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第2章 ちびっこ怪獣三匹、事の次第を知る
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それは、やんちゃ怪獣三人組が先ほど見たものとは微妙に違う、救世の物語りだった。
世界を循環している魔素が枯れつつあり、生命の営みが危うくなってきていると導くものは言う。
魔素とはすべての生命の根元で、世界を形作る源なのだそうだ。
魔素が枯れれば生命は成り立たず、世界は崩壊の一途をたどる。
だから、魔素が完全に枯れてしまう前に助けて欲しい。
魔素が枯れている原因は、ダンジョンが活性化し、魔物が増え過ぎたせいである。
魔物とは魔素の塊。
魔素が凝って負の要素と入り混じり、魔物が生まれる。
負の要素とは、イキモノの無念。
すなわちダンジョンの活性化とは、攻略に挑み、道半ばで倒れたモノの数が一定数を越えた場合におこる現象だ。
《魔物は、より多くの魔素を求め、他の生命から奪おうとします》
地上をうろつく弱い魔物ならばこの世界のイキモノでも対応できる。
しかしながら魔素をたくさん取り込んだ魔物ほど強く、この世界のイキモノでは太刀打ちできなくなってゆく。
だからこの世界のイキモノは、ダンジョンに挑み浅い層で魔物を狩る。
多くの魔素を得た魔物が、澱みを求めて下層階へと降りていかないよう。
下層階で澱む負の要素が魔物に取り込まれてしまわないように。
だが時として、魔物の数が突然増えることがある。
戦争、流行り病、事故、自然災害など、多くの命が失われたときだ。
魔素に負の要素が入り混じった存在が魔物であるのと逆に、負の要素が澱んで魔素を取り込みできるのがダンジョンだ。
それ故、ダンジョンの奥にはたっぷりと魔素を抱えた負の要素が澱んでいる。
普段は魔物ですら下層階へと降りていかないが、力をつけた魔物は、より多くの力を求めて下層階へと降りていく。
ダンジョンの下層階はいま、そんな魔物であふれかけているのだという。
魔物が増えれば魔素が減り、少しずつ世界は滅びへと向かってゆく。
それだけではない。
もし万が一、ダンジョンの下層階にいる魔物が増えすぎ氾濫すれば、それだけでも世界は大打撃を受ける。
ダンジョンが賄いきれなくなると魔物は、魔素を求めて外へと向かう。
魔素がないならある場所へ。
持つモノから奪えばいい。
魔素がすべての生命の根元ならば、生きとし生けるものすべてを喰らえば魔素を得られるとばかりに世界を蹂躙しはじめる。
不安定な世界ゆえそれはたびたびおこり、その度事、時代を担う精霊たちが『救世の徒』と呼ばれる、この世界のイキモノより強靭な異世界のイキモノを探しだし、魔物を倒して魔素に戻して欲しいと願ってきた。
--……などなど。
聞いていて、ところどころで『アレ?』と首をひねったやんちゃ怪獣たちだったが、役目が終われば強すぎる『器』はこの世界に定着することができず、元の世界ヘ送り返されると語られ、些細な違和感はどうでもよくなってしまった。
世界を循環している魔素が枯れつつあり、生命の営みが危うくなってきていると導くものは言う。
魔素とはすべての生命の根元で、世界を形作る源なのだそうだ。
魔素が枯れれば生命は成り立たず、世界は崩壊の一途をたどる。
だから、魔素が完全に枯れてしまう前に助けて欲しい。
魔素が枯れている原因は、ダンジョンが活性化し、魔物が増え過ぎたせいである。
魔物とは魔素の塊。
魔素が凝って負の要素と入り混じり、魔物が生まれる。
負の要素とは、イキモノの無念。
すなわちダンジョンの活性化とは、攻略に挑み、道半ばで倒れたモノの数が一定数を越えた場合におこる現象だ。
《魔物は、より多くの魔素を求め、他の生命から奪おうとします》
地上をうろつく弱い魔物ならばこの世界のイキモノでも対応できる。
しかしながら魔素をたくさん取り込んだ魔物ほど強く、この世界のイキモノでは太刀打ちできなくなってゆく。
だからこの世界のイキモノは、ダンジョンに挑み浅い層で魔物を狩る。
多くの魔素を得た魔物が、澱みを求めて下層階へと降りていかないよう。
下層階で澱む負の要素が魔物に取り込まれてしまわないように。
だが時として、魔物の数が突然増えることがある。
戦争、流行り病、事故、自然災害など、多くの命が失われたときだ。
魔素に負の要素が入り混じった存在が魔物であるのと逆に、負の要素が澱んで魔素を取り込みできるのがダンジョンだ。
それ故、ダンジョンの奥にはたっぷりと魔素を抱えた負の要素が澱んでいる。
普段は魔物ですら下層階へと降りていかないが、力をつけた魔物は、より多くの力を求めて下層階へと降りていく。
ダンジョンの下層階はいま、そんな魔物であふれかけているのだという。
魔物が増えれば魔素が減り、少しずつ世界は滅びへと向かってゆく。
それだけではない。
もし万が一、ダンジョンの下層階にいる魔物が増えすぎ氾濫すれば、それだけでも世界は大打撃を受ける。
ダンジョンが賄いきれなくなると魔物は、魔素を求めて外へと向かう。
魔素がないならある場所へ。
持つモノから奪えばいい。
魔素がすべての生命の根元ならば、生きとし生けるものすべてを喰らえば魔素を得られるとばかりに世界を蹂躙しはじめる。
不安定な世界ゆえそれはたびたびおこり、その度事、時代を担う精霊たちが『救世の徒』と呼ばれる、この世界のイキモノより強靭な異世界のイキモノを探しだし、魔物を倒して魔素に戻して欲しいと願ってきた。
--……などなど。
聞いていて、ところどころで『アレ?』と首をひねったやんちゃ怪獣たちだったが、役目が終われば強すぎる『器』はこの世界に定着することができず、元の世界ヘ送り返されると語られ、些細な違和感はどうでもよくなってしまった。
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