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第2章 ちびっこ怪獣三匹、事の次第を知る
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「ほらおまえら。ふざけるのはそこまでにしておけ。能力とやらについて調べるんだろう?」
念のため、木本先生と手分けをして一通り周囲を確認していた大内先生に声をかけられ、雑談で盛り上がっていた子供たちが、ハッとした表情になる。
いつの間にか、話が完全にそれてしまっているのに気づいたらしい。
「そーだった。コズエっち、なんかアイデア!」
「だぁから。変な呼び方しないでってば」
「じゃあなんて呼ぶんだよ?」
光太に問われ、コズエはちょっと考えるような間をあける。
「えー? コズエさんってなんか違うし、コズエちゃんもなあ。あ、コズエさまとか?」
ふと、さすがの光太も『さま』呼びは嫌がるだろうと思って冗談を口にしたコズエはけれど。
「よしわかった! コズエさまだな」
あっさり受け入れられ、おおいに焦る。
「わかるな、バカッ」
「なんでだよ?」
光太はどこかズレている。
わかっているのに、つい忘れてしまうのはどうしてなのか。
「コウちゃんだしなあ」
「うん、コウちゃんだ」
「光太だもんな」
「光太くんだもんねえ」
脱力したコズエを囲み、わいわいと仲良さげに騒ぐ子供たちを、大内先生は苦笑いで順番に見やる。
どこにいてもいつも通りなのは、偶然ながらも仲良しばかりが一緒だからか。
はたまた、この子たちの性格故か。
実は、『教師なのだからまずは子供たちを優先に考えて欲しい』と木本先生に告げた手前、いつも通りに見えるよう頑張っている大内先生である。
木本先生のように取り乱して発散していない分、精神的な余裕もあまりなく、内心では不安に押し潰されそうな部分もあったのだが--……。
「冗談を本気にしないでよね!」
「光太にその手の冗談は通じねえぞ、ハタナカ」
「だね。コウちゃんもほら。呼び捨てにしたいのなら名字。名前で呼びたいのなら『ちゃん』か『さん』をつける!」
「コズエはコズエなんだけどなー」
「コウちゃんは、人の嫌がることはしないんじゃなかったのか?」
元の世界でもマイペースだったちびっこやんちゃ怪獣トリオは異世界でもマイペースなままで。
そんな彼らと普段から仲の良かった他の子たちも、普段通りの彼らと接するうちに、引きずられるようにして平静を取り戻した。
そもそも、やんちゃ怪獣たちがほとんど普段と変わらないのは、お互いへの信頼故だ。
三人いれば大丈夫。
どこでだってなんとかなる。
端から見ていてそうだとわかるほど、三人はお互いの存在を頼りにしている。
幼いながらもそこまでの信頼関係を築けている三人が羨ましい反面。
中心となっている草下光太の性格には、いささかの不安を覚える大内先生だ。
光太は、仲良しふたりを信頼するあまり、時々自分で考えることを放棄して、本能のまま動くことがある。
学校でならまだしも、どうやら異世界に転移させられてしまったらしい現在。
普段の光太の猪突猛進っぷりを思い出せば、不安しかない。
念のため、木本先生と手分けをして一通り周囲を確認していた大内先生に声をかけられ、雑談で盛り上がっていた子供たちが、ハッとした表情になる。
いつの間にか、話が完全にそれてしまっているのに気づいたらしい。
「そーだった。コズエっち、なんかアイデア!」
「だぁから。変な呼び方しないでってば」
「じゃあなんて呼ぶんだよ?」
光太に問われ、コズエはちょっと考えるような間をあける。
「えー? コズエさんってなんか違うし、コズエちゃんもなあ。あ、コズエさまとか?」
ふと、さすがの光太も『さま』呼びは嫌がるだろうと思って冗談を口にしたコズエはけれど。
「よしわかった! コズエさまだな」
あっさり受け入れられ、おおいに焦る。
「わかるな、バカッ」
「なんでだよ?」
光太はどこかズレている。
わかっているのに、つい忘れてしまうのはどうしてなのか。
「コウちゃんだしなあ」
「うん、コウちゃんだ」
「光太だもんな」
「光太くんだもんねえ」
脱力したコズエを囲み、わいわいと仲良さげに騒ぐ子供たちを、大内先生は苦笑いで順番に見やる。
どこにいてもいつも通りなのは、偶然ながらも仲良しばかりが一緒だからか。
はたまた、この子たちの性格故か。
実は、『教師なのだからまずは子供たちを優先に考えて欲しい』と木本先生に告げた手前、いつも通りに見えるよう頑張っている大内先生である。
木本先生のように取り乱して発散していない分、精神的な余裕もあまりなく、内心では不安に押し潰されそうな部分もあったのだが--……。
「冗談を本気にしないでよね!」
「光太にその手の冗談は通じねえぞ、ハタナカ」
「だね。コウちゃんもほら。呼び捨てにしたいのなら名字。名前で呼びたいのなら『ちゃん』か『さん』をつける!」
「コズエはコズエなんだけどなー」
「コウちゃんは、人の嫌がることはしないんじゃなかったのか?」
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そんな彼らと普段から仲の良かった他の子たちも、普段通りの彼らと接するうちに、引きずられるようにして平静を取り戻した。
そもそも、やんちゃ怪獣たちがほとんど普段と変わらないのは、お互いへの信頼故だ。
三人いれば大丈夫。
どこでだってなんとかなる。
端から見ていてそうだとわかるほど、三人はお互いの存在を頼りにしている。
幼いながらもそこまでの信頼関係を築けている三人が羨ましい反面。
中心となっている草下光太の性格には、いささかの不安を覚える大内先生だ。
光太は、仲良しふたりを信頼するあまり、時々自分で考えることを放棄して、本能のまま動くことがある。
学校でならまだしも、どうやら異世界に転移させられてしまったらしい現在。
普段の光太の猪突猛進っぷりを思い出せば、不安しかない。
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