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第2章 ちびっこ怪獣三匹、事の次第を知る

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 導くもの大精霊が指揮者のように手を動かすと、魔方陣はふわりと舞って、光太たちの足元へと向かう。

 キラキラと輝く魔方陣は、それぞれの足元へたどり着くと、そこでほどけた。
 虹色の輝きが光太たちの足元から天へと向かって走り、八本の柱を作り出す。

 後は、一瞬だった。

 きらめく虹色が色を失って消えてゆくにつれ、光太たちの服装が、まるで違うものへと変化してゆく。
 スニーカーはしっかりとした作りの革のブーツに。
 ストレッチパンツは分厚ぶあつい生地の長ズボンに。
 Tシャツは丈夫な布地のシャツに変わる。

 腰には革製かわせいのウエストポーチが装備され、服の上には、頑丈そうな革鎧かわよろい
 頭には、これまた頑丈そうな革の飛行帽ひこうぼうがちょんと乗る。
 極めつけは、手に持った武器だ。

 どこにでもいる小学生が、あっという間にゲームや漫画の中でよく見かける冒険者スタイルへと変貌へんぼうを遂げたのと、光太たちの意識が肉体に戻ったのがほぼ同時。
 ゲームのキャラクターのような装いになった自分をよく見ようと身を乗り出したら、それぞれ自分の体に戻っていた。

 変化についていけず、つんのめるようによろめいた三人の横を、白い影がずうっと通りすぎる。
導くもの大精霊だ。

 ゆるく波打つ、地面まで届く長い髪。
 目鼻立ちの整った顔は小さく、背はすらりと高い。
 まっすぐに背を伸ばした立ち振舞いは、小学生の目から見ても、美しいと思う姿だった。


《精霊に選ばれし者よ》


 おごそかに、導くもの大精霊が言葉を発する。
 男の人にも、女の人にも聞こえる声だった。
 若くも年老いているようにも聞こえる声だった。

 さっきまで、『困ったわ』と繰り返していた声と同じだとは思えない、不思議な声音。
 表情も情けない感じからキリリとした冷たいものに変わり、不思議な神々しさを感じられる。

 いまさらとりつくろっても、みんな『彼女』が元小さな精霊だったことを知っている。 

 変なの、と思ったのはどうやら、やんちゃ怪獣三人組だけらしい。
 少し離れた場所にいる五人は、気圧されたかのように石の板から現れた導くもの大精霊を見つめている。


《あなた方は、いずれこの世界の礎となる精霊たちにより、救世の徒として選ばれました》


 導くもの大精霊は、順番に全員を見つめ、ひとりひとりと目を合わせると、ゆっくりと、噛んで含めるように言葉を綴る。


《この世界はいま、存亡の危機にさらされています--……》

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