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その16. 解禁の勧め
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「おーいケンケン。見とれていないで、このグリルもういいんじゃね?」
「そうだな、そろそろ焼くか」
「あ、それじゃあおかわりのビールを取りにいくね。美晴さん、一緒に行きましょう!」
そうして肉を焼くのを健斗と陽平に任せ、今度は新菜と美晴がドリンクコーナーへと向かう。
「……健斗さ、よかったな」
肉と野菜が交互に刺さった串に塩コショウを振り、焼き網に置いていきながら陽平がぽつりと言った。
「なにが?」
フランクフルトに串を刺して、健斗が聞き返す。
「美晴さんのこと。粘り勝ちしたなと思って」
「いや、まだ分からないから」
「分からない?」
「距離は縮まったけど、最近会えていなかったから。だからそろそろ改めて交際を申し込もうかな、と」
「お前ら……」
陽平が中途半端に言葉を切って黙り込む。健斗が不審に思って見上げると、声を殺して肩を震わせ笑っていた。
「なんだよ、それ」
「いやー、お前らって本当にお似合いの二人だよ」
そこまで言ってから、こらえきれないように笑い声を発し、上機嫌で陽平が串をひっくり返す。
「それでいつ言うんだ? 今日?」
「さあ」
久し振りに会えた嬉しさと今日の会話での美晴の反応で、今すぐにでも気持ちを伝えたいと盛り上がり、はやる心がある。だが、一つだけ懸念していることが健斗にはあった。
「まあなんにせよ、あともうひと押しだ。ケンケン、頑張れよ」
「おう」
「ビールおかわり、持ってきたー!」
「サンキュー、新菜ちゃん、美晴さん」
そうしてバーベキューでの時間は楽しく過ぎた。終了の時間となり、片付けると駅まで戻ったのだが――。
「新菜ちゃん、どう?」
駅の女子トイレから出てきた新菜に、陽平が声をかける。
「うーん、あともうちょっと」
「もうちょっとって?」
「取り敢えず吐くもの全部吐いたんで、今、ペットボトルの水飲んでもらっている。最低限、半分飲むまでは出てこないで下さいって言ったから。あともうちょっと」
そう言って、またトイレに戻る新菜を健斗は黙って見送る。久し振りに飲酒を解禁したせいか、美晴が潰れてしまったのだ。
「そうだな、そろそろ焼くか」
「あ、それじゃあおかわりのビールを取りにいくね。美晴さん、一緒に行きましょう!」
そうして肉を焼くのを健斗と陽平に任せ、今度は新菜と美晴がドリンクコーナーへと向かう。
「……健斗さ、よかったな」
肉と野菜が交互に刺さった串に塩コショウを振り、焼き網に置いていきながら陽平がぽつりと言った。
「なにが?」
フランクフルトに串を刺して、健斗が聞き返す。
「美晴さんのこと。粘り勝ちしたなと思って」
「いや、まだ分からないから」
「分からない?」
「距離は縮まったけど、最近会えていなかったから。だからそろそろ改めて交際を申し込もうかな、と」
「お前ら……」
陽平が中途半端に言葉を切って黙り込む。健斗が不審に思って見上げると、声を殺して肩を震わせ笑っていた。
「なんだよ、それ」
「いやー、お前らって本当にお似合いの二人だよ」
そこまで言ってから、こらえきれないように笑い声を発し、上機嫌で陽平が串をひっくり返す。
「それでいつ言うんだ? 今日?」
「さあ」
久し振りに会えた嬉しさと今日の会話での美晴の反応で、今すぐにでも気持ちを伝えたいと盛り上がり、はやる心がある。だが、一つだけ懸念していることが健斗にはあった。
「まあなんにせよ、あともうひと押しだ。ケンケン、頑張れよ」
「おう」
「ビールおかわり、持ってきたー!」
「サンキュー、新菜ちゃん、美晴さん」
そうしてバーベキューでの時間は楽しく過ぎた。終了の時間となり、片付けると駅まで戻ったのだが――。
「新菜ちゃん、どう?」
駅の女子トイレから出てきた新菜に、陽平が声をかける。
「うーん、あともうちょっと」
「もうちょっとって?」
「取り敢えず吐くもの全部吐いたんで、今、ペットボトルの水飲んでもらっている。最低限、半分飲むまでは出てこないで下さいって言ったから。あともうちょっと」
そう言って、またトイレに戻る新菜を健斗は黙って見送る。久し振りに飲酒を解禁したせいか、美晴が潰れてしまったのだ。
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