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第3章 ちびっこ怪獣三匹、仲間と共に|能力《ちから》の検証をする
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ちょっぴり光太の将来を心配しつつ、木本先生が、コクリと首を傾げた光太の疑問に応える。
文字の持つ能力を聞かれたのなら答えようがないが、文字の持つ意味でいいなら、木本先生にも応えられる。
神速--言葉の意味だけでいいのなら、『人間わざとは思えないくらい速いこと』となる。
「スッゲエ足が速いってこと?」
「足の速さもだけれど、なにをするにも他の人よりうんと速く動けるってことよ」
「なにをするにも……ってことは、どんなことをしててもってことでいい?」
「ええ、まあ……そうね」
「ふ~ん?」
走ったり、飛んだり、跳ねたり。
手を振るだけの仕草でも、人よりうんと速く動ける。
光太は木本先生の言葉を、なんとなくそう理解した。
ならば、ならばだ。
どのくらい速く動けるのか試したくなるのが人情というものだ。
一応、みんなここが安全な場所だと認めていることだし。
すぐそこ。二十歩くらい先にある、一番大きな木をくるっと回って帰ってくるだけ。
ふつうに走っても、あっという間に戻ってこれる距離だ。
それなら、特に危険はない--はずだ。
走るのに邪魔になりそうな槍を突撃スタイルで小脇に構え、光太は、金堂たちの言葉を思い返す。
金堂は、『危険がなければいいな』と思っていたら、危機察知が発動したと言っていた。
コズエは『ここが安全な場所だといいな』と思っていて気配探知が発動し、カエデは『怖いものに見つからないように』で、気配遮断が発動したという。
それなら『神速』は、なにを思えば発動するのか?
先生たちは、考えるだけでは発動しないんじゃないかと話していた。
考えるだけで足りないのなら、なにを足したらいいのだろう?
金堂たちはなんと言っていた?
考えて考えて、光太はふと気づく。
あの時みんなは--願っていたのではないだろうか?
危険がありませんように。
安全でありますように。
怖いものがいませんように。
だったら、光太も願えばいいはずだ。
『神速』を使いたいと考えながら、光太は願う。
『神速』が発動しますように。
『神速』がどんな能力なのかわかりますように。
誰よりも速く動けますように。
--……能力の使い方が、みんなちゃんとわかりますように。
たくさん、たくさん願いを込めて。
「じゃあさ、じゃあさ。『神速発動!』なんちゃっ……てぇえええぇえェ~ッ!?」
ちょっとお試し、くらいの軽い気持ちで足を踏み出した光太は--そのままとんでもないスピードで走り出してしまった。
文字の持つ能力を聞かれたのなら答えようがないが、文字の持つ意味でいいなら、木本先生にも応えられる。
神速--言葉の意味だけでいいのなら、『人間わざとは思えないくらい速いこと』となる。
「スッゲエ足が速いってこと?」
「足の速さもだけれど、なにをするにも他の人よりうんと速く動けるってことよ」
「なにをするにも……ってことは、どんなことをしててもってことでいい?」
「ええ、まあ……そうね」
「ふ~ん?」
走ったり、飛んだり、跳ねたり。
手を振るだけの仕草でも、人よりうんと速く動ける。
光太は木本先生の言葉を、なんとなくそう理解した。
ならば、ならばだ。
どのくらい速く動けるのか試したくなるのが人情というものだ。
一応、みんなここが安全な場所だと認めていることだし。
すぐそこ。二十歩くらい先にある、一番大きな木をくるっと回って帰ってくるだけ。
ふつうに走っても、あっという間に戻ってこれる距離だ。
それなら、特に危険はない--はずだ。
走るのに邪魔になりそうな槍を突撃スタイルで小脇に構え、光太は、金堂たちの言葉を思い返す。
金堂は、『危険がなければいいな』と思っていたら、危機察知が発動したと言っていた。
コズエは『ここが安全な場所だといいな』と思っていて気配探知が発動し、カエデは『怖いものに見つからないように』で、気配遮断が発動したという。
それなら『神速』は、なにを思えば発動するのか?
先生たちは、考えるだけでは発動しないんじゃないかと話していた。
考えるだけで足りないのなら、なにを足したらいいのだろう?
金堂たちはなんと言っていた?
考えて考えて、光太はふと気づく。
あの時みんなは--願っていたのではないだろうか?
危険がありませんように。
安全でありますように。
怖いものがいませんように。
だったら、光太も願えばいいはずだ。
『神速』を使いたいと考えながら、光太は願う。
『神速』が発動しますように。
『神速』がどんな能力なのかわかりますように。
誰よりも速く動けますように。
--……能力の使い方が、みんなちゃんとわかりますように。
たくさん、たくさん願いを込めて。
「じゃあさ、じゃあさ。『神速発動!』なんちゃっ……てぇえええぇえェ~ッ!?」
ちょっとお試し、くらいの軽い気持ちで足を踏み出した光太は--そのままとんでもないスピードで走り出してしまった。
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