28 / 63
【付喪神】
肆
しおりを挟む年末年始。
私は実家に帰ることになった。
というか、何度断っても「帰ってこい」という父からの電話が絶えなかったため、帰らざるを得なかった。
正直、私は両親が嫌いだ。
そして…怖い。
"普通じゃない"から。
小学2年生になったばかりの私は
新しく買ってもらった白いスニーカーを履いて
近所の公園に遊びに来ていた。
いつもなら小さい子どもや、その母親が何人かいるのだが、今日は誰もいなかった。
1人、ブランコに座り、
買ってもらった新しい靴を眺める。
"ママ!私、このピンクの靴が欲しい!"
"アナタにはこっちのほうが似合うわ。パパもそう思うでしょう?"
"そうだな、白いほうにしなさい"
"私、白じゃなくてピンクのほうが…"
"白のほうが素敵よ、こっちにしましょう"
(私が欲しいと言ったものを
買ってくれることは、一度もなかった)
爪先から目線を少しずらすと、紫色の一輪の花が、小さく咲いているのが目に入った。
その花を摘み取り、家に持ち帰った。
"パパとママにプレゼントだよ!"
"……お花?"
"そうだよ!公園で摘んで来たの!"
"……汚いわ"
そう言うと母は、窓から花を投げ捨てた。
そして、父は
"公園ではちゃんと1人で遊んだか?いいな、友達なんか作るんじゃないぞ"
とだけ言って、書斎に向かって行った。
(私がプレゼントするものに
喜んでくれたことは、一度もなかった)
ただ、このくらいの対応であれば日常的だったし、
多少の寂しさはあったものの、両親を"嫌い"とまでは思わなかった。
しかし、ある出来事をきっかけに
私は両親に、極度の「恐怖心」と
「嫌悪感」を抱くことになる。
もう思い出すのはやめよう。
帰省の準備を終わらせなければならない。
私は、タンスの引き出しに手をかけた。
私は実家に帰ることになった。
というか、何度断っても「帰ってこい」という父からの電話が絶えなかったため、帰らざるを得なかった。
正直、私は両親が嫌いだ。
そして…怖い。
"普通じゃない"から。
小学2年生になったばかりの私は
新しく買ってもらった白いスニーカーを履いて
近所の公園に遊びに来ていた。
いつもなら小さい子どもや、その母親が何人かいるのだが、今日は誰もいなかった。
1人、ブランコに座り、
買ってもらった新しい靴を眺める。
"ママ!私、このピンクの靴が欲しい!"
"アナタにはこっちのほうが似合うわ。パパもそう思うでしょう?"
"そうだな、白いほうにしなさい"
"私、白じゃなくてピンクのほうが…"
"白のほうが素敵よ、こっちにしましょう"
(私が欲しいと言ったものを
買ってくれることは、一度もなかった)
爪先から目線を少しずらすと、紫色の一輪の花が、小さく咲いているのが目に入った。
その花を摘み取り、家に持ち帰った。
"パパとママにプレゼントだよ!"
"……お花?"
"そうだよ!公園で摘んで来たの!"
"……汚いわ"
そう言うと母は、窓から花を投げ捨てた。
そして、父は
"公園ではちゃんと1人で遊んだか?いいな、友達なんか作るんじゃないぞ"
とだけ言って、書斎に向かって行った。
(私がプレゼントするものに
喜んでくれたことは、一度もなかった)
ただ、このくらいの対応であれば日常的だったし、
多少の寂しさはあったものの、両親を"嫌い"とまでは思わなかった。
しかし、ある出来事をきっかけに
私は両親に、極度の「恐怖心」と
「嫌悪感」を抱くことになる。
もう思い出すのはやめよう。
帰省の準備を終わらせなければならない。
私は、タンスの引き出しに手をかけた。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
真名を告げるもの
三石成
ホラー
松前謙介は物心ついた頃から己に付きまとう異形に悩まされていた。
高校二年に進級をした数日後、謙介は不思議な雰囲気を纏う七瀬白という下級生と出会う。彼は謙介に付きまとう異形を「近づくもの」と呼び、その対処法を教える代わりに己と主従の契約を結ぶことを提案してきて……
この世ならざるものと対峙する、現代ファンタジーホラー。

二つの願い
釧路太郎
ホラー
久々の長期休暇を終えた旦那が仕事に行っている間に息子の様子が徐々におかしくなっていってしまう。
直接旦那に相談することも出来ず、不安は募っていくばかりではあるけれど、愛する息子を守る戦いをやめることは出来ない。
色々な人に相談してみたものの、息子の様子は一向に良くなる気配は見えない
再び出張から戻ってきた旦那と二人で見つけた霊能力者の協力を得ることは出来ず、夫婦の出した結論は……

呪配
真霜ナオ
ホラー
ある晩。いつものように夕食のデリバリーを利用した比嘉慧斗は、初めての誤配を経験する。
デリバリー専用アプリは、続けてある通知を送り付けてきた。
『比嘉慧斗様、死をお届けに向かっています』
その日から不可解な出来事に見舞われ始める慧斗は、高野來という美しい青年と衝撃的な出会い方をする。
不思議な力を持った來と共に死の呪いを解く方法を探す慧斗だが、周囲では連続怪死事件も起こっていて……?
「第7回ホラー・ミステリー小説大賞」オカルト賞を受賞しました!

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる