騎士学生と教官の百合物語

コマドリ

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第8節 フィリア騎士学園本校地下・世界の深奥編

第334話 人魔再会②

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リリス「ふふ、いい子ね…♡(催眠洗脳の定着率は上々。深くかかっているから当分自分で破ることは出来ないでしょう♪…取り敢えず定義付けは終わり♡)」

エリシア「ひぅう♡ん、んぁああああっ♡」

エリシアが自分を主人と認め、歪んだ思想に賛同すると優しく頭を撫でながら幸福を煽る神経を魔力で刺激してあげ、嬉しさを引き出す。


リリス「さて、取り敢えずこんな無粋なところで『仕込む』のは野暮だし、屋敷に行きましょうか♪今転移魔法をーーーっ!?」

銃声が鳴ると魔力の弾丸が飛んできて、リリスはそれをバックステップして躱す…

それと同時にエリシアの横に教会騎士が『空間入れ替え』の力で現れ、エリシアを庇うように前へと出る。

遅れてその教会騎士の隣に、魔道銃を持つ女性騎士がやってきて…2人の女騎士は、どちらも紫色の髪をしていた。


リリス「……空間入れ替えの力で、この屋敷に侵入したというところかしら?

教会騎士団副長『二代目・未来の守り手』のラン=ツキカゼさんに…その従騎士をしている、姉のリーメイさん。」

気を失ったエリシアの容体に問題がないのを確認すると、姉妹騎士はリリスに剣を向けながら警戒する。


リーメイ「ええ、まあそんなところです。しかしまさか、王国議員の懐に魔族が…しかも六武聖という大物が入り込んでいるとは。」

ラン「マリスミゼルさんからの依頼で、エリシアさんのサポート兼救出に来ました。」

リリス「さすがはマリスミゼル、もしもの保険も用意しておいたのね…確かにランさんの力は、潜入にも脱出にも向いてるものね。

そういえばその空間入れ替え能力…確か『悪魔の守り手』と名乗った女性と同じ能力ね。」

ラン「……え」

リーメイ「ラン!戦場で意識を逸らしちゃだめでしょ!」

不意の囁きで、ランはそちらに思考がいってしまう。その隙を突かれ、リリスの背後から何かが飛翔し…ランへと迫る。それを身を挺してリーメイが庇う。


ラン「あっ…お、お姉ちゃん!」

リーメイ「くっ…何これ…動けな…い…!」

ねばねばした『蜘蛛の糸』が身体に絡みつき、リーメイは身動きがとれなく…拘束成功後、2人の女性がリリスの背後から現れる。

「ふふ…隙だらけでしたよ。お姉さんの言う通り、戦場で他の事に意識を逸らしてはいけませんね。それはそうと、久しぶりですねラン」

「無駄ですよ、ガブリエラさまの蜘蛛の糸からは逃げられません」

ラン「あ、あなたは…ガブリエラお姉さま…!? それにリャンさま…!?」

かつてランを雌猫に調教したガブリエラと、その彼女の懐刀であるリャンが…リリスの隣に並ぶ。


リーメイ「四大魔光の1人『蜘蛛の姫/アラクネプリンセス』のガブリエラ…まさか魔族の大物が、2人も議員の陰にいたとは…。」

リリス「こちらも友達を呼んで、一緒に釣りをしていました…マリスミゼルと同じで保険です。さて、これで形勢逆転ですね♪」

釣りをするにあたって、リリスはガブリエラを呼んでいた…一緒に調教するためと、もしもの時の保険戦力として。

リリス「それじゃあ、エリシアとまとめて皆捕まえちゃいましょうか♪」

ラン「っ…!」

助けにきたはずなのに簡単に形勢逆転され、ランたちは追い込まれ…そんな時、2つの声が聞こえてきた。

「楽しそうなお茶会ですね」

「私たちも混ぜてよ」

ガブリエラ「っ!?」

魔法により壁が突き破られ、それによりリリスたちは後退を余儀なくされる。

2つの勢力に割って入ってきたのは…1人は赤毛の女性、メイド服を着た2人の女性、盾を持ち騎士服を着た女性1人…計4人だった。


リリス「あなたは傭兵団の団長…これはどういうことかしら?私たちの加勢にきた訳ではない様子ですが。……そして…なぜあなたが…。」

リリスは視線を盾を持つ女騎士に移し…その2人がお互いに見つめ合うなか、赤毛の女性は口を開く。

「それはこれが、仮の姿だからだよ。私の本当の姿は…。」

姿が霧のように揺らぎ、赤毛の女性の姿が…ピンク髪のポニーテール、メイド服を着た女性に変化した。

「私はリュネさまの1番の部下…メイド騎士のマリィです!」

キラッ♪とポーズを決めるマリィの横に並んだのは…首くらいまであるピンク髪、メイド服を着た女性。

「ちょっと、妹なのに姉を差し置いてリュネさまの1番って…リュネさまの1番は姉である私ですよ! っと、自己紹介が遅れました…私はメイド騎士のユウリです。

それでこっちが、小言で口うるさいメイド長のスリスさまです。」

「それはあなたたちが悪いからでしょう。全くあなたたちは1人でもうるさいですが、2人揃うと相変わらず余計にうるさいですね。」

頭に手を当てため息をつくスリス。それを見たガブリエラたちの反応は…。


リャン「ユウリにマリィ…7年前にリュネメイア=レムグラストの副官をしていた姉妹騎士の名前ですね。

それに元王国の参謀であったスリスもいるとなると…なるほど…リュネメイアが王国騎士団を抜けた時に、そのまま同じく騎士団を抜けて彼女についていったのですね。」

スリス「そういうあなたは元破天の7杖に所属していましたよね? 暗殺任務に失敗…その後標的であったガブリエラに寵愛され、彼女に仕えるようになったのですよね?」

ガブリエラ「さすがは参謀殿ですね、色々とこちらの事をご存じで。それで、先程の姿などのカラクリの内容を聞いても?」

リュネメイアの副官である姉妹に、ガブリエラは尋ねる…先程の赤毛の姿は何だったのかを。

マリィ「それは、古代魔法の一つ…時魔法の魔力が込められた指輪を使ったからだよ。

リュネさまから借りたこの指輪を装備していると…人の身体全体に薄い魔力を張って、周囲には装備者の身体を『指輪に記憶された人物』に見えるよう錯覚させる効果があるんだ♪」

ユウリ「時間制限はあるけど、姉妹2人で交互に使用すればそれもカバーできます。といっても幻覚と似たようなもので、ごまかしてるだけなんですけどね。」

アイリスが持つのと同種の、銀の指輪の効果の説明しを終えると…姉妹メイドはぐっと拳を握ると宣言する。

ユウリ/マリィ「ふふ…屋敷に帰ったら、この潜入任務をうまくやったご褒美に、リュネさまにいっぱい褒めてもらおー♪」

スリス「ああ…リュネさまは今クロと出掛けているので、屋敷にはいませんよ」

ユウリ/マリィ「えー!クロばっかりずるーい!」

かつてリュネメイアからお使いを頼まれ、クロが嫉妬した相手…それがこの姉妹だった。


ガブリエラ「なるほど…リュネメイアは放火事件の一件で、唸る獣と対立する私たち魔族に監視をつけていたのですね…色々と彼女にも思惑がありそうです。

メイド騎士殿たちを加えても、まだ戦力はこちらが上…ですが…。」

冷静に状況を判断するガブリエラは、リリスに視線移す…そこにはまだ見つめ合う2人の姿があった。

リリス「久しぶりですね、フラン…でも領主であるあなたが、領地を離れてどうするのよ」

フラン「お久しぶりです、リリスお姉さま…大丈夫です、領地は父に任せていますので」

芯の通った眼でリリスを見つめるフラン…それにより視線を逸らしたリリスは、口を開き

リリス「とりあえずこの場は引いてあげます…『仕込み』もすでに完了していますからね」

フラン「……お姉さま、何を隠しているのです? そして、どうして私の前から姿を消したのですか?」

リリス「隠すとは何をです。魔王さまの配下である今の私は人類の敵なのです…だからあなたたち人間とは馴れ合いをやめただけです。

フラン、次に会った時にはあなたも…そしてエリシア共々私のペットにしてあげます。六武聖として容赦なく…だから『戦う覚悟』しておきなさい。」

ガブリエラ「(まったくこの娘は…それにヴィレーヌも、自分のことに対しては本当に不器用なのですから。)

ランも覚悟しておきなさい。リャンと同じく、お姉さんであるリーメイも含め…姉妹共々私の雌猫にしてあげますから。

……抗えなければ、魔王さまとその『協力者』は容赦なく人類を飲み込みますから。」

そう言い残し、リリスたちは姿を消した……。
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