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第1章 ちびっこ怪獣三匹、異世界に降り立つ
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「大内先生、『せきひ』ってなに?」
光太は、びっくりした顔で石の板を見て固まっている大内先生の太ももをつつく。
ぽかんと口を開けた大内先生は、たぶん意識が半分どこかへいってしまっている。
まあ、どや顔のコズエと、ちびっこ怪獣たち以外はほぼ、半分意識がトンでいるみたいな状態だけれども。
大内先生にまで、そちらの仲間入りをしてもらっては困る。
頼れる大人がひとりもいなくなってしまうのは、さすがに怖い。
「あ? ああ……。簡単に言うとだな。誰かが、何らかの目的をもって銘文--文章を刻んで建立した石のことだ」
はっと正気づいた大内先生が、頭をふりふり、なんとか現実へとかえってくる。
光太だって--ユーゴやケースケだって、まるっきり平気なわけではないのだ。
せめてひとり、正気の大人がいて欲しい。
「なるほど。で、これにはなんて書いてあるんですか?」
もっとも、ユーゴは石の板に刻まれている文字に興味をひかれ、些細な不安もふっ飛んでしまったようだっただけれど。
まあ、光太だって石の板の下の方。ちょっと迫り出して、結婚式場の祭壇みたいになっている部分が、ふらふらと寄って行きかけて、『コウちゃん、危ないよ』とケースケに引き戻されるくらいには気になっていたりするから人のことは言えなかったりする。
「残念ながら、この文字は先生にも読めないよ、水森。見たことのない文字だ」
「先生も読めない文字?」
「そりゃあ、先生だって、全部の文字を知ってるわけじゃあないからなあ」
大内先生はユーゴと並んで、天高くそびえ立つ石の板を見上げる。
文字は、上の方までびっしりと、細かく刻み込まれている。
たとえ知ってる文字だったとしても、これでは一部分しか読めなかったのではなかろうか。
「だ~から、異世界転移だって言ってるじゃん。異世界の文字だから読めないんだって」
ああでもないこうでもないと意見を交わしているふたりの間へ、コズエがふざけた調子で割り込んでゆく。
普段のコズエはどちらかというと物静かで、人の話に割り込んでいくタイプではない。
休み時間は仲良しのカエデとふたり、読書にいそしんでいるようなタイプだ。
そんなコズエがテンションも高く割り込んできたことに違和感を覚えたユーゴが口を開くより早く。
ぬっと伸びてきた手が、コズエの肩をガシリとを掴む。
「~~~~~ぅなよッ」
「え?」
「軽々しく異世界転移とか言うなよッ!! だって、そんなのッ。ほんとに異世界転移だったら、オレのせいじゃん! オレがみんなを巻き込んだんじゃん!!」
光太は、びっくりした顔で石の板を見て固まっている大内先生の太ももをつつく。
ぽかんと口を開けた大内先生は、たぶん意識が半分どこかへいってしまっている。
まあ、どや顔のコズエと、ちびっこ怪獣たち以外はほぼ、半分意識がトンでいるみたいな状態だけれども。
大内先生にまで、そちらの仲間入りをしてもらっては困る。
頼れる大人がひとりもいなくなってしまうのは、さすがに怖い。
「あ? ああ……。簡単に言うとだな。誰かが、何らかの目的をもって銘文--文章を刻んで建立した石のことだ」
はっと正気づいた大内先生が、頭をふりふり、なんとか現実へとかえってくる。
光太だって--ユーゴやケースケだって、まるっきり平気なわけではないのだ。
せめてひとり、正気の大人がいて欲しい。
「なるほど。で、これにはなんて書いてあるんですか?」
もっとも、ユーゴは石の板に刻まれている文字に興味をひかれ、些細な不安もふっ飛んでしまったようだっただけれど。
まあ、光太だって石の板の下の方。ちょっと迫り出して、結婚式場の祭壇みたいになっている部分が、ふらふらと寄って行きかけて、『コウちゃん、危ないよ』とケースケに引き戻されるくらいには気になっていたりするから人のことは言えなかったりする。
「残念ながら、この文字は先生にも読めないよ、水森。見たことのない文字だ」
「先生も読めない文字?」
「そりゃあ、先生だって、全部の文字を知ってるわけじゃあないからなあ」
大内先生はユーゴと並んで、天高くそびえ立つ石の板を見上げる。
文字は、上の方までびっしりと、細かく刻み込まれている。
たとえ知ってる文字だったとしても、これでは一部分しか読めなかったのではなかろうか。
「だ~から、異世界転移だって言ってるじゃん。異世界の文字だから読めないんだって」
ああでもないこうでもないと意見を交わしているふたりの間へ、コズエがふざけた調子で割り込んでゆく。
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ぬっと伸びてきた手が、コズエの肩をガシリとを掴む。
「~~~~~ぅなよッ」
「え?」
「軽々しく異世界転移とか言うなよッ!! だって、そんなのッ。ほんとに異世界転移だったら、オレのせいじゃん! オレがみんなを巻き込んだんじゃん!!」
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