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第2章 ちびっこ怪獣三匹、事の次第を知る
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みんなで周囲をうかがうことしばし。
「ええ~と? 幡中梢恵、報告しまっす。気配探知? とかいうのに反応なしだそうです?」
「おなじく金堂巌、危機察知? に反応なしだって」
「喜多山花楓、気配遮断? っていうのが発動中? らしいです?」
コズエ、金堂、カエデの三人が、首を傾げ傾げ、ためらいがちに手をあげる。
困惑しきりの表情は、本人たちにもなにがなんだかわかっていない様子である。
キョロキョロと周りを見ていたら突然、なにやら頭の中で機械的な『声』が聞こえてきたという。
なんだかよくわからないけれど、勝手に自己完結しないよう言われたばかりだ。
一度注意されたことは、きちんと改めるのがよい子のお約束。
なら、よくわからない現象はとりあえず、みんなで共有すればいい。
そしたらみんなで考えられる。
と、いうか。さっきの今だ。
絶対、光絡みに決まってる。
そんなの、自分たちだけで考えるより、みんなに報告して一緒に考えてもらわないと、後で絶対困ったことになる。
「えーと、ようするに。この辺りは安全ってことでいい?」
けれど、みんなに相談したからといって、必ずしも明確な答えが得られるわけではなく。
なんとも言えない表情で顔を見合わせる先生ふたりに代わってユーゴが問えば、三人はわからないと首を振る。
「なんかこう、安全かな? 安全だったらいいなって思いながら周りを見回してたら、頭の中で『声』が響いたってゆーか」
ちょこんとコズエが首を傾げれば。
「オレも。なんか危険なイキモノとかいたらどうしようって思ってたら、いきなり変な声がした感じ」
金堂がうんうんと同意して頷き。
「うん。怖いのに見つかりませんようにって思ってたら、声が聞こえたの」
カエデも同じ状況だったという。
「あー、能力がどうとかってヤツ? 他は? 誰かなんか聞こえた?」
コズエと金堂、カエデの言葉を聞いて、光太がユーゴとケースケ、それから先生たちを順番に見る。
「ボクはなんにも」
「オレも特には」
ユーゴとケースケが首を振り、先生たちも困った顔で小さく首を振る。
もちろんのこと、光太も『声』なんて聞いていない。
どうやら、『声』とやらを聞いたのは、金堂たちだけらしい。
「ワタシ、ウソついてないよぅ?」
「キタヤマの言うとおり、ウソじゃないぞ」
「アタシも聞いたし」
カエデ、金堂、コズエの三人が、お互いの顔を見て、次いでみんなの顔を見る。
はっきりと頭の中に響いた『声』は、決して幻聴などではなかったはずだ。
どこか困ったような三人の主張に、ユーゴが軽く『うん』と頷く。
「たぶんだけど、もらった能力がそれぞれ違うんじゃないかな」
石の板に見せられたらしい過去の映像で、光たちはせっせと能力を集め、混ざりあっていた。
だが、与えられた装備がみんな微妙に違うように、与えられた能力もまた、それぞれ違っているのではないか、というのがユーゴの予想だ。
「ええ~と? 幡中梢恵、報告しまっす。気配探知? とかいうのに反応なしだそうです?」
「おなじく金堂巌、危機察知? に反応なしだって」
「喜多山花楓、気配遮断? っていうのが発動中? らしいです?」
コズエ、金堂、カエデの三人が、首を傾げ傾げ、ためらいがちに手をあげる。
困惑しきりの表情は、本人たちにもなにがなんだかわかっていない様子である。
キョロキョロと周りを見ていたら突然、なにやら頭の中で機械的な『声』が聞こえてきたという。
なんだかよくわからないけれど、勝手に自己完結しないよう言われたばかりだ。
一度注意されたことは、きちんと改めるのがよい子のお約束。
なら、よくわからない現象はとりあえず、みんなで共有すればいい。
そしたらみんなで考えられる。
と、いうか。さっきの今だ。
絶対、光絡みに決まってる。
そんなの、自分たちだけで考えるより、みんなに報告して一緒に考えてもらわないと、後で絶対困ったことになる。
「えーと、ようするに。この辺りは安全ってことでいい?」
けれど、みんなに相談したからといって、必ずしも明確な答えが得られるわけではなく。
なんとも言えない表情で顔を見合わせる先生ふたりに代わってユーゴが問えば、三人はわからないと首を振る。
「なんかこう、安全かな? 安全だったらいいなって思いながら周りを見回してたら、頭の中で『声』が響いたってゆーか」
ちょこんとコズエが首を傾げれば。
「オレも。なんか危険なイキモノとかいたらどうしようって思ってたら、いきなり変な声がした感じ」
金堂がうんうんと同意して頷き。
「うん。怖いのに見つかりませんようにって思ってたら、声が聞こえたの」
カエデも同じ状況だったという。
「あー、能力がどうとかってヤツ? 他は? 誰かなんか聞こえた?」
コズエと金堂、カエデの言葉を聞いて、光太がユーゴとケースケ、それから先生たちを順番に見る。
「ボクはなんにも」
「オレも特には」
ユーゴとケースケが首を振り、先生たちも困った顔で小さく首を振る。
もちろんのこと、光太も『声』なんて聞いていない。
どうやら、『声』とやらを聞いたのは、金堂たちだけらしい。
「ワタシ、ウソついてないよぅ?」
「キタヤマの言うとおり、ウソじゃないぞ」
「アタシも聞いたし」
カエデ、金堂、コズエの三人が、お互いの顔を見て、次いでみんなの顔を見る。
はっきりと頭の中に響いた『声』は、決して幻聴などではなかったはずだ。
どこか困ったような三人の主張に、ユーゴが軽く『うん』と頷く。
「たぶんだけど、もらった能力がそれぞれ違うんじゃないかな」
石の板に見せられたらしい過去の映像で、光たちはせっせと能力を集め、混ざりあっていた。
だが、与えられた装備がみんな微妙に違うように、与えられた能力もまた、それぞれ違っているのではないか、というのがユーゴの予想だ。
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