騎士学生と教官の百合物語

コマドリ

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第8節 フィリア騎士学園本校地下・世界の深奥編

第346話 記憶の再現【狂都の大王】

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夢幻回路4階層の奥には、新たに出現したテレポーターがあり…そこから最終階層へとやってきた私たちは、協力者たちと共に最奥を目指して進む

この階層の上空には『赤い月』が浮かんでいて、周囲もその光からか赤暗くて…しかもそれだけではないようで…

アイリス/エリシア/シャロン「……。」

エレイン「学園地下にこのような場所が…色々と不思議な空間ね」

シロナ「うーん、意図的に作られたものかもだけど…人間や魔族にこんな空間作り出せるかな?人なども関わってそうだけど、基礎は『神』辺りかな…

(この感じ…これはもしかすると…。)」

セイバー「というか、今回は雰囲気が今までと違いますわね」

モニカ「すごく濃い闇の瘴気がこの階層に充満してますね」

コトリ「あと、今回の敵も今までと少し違う…魔獣より魔族の方が多い」

クレーティ「ああ、なるほどね…教官とメイドさんの3人は気づいているみたいだね?」

クレーは触手記憶映像でしか見たことないけどと呟き、その後に教官たちの方を見る。


エリシア「ああ、おそらくだがこれは…」

アイリス「うん、7年前の大戦時に私たちが倒してきた魔獣や魔族たちだね」

コトリ「…!人魔大戦の時の…何でそんなのがここに…」

エリシア「おそらく、これも記憶で再現されてるのだろう」

アイリス「そして、この辺りの記憶から再現されてるって事は…この先に待つ何かと関係がありそうだね」

シロナたちの助っ人もあり、いつの間にか最奥扉前に辿り着いていた

そしてその中から、巨大な力を持つ何かがいる事を感じ取れた

モニカ「私でも感じ取れるほどの…凄まじい闇の力です…」

シロナ「これは、わくわくしてきたね♪」

セイバー「先に言っときますけど、1人で突っ走らないでくださいよ」

エレイン(シロナさん、戦闘狂で天真爛漫に見えますが…微かに剣に乗せる想いから感じるものは『怒り』…どうやら、闘い好きなだけではないみたいですね)

フレイ「皆さん、警戒を怠らないように」

シャロン「精一杯サポートさせてもらいます」

気を引き締めた私たちが前に立つと、巨大な扉が開いてその中へ…すると、最奥には1人の男がいた。


コトリ「えっと…あの人は…?」

セイバー「コトリさん…あなたという人は…」

モニカ「コトリちゃんは相変わらずですね…あの人はこの王国の王様、アルモンド=ユージオ=デュソルトバート=アーデイですよ」

コトリ「え、王様…!?何でそんな人がこんな所に…?」

エレイン「記憶で再現されたのでしょう…しかし、どういった理由で…」

シャロン「……大戦時の記憶にその時の敵…まさか…」

そうしてると目の前の王様から…魔族より遥かにドス黒く、強力たる深淵の魔力が溢れ出し…闇の力がその場に満たされ、支配する…

それと同時に王様の姿が…4本のツノに、黒と赤が混じる巨大な姿に、漆黒の日輪を背中に発現させた…異形の姿へと変わった

コトリ「っ…!?な、何こいつ…底が知れないプレッシャーと魔力を感じる…!」

シロナ「これは『悪魔』というやつだね、しかもかなり序列は最高位だ…まあ本体ではなく『影』みたいだけど」

アイリス「王様に大戦の魔族たち…この悪魔もしかして彼女から聞いていた、大戦時王都に現れたっていう…」

(そうだ…かつてオーレリア=イークレムンが2人の協力者と倒した悪魔『狂都の大王アムドゥシアス=ミラージュ』だ)

どこからか声が頭に響いたと思ったら、私たちの隣にそれは現れる…目で見えているのに『男女かも認識できない』人物が。


エリシア「認識できない…魔法か何かか?そしてこいつはもしや…」

アイリス「うん、その人が夢幻回路の管理者だよ…まあ正体は不明何だけどね」

(ああ、認識阻害魔法だ…まだ私の正体を明かす場面ではない、それはもう少し後だ

そしてその記憶の影の悪魔を倒すことが、最終試練の内容だ。欲しいものを得たいのであれば、心してかかるがいい)

シロナ「いやー、本当に一方的だね」

セイバー「あなたがいいますか…」

モニカ「フレイ教官は下がっていてください!エレインさんとシャロンさん、お力をお貸しください」

エレイン/シャロン「もちろんです」

クレーティ「危なくなったら、私が助けるからね」

エリシア「協力者の3名と連携しつつ、奴を叩くぞ」

アイリス「影で記憶の再現とはいえ、あの悪魔はおそらく唸る獣以上の強敵だよ…みんな油断しないように」

コトリ「ん!学園での半年間の締めくくりにちょうどいい…こいつを倒して笑顔で終える!」

無数の鎌が何もない空間から現れ、悪魔の周りに浮遊している…教官の言葉とともに私たちは戦闘態勢を取り、悪魔を迎え撃つ。


コトリ「七翼流 水の型 水円陣」

悪魔を守護するかのように浮遊した無数の鎌がひとりでに動き、勢いよく敵たる私たちに襲い掛かる

強力な魔力を帯びて回転しながら襲いくる鎌…私たちはそれぞれの武器や技で撃ち落とし続け、けたたましい金属音が鳴り響く…

攻防の中で悪魔が手をかざすと…何かの力で私は宙を舞って、剣技を打ち破られ悪魔へと勢いよく引き寄せられる

コトリ「っ!?」

セイバー「コトリさん!」

シャロン「あれは…聞いていた引力による攻撃…!」

そして、その先には鎌が待ち受ける…やばい、これ躱せない…!

モニカ「蔦よ!くっ…引っ張る力が強い…クレーちゃん!」

クレーティ「2人一緒でも長くは保たない…今のうちに救出して」

モニカの植物魔法とクレーの触手によって支えられ…綱引きみたいに引っ張られる形で、間一髪で踏ん張り堪えれた。


シャロン「ふっ!っ…今です!」

シャロンさんの魔力の糸が迫る無数の鎌に絡みつき…彼女の身体に負担が掛かりながらも、鎌の動きをかろうじて止めてみせる

エレイン「七翼流 風の型 風神」

セイバー「はぁああ!」

エリシア「せあ!」

その間にセイバーたちが無数の鎌を弾き飛ばし道を作ると、その通り道をアイリス教官が駆け抜ける

アイリス「ふっ!」

私を狙っていた鎌を…教官は蒼の大剣で一閃して弾く

シロナ「七翼流っーー」

そして鎌の動きを僅かに制圧した時間…その隙をついて悪魔に接近していたシロナは、跳躍しながら魔法剣を放とうしていた…

そのシロナの攻撃の直前で引力が消え、私は悪魔に引っ張られなくなって

シロナ「っ!?」

それと同時に謎のノーモーション衝撃波で、シロナは吹き飛ばされる

アイリス「今度は斥力…!」

シロナが吹き飛ばされた数秒後、地面についた私はすぐさま全力で巨大悪魔へ向け跳躍し…

コトリ「お返し!七翼流 闇の型 重力剣!」

全力の魔法剣を放った…このタイミングならガードできないはず…!

防御体勢もとらなく、直撃を確信したが…

コトリ「っ!?」

悪魔の全身を包むように、円状の闇のバリアが作り出され…魔術文字が浮かび上がっている障壁で、攻撃を防がれてしまう

コトリ「これは…悪魔の障壁…ニニムさんが見せた…」

「……。」

コトリ「っ…ダ、ダークシールド!ぐっ…ああっ!」

再び放たれた予備動作なしの衝撃波…それを咄嗟に半魔化しての魔法盾で防ぐが、その威力で盾を砕かれながら私はみんなのところまで吹き飛ばされる。


アイリス「コトリ、大丈夫かな!」

コトリ「ん…何とか」

シロナ「いやー予備動作なしの衝撃波とか、攻守ともに隙がないね」

ダメージを受けているが、盾によりまだ動ける私…それに対しシロナは何ともないようだ

直撃したように見えて、実際は斥力の衝撃波を受け流してたのか…相変わらずの回避力だね

コトリ「シロナへ向けて斥力を発動する前に、私を引っ張る引力が消えたけど…あれってもしかして…」

フレイ「おそらく引力と斥力の同時使用はできないみたいですね」

無数の鎌が定位置に戻り、悪魔を守護するように再び周囲を浮遊している…しかし1つ最初と変化が見られ、それは悪魔の魔力が始めの時より膨れ上がっていた

フレイ「どうやら、こうしてる間にもあれは魔力を溜めていますね…この階層まるごと呑み込む闇の波動を放つために」

シャロン「話に聞いていた、異界化した王宮すら吹き飛ばすかもという波動攻撃ですか」

アイリス「確かオーレリアの2人の協力者はその攻撃を切り開いたみたいだけど、今の私にはできないかな…まあ、あなたならできそうな気もするけど」

シロナ「うーん…実際にこの眼で見てないから、完全にできるとは言い切れないかな」

エレイン「どうやらそれを放たれる前に…短期決戦で決着をつけるしかないようですね」

そうこうしているうちに、再び無数の鎌が魔力を帯びて回転しながら襲ってくる…しかも速さや切れ味が増して。


モニカ「私が植物魔法で、より皆さんの身体能力を強化します!」

クレーティ「私も強化魔法できるから、一緒にするよぉ」

後方に位置取っているモニカとクレーは強化魔法を発動し、身体強化された私たちは無数の鎌に何とか対応できるように

怒涛の鎌乱舞を避けるなか、再び私に向けて悪魔は手をかざしてくる

コトリ「ふぅ…恐怖センサーオン」

本能と身体へのスイッチを入れ…迫る恐怖を察知して、私の身体は勝手にそれを避けるために動いて…それにより引力攻撃を躱す

よし…この小鳥の舞なら、鎌攻撃だけじゃなくて見えない引き寄せ攻撃も避けられる。


ウンディーネ「それで、具体的にどうするのかしら?攻守完璧な奴に対して、打つ手はあるの?」

エレイン「……障壁は私とコトリさんが何とかします…問題は他ですが…」

エリシア「では鎌は私が何とかしよう」

セイバー「私も鎌を引き受けます」

シャロン「お嬢さまたちの道を作るのでしたら、私も協力いたします」

シロナ「そういう布陣となると、私と剣鬼がトドメということだね」

アイリス「シロナと2人でなら、斥力の衝撃波も叩き切れるはず」

コトリ「ん…それじゃあやるよ、ウンディーネ!」

ウンディーネ「仕方ないわね、付き合ってあげるわ」

半魔化してる私は虹の花剣を手に取り、蒼の魔力刃を発現させ…総攻撃を仕掛ける。


その私たちに目掛けて、無数の鎌がより激しさを増して襲い掛かってくる。

エリシア「限定・紫電ウェポン」

特別性の靴と剣に雷属性付与し…限定的に速さと攻撃力を底上げしたエリシアは、紫電一閃して複数の鎌を弾き飛ばす。

シャロン「暗技・スパイダーネット…リフレクション」

破天の七杖によって鍛えられた暗殺術を使用し…伸縮性を高めた魔力の糸の束で1本の鎌を受け止め、威力を倍返しにして跳ね返し…別の鎌にぶつけて砕く。

セイバー「暁風モード・獅子咆天撃!」

暁の風を纏ったセイバーは、両手による全力の掌底打ちを繰り出し悪魔の鎌を弾き飛ばす。

私たち4人に迫る鎌のみを弾き、私たちの道を作ってくれる

エレイン「限定・シャイニングウェポン」

光属性がエレインさんの剣に付与される。私とエレインさんは、教官とシロナより先行してその道を駆け抜け…巨大悪魔に向けて跳躍する

コトリ/エレイン「七翼流 闇の型 重力剣っ!」

超速のままエレインさんと同時に魔法剣を放ち、渾身の一撃が障壁に直撃した。


コトリ「嘘…花剣でも…!」

しかし、悪魔の障壁で重力剣を防がれる…これでもだめだなんて…

エレイン「重力剣でこのまま連撃します…私の動きについてきてください」

コトリ「え…?っ…わ、わかった!」

エレインさんの声に反応し、彼女の動きに合わせて私の身体が動く

コトリ/エレイン「はぁあああっ!」

剣に纏わせた魔力を闇魔法に変換するのを繰り返し…私たちは瞬時に連続して、重力剣を何度も放つ

アイリス「あれは…シリウスおじさまの!」

コトリ/エレイン「連撃必殺・重力剣っ!」

一瞬の魔法剣連撃…エレインさんの助言により、かろうじて悪魔の障壁を砕けた

コトリ「っ…道を繋げた…あとはお願い!」

連続発動の魔法剣を放ったことにより、相当な負担が身体に掛かって。今の私の練度じゃ、連撃で放つのキツい…でも可能性を繋げれた!


後から跳躍してきた教官たち2人が、私とエレインさんを追い越す

アイリス「コトリ、よくやったね…あとは任せて!」

シロナ「剣姫もやるじゃん♪ふふ…私も張り切っちゃおうか」

迎え撃つ悪魔は斥力の衝撃波を放つ…それは先程までのを超えた超威力で

アイリス「モードチェンジ・ブレイブフォームっーー襲色瑠璃波奏の剣」

シロナ「七翼流 光の型 奥義…終の太刀・光翼陣閃」

アイリスは細剣に想いと魔力を込める…まるで空を表したかのように刀身が濃い紫みの鮮やかな青色に染まり、一閃する。

剣の鍔に輝く二翼の翼生やし、光の翼纏った居合抜き一閃する…それはシリウスと同じく、シロナは奥義を独自に極めた先の『1つの到達点』を見せた。


フレイ「……至りましたか」

コトリ「っ…これ…は…!?」

教官とシロナの超絶連携攻撃は、斥力の衝撃波ごと悪魔を切り裂いた…

悪魔を倒したのと同時にまばゆい光が視界を埋めつくし、頭の中に『3つ』の記憶が再生される……。
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