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第3章 ちびっこ怪獣三匹、仲間と共に|能力《ちから》の検証をする

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 いろいろ考えるからややこしくなるのだ。
 あるがままをあるがままに受け入れるだけでいい。

「木本先生! 最初の文字は覚えてる?」

「ええ。確か『豪腕』だったわ」

 感覚的に能力ちからを取得する方法を理解したユーゴは、近くにいる木本先生にも能力ちけらを発動してもらおうとして、一瞬止まる。
 木本先生は、細くてか弱そうな、きれいなお姉さんといった外見をしている。
 その木本先生の能力ちからが『豪腕』。

 なんとも言えない気持ちになったユーゴだったが、いまはそれどころではない。

「じゃあ、最初の文字を思い浮かべて、『自分のモノになれ』って強く念じて! そして、能力ちからを使いたいって心の底から願って!!」

 気持ちを切り替え、能力ちからを発動させる方法を伝える。

「みんなも! ちゃんと最初の文字を思い浮かべて意識して! じゃないと他の--後から混ざった能力ちからが中途半端に発動するみたいだから!!」

 最初に水晶玉に入り込んだ精霊は、自分の宿った文字の能力ちからを強化するために、たくさん能力ちからを集めていた。
 水晶玉の中で混ざってひとつになっても、個々の精霊だった頃の名ごりは残っているらしく、こちらが強く意識しなければ、ふわふわと浮かびあがってくる。
 そうしてまだ最初の文字の能力ちからを得ていない状態で、能力ちからの一部だけが発動してしまったのが、金堂たちだ。

「了解だ!」

 言われるまでもなく能力ちからを発動させていたケースケだったが、あらためて最初の文字の能力ちからを意識する。

 ケースケの主な能力ちからは『屈強』。
 重いはずの大楯を振り回し、大きな斧をふるえる力強さ。
 がっちりと攻撃を受け止められる頑丈な身体。
 他にも、たくさん。ケースケを『屈強』にするための能力ちからがある。

 身体の内側からわきあがってくる、いくつもの能力ちから

 ケースケはなんの疑問も抱かず本能の命じるまま、片手で盾を構えてこちらを絡めとろうと伸びてくる枝や根っこを薙ぎ払い、もう片方の手で、斧をふるう。
 考えずとも身体が動く。
 そんな不思議な感覚を味わいながら、頭の片隅で『ああ、これが能力ちからを自分のモノにしたということか』とちらりと思う。

 ケースケをより『屈強』にするために集められた能力ちからは、個々としての存在を薄めながらも、間違いなくそこにある。
 望めばそのうち、一部だけをうまく使うこともできるようになるだろう。

 だがいまは、細かい使い分けなどどうだっていい。
 光太を取り込もうとしている枝や根っこを取り除くために全力を尽くすのみだ。
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