ちびっこ怪獣三匹、異世界に降り立つ~異世界転移は課外活動に入りますか?~

ふゆき

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第3章 ちびっこ怪獣三匹、仲間と共に|能力《ちから》の検証をする

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 光太は、槍を構えたまま、巨木の中に突っ込んでいる。
 その体勢のまま巨木の再生に巻き込まれたのなら、もう一度『神速』を発動できれば、巨木を貫くことも不可能ではないはずだ。

 なにせ、先ほどの突撃で、光太は巨木を半ばへし折ってしまっている。
 突っ込んだのが普通の巨木であれば、光太は勢いのまま突き抜け、地面に転がっていたはずである。
 いまはトレントの枝や根っこによる再生に巻き込まれて身動きが取れなくなっているが、『神速』を発動できるなら。
 その勢いで、再度巨木をへし折ることも難しくはないだろう。

 ほんの少しの、考えるような間の後。バタバタと、光太の右足が激しく動く。
 足場さえしっかりしていればなんとかなる。
 たぶんおそらく、そんな意思表示だ。

「ケースケ、いける?」

「おうとも。誰か、場所を変わってくれ!」

「任せろ! おんなじ盾と武器の両手持ちだ。オレが変わる!!」

 盾で弾いて斧で粉砕するケースケの動きを真似て、腕につけるタイプの丸盾で防ぎつつ片手剣で切り落としていた金堂が、するりと場所を入れ替わる。

 金堂の最初の文字の能力ちからは『直感』だった。
 感覚によって物事を捉える能力ちから
 危険を感じ取る危険察知がいち早く発動したのは、金堂が無意識下で危険を感じ取ろうとしていたからだ。

 危険を察知するとはすなわち、敵の攻撃が次にどうくるかが、なんとなくわかるということでもある。

 恵まれた体格と能力ちからに裏付けされたケースケの働きと、『直感』に基づいて危険を回避する金堂の働きは、ほぼほぼ同じ。
 みんなの協力を得てケースケが作り出した空間を、金堂は危なげなく保ってみせた。

「金堂くんが抜けた場所にはワタシが行くね!」

「ならアタシも手伝う!」

 金堂が抜けてユーゴへの攻撃が通りだしたのを見て、カエデとコズエが前へと躍り出る。

 カエデの最初の文字の能力ちからは『しのぶ』。
 動きを目立たなくしたり、隠れたり、人目を避けたり、気配を消したりできる能力ちからだ。

 全員を対象とした気配遮断が先もって発動したのは、カエデが『怖いモノに見つからなければいいのに』と願ったから。
 だが本来は、自らの気配を消し、人目を避けて動ける能力ちからだ。

 自らの意思でスゥッと気配を消してトレントから存在を隠したカエデは、両手に持った短剣で、スパスパとうごめく枝や根っこを切り落としてゆく。
 しかしながら体力的な限界か。はたまたその能力ちからの特質なのか。
 カエデの動きは男の子たちに比べるとずいぶんと遅い。
 金堂のように、ユーゴの死角となる枝や根っこの全てを切り落とすまでには至らなかった。
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