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その21. 一緒に作ろう*

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 囁く健斗の声が、少し上擦っている。そんなちょっとしたことに嬉しくなるだけで、美晴の中がきゅんとうごめいた。

「美晴さんっ!」

 焦ったような健斗の声。美晴はそんな健斗の腰に自分の足を絡めると、さらに深く受け入れるように腰を浮かす。

「来て。ね、健斗……」

 美晴のおねだりに応えるよう、健斗が突き入れる。その刺激に体が、子宮が痺れるような快感に襲われる。

「はぁっ、あん、あんっ!」

 健斗が出し入れするたびに、気持ち良い感覚が鮮明になる。もうそれしか考えられなくなって、その感覚だけを追っていった。高みに昇る。快感が満ちてゆく。まるで風船のようにどんどんとそれは膨らんでいき、そして、

「んーっ!」

 美晴が達したところに健斗が追いかけるように数度突き上げ、最後にぐっと踏み込むとビクビクと跳ね上げた。

「美晴さん……!」
「あ……、健斗……」

 お互いに手を重ね、指を絡め、ぎゅっと握り合う。そのまま繋がったまま、ついばむような口付けを繰り返した。

「健斗、好き」

 最大級の「愛している」までを言ってしまったせいか、自分の中であふれる好きという感情を、素直に口にすることが出来る。その幸せに笑みがこぼれる。

「そんなこと言われたら、まずい」
「え?」

 困ったように眉をしかめているのに、美晴の中にいる健斗がまた存在感を増してゆく。

「ゴム替えるんで。煽った責任取ってください」
「ええー」

 ずるりと抜かれると、手早く準備を済ませてまた健斗が抱きしめてきた。クスクスと笑いながら、美晴も健斗を抱きしめ返す。今はまだ昼前。好きなだけ抱き合って、気が済んでもまだ一緒にいられる。そう考えると、嬉しさが増す。

 でもこんなに体力使ったら、終わった頃にはきっとお腹が空いちゃうかな。

「美晴さん、なに考えているんです?」
「ん?」

 ちょっとむくれた感じの健斗に言われ、またクスクス笑った。

「大丈夫。ちゃんと集中するから」

 言いながらも、その後のことを考える。

 ご飯を炊いて、おにぎりを作ろうか。外食とか、コンビニおにぎりもいいけれど、いつもそればかりだと飽きてしまうから。

「健斗」
「ん?」
「終わったら、一緒におにぎり作ろうね」
「一緒に?」
「うん。一緒」

 そう言って美晴が微笑むと、思案げに眉を寄せていた健斗も、クスリと笑い返した。

「うち、米しか無いから。あとで他の食材買いに行こうか」
「いいね。おにぎりの具、なににする?」
「考えておく。だから、今はこっちに集中して」

 そう言うと、健斗が美晴に口付ける。

 ――こうして始まった二人のこと。かけがえのない絆はこれからもっと強まり、深まっていく。



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