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第1章 ちびっこ怪獣三匹、異世界に降り立つ
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淡く薄い光が、石の板に刻まれたいくつもの文字--単語だろうか?--に、ポッと灯ってするりと下へ落ちてくる。
いくつもの光が灯り、いくつもの線が描かれる。
そのすべてが落ちてくる先が--……祭壇らしきモノの表面中央にはめ込まれた、水晶玉だ。
淡い光は水晶玉へとまとわりつき、ふうわりゆれては吸い込まれるようにして消えていく。
氷の結晶がくるくると踊りながら凍結していくシャボン玉のような。
日の光をうけてキラキラと輝く粉雪が舞う姿を閉じ込めたスノードームみたいな。
ソレは、ひどく幻想的で美しい光景だった。
淡い光はどんどんどんどん落ちてきて。
水晶玉はどんどんどんどん光を蓄えてゆく。
やがてまばゆく輝きを増した水晶玉は、ドクリと脈打つかのように光を明滅させ--……。
ぶわり、と溢れた光が線となって四方八方に広がり、魔方陣のような模様を描き出す。
その、繰り返し。
何度も繰り返される光景にしばし見惚れていた三人だったが、ふと気づく。
「これか」
「これだね」
「うん、これだ」
水晶玉の中で、くるくると舞う光の渦。
じっと眺めているとそれは、金堂を引きずり込もうとしていた光の輪っかとよく似ていた。
ぐるぐるぐるぐる渦を巻き、水晶玉を満たすと輝きを増して飛び出すまばゆい光。
そして、ソレの描く模様は見覚えのあるモノ--となれば、誰だってわかる。
この水晶玉が、彼らをこの場所へと導いた要因のひとつだ。
「やっぱずりぃよなあ」
ポッと光を灯した文字を眺め。
浮かんでは消える魔方陣らしきモノを眺め。
光太がしみじみと呟く。
「コレ、近づくまで見えないとかおかしくね?」
石の板はどこまでも高く伸び、先端は空の彼方へと消えている。
最初に目を覚ました場所からは、石の板は見えなかった。
空へと溶けて消えてしまうほど高さのある石の板だ。なんの障害物もない草原ならば、どこにいても見えたはず。
なのに、石の板はコズエが近くへ寄って行くまでその姿を見せなかった。
祭壇のようなものの表面中央にはめ込まれた水晶玉も。
石の板に刻まれた文字がランダムに光を灯しているのも。
光太たちが近づいてはじめて、その存在を見てとることができた。
いくつもの光が灯り、いくつもの線が描かれる。
そのすべてが落ちてくる先が--……祭壇らしきモノの表面中央にはめ込まれた、水晶玉だ。
淡い光は水晶玉へとまとわりつき、ふうわりゆれては吸い込まれるようにして消えていく。
氷の結晶がくるくると踊りながら凍結していくシャボン玉のような。
日の光をうけてキラキラと輝く粉雪が舞う姿を閉じ込めたスノードームみたいな。
ソレは、ひどく幻想的で美しい光景だった。
淡い光はどんどんどんどん落ちてきて。
水晶玉はどんどんどんどん光を蓄えてゆく。
やがてまばゆく輝きを増した水晶玉は、ドクリと脈打つかのように光を明滅させ--……。
ぶわり、と溢れた光が線となって四方八方に広がり、魔方陣のような模様を描き出す。
その、繰り返し。
何度も繰り返される光景にしばし見惚れていた三人だったが、ふと気づく。
「これか」
「これだね」
「うん、これだ」
水晶玉の中で、くるくると舞う光の渦。
じっと眺めているとそれは、金堂を引きずり込もうとしていた光の輪っかとよく似ていた。
ぐるぐるぐるぐる渦を巻き、水晶玉を満たすと輝きを増して飛び出すまばゆい光。
そして、ソレの描く模様は見覚えのあるモノ--となれば、誰だってわかる。
この水晶玉が、彼らをこの場所へと導いた要因のひとつだ。
「やっぱずりぃよなあ」
ポッと光を灯した文字を眺め。
浮かんでは消える魔方陣らしきモノを眺め。
光太がしみじみと呟く。
「コレ、近づくまで見えないとかおかしくね?」
石の板はどこまでも高く伸び、先端は空の彼方へと消えている。
最初に目を覚ました場所からは、石の板は見えなかった。
空へと溶けて消えてしまうほど高さのある石の板だ。なんの障害物もない草原ならば、どこにいても見えたはず。
なのに、石の板はコズエが近くへ寄って行くまでその姿を見せなかった。
祭壇のようなものの表面中央にはめ込まれた水晶玉も。
石の板に刻まれた文字がランダムに光を灯しているのも。
光太たちが近づいてはじめて、その存在を見てとることができた。
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