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第9節 教会騎士団内乱編
第352話 半身との再会
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転移の光が収まり、私が気がつくと…辺りには黒雲がいくつかあり、山々が長く連なり帯状に伸びる山地いた
標高がそれなりに高いのか、雲の間から辺り一体が見渡せて…少し遠くには『天まで届きそうな太くて巨大な塔』が見える。
コトリ「えっと…ここは…?」
ウンディーネ「魔力濃度が高い…どうやら魔族領まで転移させられたみたいね」
魔族領…どうしてフレイ教官は、別の国に私を転移させて…?いや…それより…
コトリ「何でお母さんが生きて…それに…何であんなことをしでかして…!」
お母さんが生きてたこと、自身の記憶の齟齬、そして内戦の助長など…許容範囲を超えた出来事の連続で私は取り乱す
ウンディーネ「あんたね…前を向きなさい。真実を知りたいなら、こんなところで立ち止まってる暇ないでしょうが。
こんなところで立ち止まってたら、何も得ることができないどころか、アイリスたちを失うかもしれないわよ」
コトリ「っ…!……ありがとう、ウンディーネ…奮起させてくれて」
ウンディーネの言葉で、私は何とか冷静さを取り戻す…また私の悪いところが出てた、この心の不安定さは未だに治らない。
コトリ「とりあえず現状などを振り返ろう…ウンディーネ、聞き手をお願い」
私1人だったら冷静さを保てず纏まらなかったけど、話聞いてくれる彼女がいるから…私は色々と整理をすることにした
コトリ「まずは…お母さんも私と同じく半魔化してたし、そして言ってた声の彼女とは…この力の奥底はいったい何なのかな?」
ウンディーネ「そんなの私が正確にわかるわけないじゃない…まあそうね、戦乙女あたりに聞いてみたらどうかしら」
コトリ「三姉妹さんたちに…なるほど」
お母さんや…あの人…のことを知ってる彼女たちに聞けば確かにわかるかも、お母さんが生きてることも知ってて黙ってたみたいだし…。
コトリ「私たちは魔族領に転移したけど…他のみんなは大丈夫かな…」
ウンディーネ「発動者があいつだから大丈夫よ、ヘマはしてないでしょう」
コトリ「まさかフレイ教官が夢幻回路の管理者だったなんて…ウンディーネはその正体を知ってるの?」
ウンディーネ「ええ、もちろん。何せ『イーリスや初代聖女とそのお供3人、そしてフィリア姉妹に私たち花剣の精霊…と共に人間の尊厳を守る大戦を戦った魔族』だからね」
コトリ「え…フ、フレイ教官が魔族…!?」
驚く私をよそに、彼女は話を続ける
ウンディーネ「そうよ、魔族でありながら『フィリアの姉と結婚を誓ってた』人物よ。
そうね…管理者というのがフレイということは、もう1人の管理者…分校の彼女はフィリア姉かもね、まあ推測だけど」
コトリ「フレイ教官が結婚…しかもフィリアの姉と…!? 物語とかでしか背景は知らないけど、あの時代に魔族とだなんて…しかも人間に味方する魔族が、あの魔神の少女以外にいるだなんて…」
ウンディーネ「まあ色々とあったのよ…私の記憶が完全に復元できたら語ってあげるわよ、改変や語られてないことも含めてね」
彼女のこの反応、どうやら私やアイリス教官の予想通りだったようだ…歴史などが何者かによって改変されてるのが…。
ウンディーネ「それで、少しは落ち着けたかしら?」
コトリ「ん…もう大丈夫、ありがとう」
色々と彼女と話し合って落ち着いた私は…人間領に戻るのは最終目標だが、当面の目標を立てることにした
コトリ「とりあえず、あの天まで届きそうな高い塔を目指して進んでみよう」
ウンディーネ「辺りに魔獣の気配があるから、気をつけなさいな」
私とウンディーネはエクエス王国に戻るため、今いる連峰を降り始めた……。
コトリ「……ふぅ…人間領の魔獣と強さが違うね、1人だとそれなりに手こずる」
ウンディーネ「それはそうよ、だってここは魔の要素が豊富な領土なのだから」
歩き始めてから魔獣に何度も襲われ、私が通った後には…狼、鳥、虫…といった様々な魔獣の屍が出来ていた
魔族領の魔獣は、人間領の魔獣と違いしつこかった…野性がより強く出ている感じだ。
コトリ「でもこれなら何とかな…っ…!?」
魔獣たちを倒して進んでると…背後から強烈な殺気を感じ、私が振り返ると…
岩のような筋肉質の肉体に、3メートルほどの巨大な身体を持ち…背中にはパイプ状の器官が存在するゴリラのような大型魔獣がいた
ウンディーネ「どうやら魔獣の屍に…血の匂いに誘われてきたようね」
「がるああ!」
大型魔獣は咆哮を上げて襲い掛かってくる
コトリ「っ…あ、あんなのに当たったら私ぺっちゃんこだよ!」
振り上げられた右拳が振り下ろされ、私はかろうじて躱す…拳が叩きつけられた地面は陥没し、大型魔獣のパワーの強さが見てとれた。
コトリ「この…ダークブレッド!」
私は無数の魔力の弾丸を飛ばし、大型魔獣を牽制しようとする…が…
コトリ「嘘!?その巨体でそんな俊敏に!?」
大型魔獣は岩場を縦横無尽に飛び跳ね、魔法攻撃を掻い潜ってくる
「うるあ!」
コトリ「くっ…ああ!」
さらに魔獣は跳躍からの飛び蹴りまで繰り出し…私は間一髪で避けるが、衝撃波で吹き飛ばされ岩場に叩きつけられる。
コトリ「はぁはぁ…こんな強さ、今は本当に勘弁してよ!」
乱れた呼吸のまま何とか立ち上がる私に対して、魔獣は手を緩めず攻撃を仕掛けてくる
コトリ「ん…はぁあ!」
私は詠唱要らずの魔力の霧を発生させ、その中に身を隠して奇襲しようとする
「すぅう…」
霧によって私を見失った魔獣は、背中の器官から空気と魔素を取り込み…
「がるああっ!」
体内の熱量を高めて口から熱線…ビームのような火炎ブレスを放ち、それにより魔力の霧が吹き飛ばされた。
コトリ「な、何よそれ…めちゃくちゃだよ!」
ウンディーネ「私がいなかったら終わってたわね」
火炎光線や高温をかろうじて、ウンディーネのブーストを加えた水円陣によって防いだ
「うるああ!」
目眩しがなくなり、私を発見した魔獣は再び襲い掛かってくる
コトリ「はぁはぁ…くっ…!」
二足歩行と四足歩行を臨機応変にスイッチしながら、パワーある打撃と俊敏な動きに加え遠距離までこなし…さらに野性の感なのか、私の作戦をことごとく読み切ってきて
この大型魔獣、人間領の魔獣とはより強さの桁が違う…!
コトリ(万全な調子ならまだしも、騎甲兵戦後で体力を消耗してる今の私じゃ勝ち目がほぼない…それに…)
最後に頼れるはずの半魔化は、襲撃の一件…制御が効かない状態があったし、得体の知れなさがより増したため私は躊躇して…だから花剣なども使えず
さらにウンディーネはいるけど…慣れない土地での1人だけでの戦闘もあり、焦りなどから私の動きが鈍る…
「すうう…がるああっ!」
コトリ「っ!!」
その躊躇などの隙を狙われ、放たれた火炎光線が迫る…ぼ、防御が間に合わない…だめ…死…
「コトリ!これを使いなさい!」
コトリ「っ!?」
突如声が聞こえ、そして声が聞こえた方向から何かが飛んでくる…飛来したそれを手にした後、私は炎に飲み込まれた…
「がる!?」
だけど飛来した『黒のマフラー』を盾にし、炎や熱から私は身を守れた。
ウンディーネ「それ、魔力粒子で出来た防護マフラーといった感じね…なかなかレアな魔法アイテムじゃない」
コトリ「これのおかげで助かった…と、というか今の声は…!」
先程の声は聞き覚えがあり、そちらに目を向けると…褐色の黒髪少女と、純白の翼が生えた着物の女性…の2人が立っていた
「ね、やっぱり言った通りコトリの気配だった」
「ふむ…なぜぬしがこんなところにおる?」
コトリ「クロ!?それにリュネ!?」
突然現れた2人を見て私は驚く…何でこんなところにクロたちが? そういえば、メイヴさんから魔族領にいるって聞いてたような…というか、リュネのその翼はいったい…?
「ぐるお!」
リュネメイア「まあよい、とりあえず今はあれを何とかするかの…2人とも妾に合わせよ」
岩場を俊敏に移動しながら再び襲い掛かってくる大型魔獣…それに対してリュネは翼を広げ宙に舞う
リュネメイア「切り刻め…ウィングダガーよ」
「ぎゃう!?」
両翼が羽ばたくと、リュネから生えた純白の翼から無数の輝く羽の弾丸が放たれ…それを避けきれず、直撃した大型魔獣は動きを止める
「すぅう」
クロ「させない」
リュネを撃ち落とそうと炎のブレス体勢に入った大型魔獣に対して、クロは魔力を蜘蛛の糸に変換し…空気と魔素を取り込むところを狙い、その蜘蛛の糸を飛ばして器官を塞ぐ
あれは…前に私がリュネからもらってた力
「ぎ!?」
コトリ「さっきはよくもやってくれたね、お返し…七翼流 水の型 水流剣」
剣に纏わせた魔力を水魔法に変換させ…魔法剣によって作り出した竜巻状の水流で、大型魔獣を遥か彼方へと吹き飛ばす
ウンディーネのブーストもあるから、ひとたまりもないはずで…3人で連携しての戦闘は、2人のアシストもあり勝つことができた。
ウンディーネ「とりあえず何とかなったわね、お疲れさま」
コトリ「ん、ウンディーネこそお疲れさま」
彼女に感謝を伝えたあと、私はリュネたちのところへと行く
コトリ「2人とも助かった、ありがとう。2人が魔族領にいるとはメイヴさんから聞いてたけど、どうしてこんな連峰に…というかその翼はなに?」
リュネメイア「クロがぬしの気配を感じとったからここに来ただけよ…むしろぬしこそ、なぜ魔族領におる? あとぬし、メイヴを知って…それに、その花剣はアイリスの…」
クロ「リュネのこの翼は、そのメイメイさんが生やした。というか、その剣からする気配は…精霊?」
ウンディーネ「ええ、水の精霊ウンディーネよ。よろしくね、片割れさんたち」
片割れ…私とクロ、そしてアイリス教官とリュネ…を合わせた意味だろうか?
コトリ「何でここにいるかといえば…教会の三賢人によって学園が襲撃受けて、フレイ教官によって私はここへ転移させられたの。
ってそうだ!教会といえばリュネのお姉さん、アネット先輩とルリラさんのこと!」
リュネメイア「っ…!? ぬし、何で妾の姉の名を……教会…そして三賢人の名前もでとるとなると、どうやら深刻な事態のようじゃな。
とりあえず、歩きながら話そう…そして案内しよう、今妾たちが滞在しておる場所へ」
私の口から出た名前を聞いて、驚きと困惑の表情を浮かべるリュネ…
お互いの現状確認をすることになり…歩きながら話をし、リュネたちが今お世話になってる場所へ向かうことに……。
標高がそれなりに高いのか、雲の間から辺り一体が見渡せて…少し遠くには『天まで届きそうな太くて巨大な塔』が見える。
コトリ「えっと…ここは…?」
ウンディーネ「魔力濃度が高い…どうやら魔族領まで転移させられたみたいね」
魔族領…どうしてフレイ教官は、別の国に私を転移させて…?いや…それより…
コトリ「何でお母さんが生きて…それに…何であんなことをしでかして…!」
お母さんが生きてたこと、自身の記憶の齟齬、そして内戦の助長など…許容範囲を超えた出来事の連続で私は取り乱す
ウンディーネ「あんたね…前を向きなさい。真実を知りたいなら、こんなところで立ち止まってる暇ないでしょうが。
こんなところで立ち止まってたら、何も得ることができないどころか、アイリスたちを失うかもしれないわよ」
コトリ「っ…!……ありがとう、ウンディーネ…奮起させてくれて」
ウンディーネの言葉で、私は何とか冷静さを取り戻す…また私の悪いところが出てた、この心の不安定さは未だに治らない。
コトリ「とりあえず現状などを振り返ろう…ウンディーネ、聞き手をお願い」
私1人だったら冷静さを保てず纏まらなかったけど、話聞いてくれる彼女がいるから…私は色々と整理をすることにした
コトリ「まずは…お母さんも私と同じく半魔化してたし、そして言ってた声の彼女とは…この力の奥底はいったい何なのかな?」
ウンディーネ「そんなの私が正確にわかるわけないじゃない…まあそうね、戦乙女あたりに聞いてみたらどうかしら」
コトリ「三姉妹さんたちに…なるほど」
お母さんや…あの人…のことを知ってる彼女たちに聞けば確かにわかるかも、お母さんが生きてることも知ってて黙ってたみたいだし…。
コトリ「私たちは魔族領に転移したけど…他のみんなは大丈夫かな…」
ウンディーネ「発動者があいつだから大丈夫よ、ヘマはしてないでしょう」
コトリ「まさかフレイ教官が夢幻回路の管理者だったなんて…ウンディーネはその正体を知ってるの?」
ウンディーネ「ええ、もちろん。何せ『イーリスや初代聖女とそのお供3人、そしてフィリア姉妹に私たち花剣の精霊…と共に人間の尊厳を守る大戦を戦った魔族』だからね」
コトリ「え…フ、フレイ教官が魔族…!?」
驚く私をよそに、彼女は話を続ける
ウンディーネ「そうよ、魔族でありながら『フィリアの姉と結婚を誓ってた』人物よ。
そうね…管理者というのがフレイということは、もう1人の管理者…分校の彼女はフィリア姉かもね、まあ推測だけど」
コトリ「フレイ教官が結婚…しかもフィリアの姉と…!? 物語とかでしか背景は知らないけど、あの時代に魔族とだなんて…しかも人間に味方する魔族が、あの魔神の少女以外にいるだなんて…」
ウンディーネ「まあ色々とあったのよ…私の記憶が完全に復元できたら語ってあげるわよ、改変や語られてないことも含めてね」
彼女のこの反応、どうやら私やアイリス教官の予想通りだったようだ…歴史などが何者かによって改変されてるのが…。
ウンディーネ「それで、少しは落ち着けたかしら?」
コトリ「ん…もう大丈夫、ありがとう」
色々と彼女と話し合って落ち着いた私は…人間領に戻るのは最終目標だが、当面の目標を立てることにした
コトリ「とりあえず、あの天まで届きそうな高い塔を目指して進んでみよう」
ウンディーネ「辺りに魔獣の気配があるから、気をつけなさいな」
私とウンディーネはエクエス王国に戻るため、今いる連峰を降り始めた……。
コトリ「……ふぅ…人間領の魔獣と強さが違うね、1人だとそれなりに手こずる」
ウンディーネ「それはそうよ、だってここは魔の要素が豊富な領土なのだから」
歩き始めてから魔獣に何度も襲われ、私が通った後には…狼、鳥、虫…といった様々な魔獣の屍が出来ていた
魔族領の魔獣は、人間領の魔獣と違いしつこかった…野性がより強く出ている感じだ。
コトリ「でもこれなら何とかな…っ…!?」
魔獣たちを倒して進んでると…背後から強烈な殺気を感じ、私が振り返ると…
岩のような筋肉質の肉体に、3メートルほどの巨大な身体を持ち…背中にはパイプ状の器官が存在するゴリラのような大型魔獣がいた
ウンディーネ「どうやら魔獣の屍に…血の匂いに誘われてきたようね」
「がるああ!」
大型魔獣は咆哮を上げて襲い掛かってくる
コトリ「っ…あ、あんなのに当たったら私ぺっちゃんこだよ!」
振り上げられた右拳が振り下ろされ、私はかろうじて躱す…拳が叩きつけられた地面は陥没し、大型魔獣のパワーの強さが見てとれた。
コトリ「この…ダークブレッド!」
私は無数の魔力の弾丸を飛ばし、大型魔獣を牽制しようとする…が…
コトリ「嘘!?その巨体でそんな俊敏に!?」
大型魔獣は岩場を縦横無尽に飛び跳ね、魔法攻撃を掻い潜ってくる
「うるあ!」
コトリ「くっ…ああ!」
さらに魔獣は跳躍からの飛び蹴りまで繰り出し…私は間一髪で避けるが、衝撃波で吹き飛ばされ岩場に叩きつけられる。
コトリ「はぁはぁ…こんな強さ、今は本当に勘弁してよ!」
乱れた呼吸のまま何とか立ち上がる私に対して、魔獣は手を緩めず攻撃を仕掛けてくる
コトリ「ん…はぁあ!」
私は詠唱要らずの魔力の霧を発生させ、その中に身を隠して奇襲しようとする
「すぅう…」
霧によって私を見失った魔獣は、背中の器官から空気と魔素を取り込み…
「がるああっ!」
体内の熱量を高めて口から熱線…ビームのような火炎ブレスを放ち、それにより魔力の霧が吹き飛ばされた。
コトリ「な、何よそれ…めちゃくちゃだよ!」
ウンディーネ「私がいなかったら終わってたわね」
火炎光線や高温をかろうじて、ウンディーネのブーストを加えた水円陣によって防いだ
「うるああ!」
目眩しがなくなり、私を発見した魔獣は再び襲い掛かってくる
コトリ「はぁはぁ…くっ…!」
二足歩行と四足歩行を臨機応変にスイッチしながら、パワーある打撃と俊敏な動きに加え遠距離までこなし…さらに野性の感なのか、私の作戦をことごとく読み切ってきて
この大型魔獣、人間領の魔獣とはより強さの桁が違う…!
コトリ(万全な調子ならまだしも、騎甲兵戦後で体力を消耗してる今の私じゃ勝ち目がほぼない…それに…)
最後に頼れるはずの半魔化は、襲撃の一件…制御が効かない状態があったし、得体の知れなさがより増したため私は躊躇して…だから花剣なども使えず
さらにウンディーネはいるけど…慣れない土地での1人だけでの戦闘もあり、焦りなどから私の動きが鈍る…
「すうう…がるああっ!」
コトリ「っ!!」
その躊躇などの隙を狙われ、放たれた火炎光線が迫る…ぼ、防御が間に合わない…だめ…死…
「コトリ!これを使いなさい!」
コトリ「っ!?」
突如声が聞こえ、そして声が聞こえた方向から何かが飛んでくる…飛来したそれを手にした後、私は炎に飲み込まれた…
「がる!?」
だけど飛来した『黒のマフラー』を盾にし、炎や熱から私は身を守れた。
ウンディーネ「それ、魔力粒子で出来た防護マフラーといった感じね…なかなかレアな魔法アイテムじゃない」
コトリ「これのおかげで助かった…と、というか今の声は…!」
先程の声は聞き覚えがあり、そちらに目を向けると…褐色の黒髪少女と、純白の翼が生えた着物の女性…の2人が立っていた
「ね、やっぱり言った通りコトリの気配だった」
「ふむ…なぜぬしがこんなところにおる?」
コトリ「クロ!?それにリュネ!?」
突然現れた2人を見て私は驚く…何でこんなところにクロたちが? そういえば、メイヴさんから魔族領にいるって聞いてたような…というか、リュネのその翼はいったい…?
「ぐるお!」
リュネメイア「まあよい、とりあえず今はあれを何とかするかの…2人とも妾に合わせよ」
岩場を俊敏に移動しながら再び襲い掛かってくる大型魔獣…それに対してリュネは翼を広げ宙に舞う
リュネメイア「切り刻め…ウィングダガーよ」
「ぎゃう!?」
両翼が羽ばたくと、リュネから生えた純白の翼から無数の輝く羽の弾丸が放たれ…それを避けきれず、直撃した大型魔獣は動きを止める
「すぅう」
クロ「させない」
リュネを撃ち落とそうと炎のブレス体勢に入った大型魔獣に対して、クロは魔力を蜘蛛の糸に変換し…空気と魔素を取り込むところを狙い、その蜘蛛の糸を飛ばして器官を塞ぐ
あれは…前に私がリュネからもらってた力
「ぎ!?」
コトリ「さっきはよくもやってくれたね、お返し…七翼流 水の型 水流剣」
剣に纏わせた魔力を水魔法に変換させ…魔法剣によって作り出した竜巻状の水流で、大型魔獣を遥か彼方へと吹き飛ばす
ウンディーネのブーストもあるから、ひとたまりもないはずで…3人で連携しての戦闘は、2人のアシストもあり勝つことができた。
ウンディーネ「とりあえず何とかなったわね、お疲れさま」
コトリ「ん、ウンディーネこそお疲れさま」
彼女に感謝を伝えたあと、私はリュネたちのところへと行く
コトリ「2人とも助かった、ありがとう。2人が魔族領にいるとはメイヴさんから聞いてたけど、どうしてこんな連峰に…というかその翼はなに?」
リュネメイア「クロがぬしの気配を感じとったからここに来ただけよ…むしろぬしこそ、なぜ魔族領におる? あとぬし、メイヴを知って…それに、その花剣はアイリスの…」
クロ「リュネのこの翼は、そのメイメイさんが生やした。というか、その剣からする気配は…精霊?」
ウンディーネ「ええ、水の精霊ウンディーネよ。よろしくね、片割れさんたち」
片割れ…私とクロ、そしてアイリス教官とリュネ…を合わせた意味だろうか?
コトリ「何でここにいるかといえば…教会の三賢人によって学園が襲撃受けて、フレイ教官によって私はここへ転移させられたの。
ってそうだ!教会といえばリュネのお姉さん、アネット先輩とルリラさんのこと!」
リュネメイア「っ…!? ぬし、何で妾の姉の名を……教会…そして三賢人の名前もでとるとなると、どうやら深刻な事態のようじゃな。
とりあえず、歩きながら話そう…そして案内しよう、今妾たちが滞在しておる場所へ」
私の口から出た名前を聞いて、驚きと困惑の表情を浮かべるリュネ…
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