【R18】恋に落ちたとき

櫻屋かんな

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第二章 彼からみた彼女の話※

その2

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 子供が食べていたパンが目を離した隙に無くなって、代わりに窓の向こうで白い猫が走っていた。うなじの辺りだけ橙色の毛色のある、それはまるで子供が好きなあんずジャムが白い食パンに落ちた様な、そんな柄。だからあれは猫じゃ無いんだ。食べられたくないパンが逃げたんだ、と黒猫が追いかける。
 途中の絡みはすっかり忘れてしまったけど、黒猫は最後まで納得しなかったことを覚えている。だからパンでは無いことを確かめるために、白猫のあんずジャムの様な橙色の毛をひと舐めするんだ。毎日、毎日。

 それが、なんだか自分の心にひどく印象に残った。性のことなどなにも分からない年頃だったけど、なにか黒猫の執着心や、舐めるという行為に隠された淫靡な空気を感じていたんだと思う。
 そんな幼い頃の感性が、彼女を抱きとめた瞬間に甦った。

 彼女を抱くと、なぜか匂いを嗅ぎたくなる。
 うなじを猫の様に一舐めして、あんずジャムの味がしないか確認したくなる。
 彼女がジャム付きパンじゃ無いことを確認したら、次に本来の彼女の味を知りたくなる。

 だから俺は、自分の舌を彼女に這わす。

 背骨に沿って腰まで降りたら、彼女を表に返してまた首元から鎖骨、脇、乳房へ。飽きることなく丹念に舌でなぞる。時々思い出した様に強く吸って、自分の証を残していって。
 乳房を寄せる様に両手で包むと、乳輪に沿って舌を動かす。てのひらにしっとりと吸い付く肌の感触が心地好い。舌の動きにビクビク反応する彼女の様が楽しい。わざと触れないでいるのに、舌をゆっくりと何周かさせると乳輪が張り詰め、乳首がぷくっと勃ってくる。
 その体の変化を愉しんでいると、自分のつむじに視線を感じた。
 顔を上げると、潤んだ瞳で俺を見つめる彼女と目が合う。

「……ね?」

 たった一音だけの短いお願い。なのになぜこんなにも心を騒つかす力を持っているんだろう。
 俺は彼女の目を見つめたまま、舌を尖らせて乳首を突く。まずは左側。その間、右の乳房は手で丁寧に揉み込み、乳首は指で摘んで刺激を与えることを忘れない。

「んっ!」

 息を呑む彼女。まるで電流が流れた様にびくりとする。
 グミのように弾力のある乳首の感触を舌先だけで楽しんでから、今度は唇で挟み込んだ。舌先で突くのは止めずに、唇を左右に擦り合わせる動作を追加する。

「やん! あ、や……!」

 彼女のため息が嬌声へと変わっていく。もっと、気持ち良くなってほしい。もっと我を忘れて快楽に溺れて欲しい。俺の手で、舌で、そして性器でもっと善がって。
 まるで祈る様にそう思いながら、丹念に胸を愛撫した。彼女の脚がじれったそうに擦り合わされるが、あえて気が付かない振りをして、下乳から腹部へとゆっくり唇でなぞってゆく。そして彼女の片脚をゆっくりと持ち上げると、膝頭から太腿にかけてをやわやわと食んだ。
 彼女の喘ぐ声が高く、細く、すすり泣くように断続的に続いていく。
 もっとよく見えるようにと、彼女の両膝を曲げてから股間を広げた。

「ねえ、もう染み出ちゃっているね」

 ぐっしょりと濡れて、用をなさなくなったショーツを見て囁いた。

「や、恥ずか、し……」

 思わずといった体で彼女が顔を隠すが、その仕草がどんなに俺を煽るのか、分かっていない。そしてどんなに苛めたくなってしまうのかも。
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