騎士学生と教官の百合物語

コマドリ

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第8節 フィリア騎士学園本校地下・世界の深奥編

第347話 回想 若い3人

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大戦より昔の王都アルカンシエル

その蒼の王都を男女2人が歩いている

少年は多くの『看板』が入ったカバンを背負い…黒髪で薄紫色の瞳、着物に剣を腰に携えた少女の2人組

「……ねえ、オズ…王国の王都に来たら、強い人たちがいっぱい居るって話だったじゃない?それなのに一向に出会えないのだけど…」

「いやさすがにお前ほどの奴が、そんなにごろごろいるはずないだろ…クラウゼル家の連中全員薙ぎ倒してきた、自分の規格外の実力考えろ。まあこんなに暴れ回ってるんだ、噂になってそのうち目をつけられるはずだ」

そんな2人の前に立ち塞がる少女がいた

「その看板…王都内にある様々な流派の道場破りをして、調子に乗ってる奴らはお前らか?ちょっとつらかせや」

腰に剣を携えた…赤髪で不良のような少女が、黒髪の少女を睨みつけていた。


「挑戦者が釣れたわね…にしてはガキね、こんな華奢じゃ強くなさそう」

「あぁん?ガキは同じだろ。ちょっとデカいからって、まさかそっちこそウドの大木じゃねぇよな」

ぴきり…お互いの挑発で、2人は軽く怒った様子を見せる

「いいわ、受けて立とうじゃない…名乗りなさい」

「私はレイン=ウイング…そっちも名乗りやがれ」

「私はミク…名乗る家名は、家を出る時に捨てたのでないわ」


ミクとレインは決闘する事となり、3人は場所を移し…王都の外、森林公園へ移動した

ミク「先に言っとくけど、剣を抜いたら手加減なんてできないわよ」

レイン「はっ…上等だ」

鞘に収まる剣に触れ、2人は臨戦態勢をとる

オズ「それじゃあ…はじめ」

ミク「はぁああっ!」

レイン「らぁああっ!」

開始合図とともに2人は超速で間合いを詰め、お互いに超速の居合い抜きを繰り出す

オズ「のああ!?」

ぶつかり合った剣同士の威力で突風が巻き起こり、オズや周囲の物を吹き飛ばす

ミク「…へぇ」

レイン「…どうやら、ウドの大木じゃねーようだな」

2人は鍔迫り合いをしながら、次に相手がどう動くのかを…読み合いしている。


ミク/レイン「ふっ!」

お互いに剣を弾くと、超速で移動しながら切り結び合う2人…

木々の隙間をすり抜けながら斬り合う2人の鋭い剣筋は、木を粉々に裂く

ミク/レイン「せぁああっ!」

お互いに紙一重で攻撃を避け、鍔迫り合いをし…互いに引かぬ激しい攻防をみせる。


レイン「(はん…ほざくだけあってやりやがるな。お互いに速さや力はほぼ同じ…なら魔法剣で…技で制してやるよ!)

七翼流 闇の型 重力剣!」

ミク「っ!?」

レインは剣に纏わせた魔力を闇魔法に変換し、剣技とともに魔法剣を繰り出し…その破壊力により、ミクを後方へ吹き飛ばす。


レイン「このままもう1発いくぜ!七翼流っーー」

一気に畳み掛けようとレインは駆け出しながら、もう一度魔法剣を放とうとし…

ミク「……ふぅ…七翼流っーー」

レイン「っ!?」

それを剣を構えて迎え撃とうとするミク…彼女が剣に纏わせた魔力が、闇魔法に変換し…

レイン/ミク「「重力剣っ!!」」

魔法剣同士の衝撃で…周囲の木々が吹き飛び、2人の下の地面が陥没する。


オズ「おいおい…ミクのやつマジかよ…」

レイン「(……まさか一度見ただけで、私の動きに足運び…そして魔法剣を真似るだけではなく、威力や精度まで完璧に再現しやがった)

はは…なんて才能してやがんだよ」

ミク「……ふふ…オズの誘いに乗って、育ての奴らやお姉さま方をまとめて切り伏せて家と国を出てよかった…あなたみたいな強い剣士がいたのだから!あはは!こんなに楽しい斬り合いはあなたが初めてだよ!レイン!」

レイン「くく…それは私もよ、ミク!悲しみを忘れるための憂さ晴らし程度のつもりだったのに…最高の好敵手を見つけたわ!」

オズ「……2人とも戦闘狂だな…てか剣だけでこれほどの事起こすとは…一部とはいえ周囲の木々あらかた吹き飛ばして、俺知らねぇぞ」

2人の剣士はお互いに笑顔で切り結び続ける…そのぶつかり合いの衝撃で、未開発森林エリアの被害は拡大し続ける。


勝負は夕暮れ時まで続いたが、結局決着はつかず…2人が満足したところで、話を切り出す

レイン「なあミク、それに連れの男も…私の家に、おじいちゃんのところに来なさい」

オズ「はあ?とりあえずだ、俺にはオズって名前がある…そして何だいきなり」

レイン「ミクは今でもかなり強いが…私のおじいちゃんのところで剣術の腕を磨いたら、もっと強くなる」

ミク「……つまりそのおじいちゃんとやらは、レインより強いのか?」

レイン「ああ、次元が違うほどにな」

ミク「よし、なら行く」

即答したミクを…ジト目で見るオズ。


オズ「おいおい…まあクラウゼル家を出て、行く当てもなかったし…身を置ける場所は歓迎ではあるが…」

レイン「何だ、ミクは家出娘か?いや、男を連れにしてるってことは…駆け落ちってやつか?」

ミク「まあそれに近いかもね…ただ血筋ってだけの育ての家だから、未練なんてないけど」

レイン「お前ら、色々と訳ありなんだな」

ミク「それはレインこそでしょ?色々と不良そうにみえて、まじめで練習怠らない綺麗な剣筋をしていたけど」

レイン「……それは…うちに来たらわかんよ…(何せ遺影があるかんな)

まあ、とりあえずだ…」

レインは手をミクたちに差し出す

レイン「これからよろしくだ、ミク…また切り結び合おうぜ。もちろん連れの男…オズもな、どんな腕前か気になるし」

ミク「ええ、いつでも望むところよ」

オズ「いや勘弁してくれ…お前らとやりあったら命がいくつあっても足りん…」

夕暮れの中、3人は握手を交わした……。
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