔力は豊富にある。
カエデが無理をしなくとも、コズエと力を合わせれば、じゅうぶんみんなの死角をフォローできた。
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