騎士学生と教官の百合物語

コマドリ

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第8節 フィリア騎士学園本校地下・世界の深奥編

第316話 回想 四大魔光

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姉さまを救出するため、私は単身1人で洞窟へ潜入をし…うまく潜り込めたが、途中で1人の女性と魔獣たちに行手を阻まれて。

女性は…ライトゴールドのショートカット、目元には仮面をしその下には黄緑色の瞳、腰には剣を装備、巫女装束を着ている。


サクヤ「いい加減そこをどいてください!」

「ごめんね、それは無理なの。白銀に今は誰も通すなってお願いされてるから。」

その女性が操っているとみられる…蛇、狼、コウモリ、サソリ…などなど多種多様の魔獣が襲い掛かってきて、それを私は槍で葬る。

しかし何十体と倒しても一向に数が減らなく、奥から追加で出てきて…いったい何匹いるのです!

「大丈夫、おとなしく待っていたらお姉さんは帰ってくるよ…だから今は帰ってくれないかな?」

「姉さまを誘拐した人の言葉を…そんな話が信用できると? 力づくで押し通ります!」

「まあそうなるよね…なら足止めだけじゃなく、拘束させてもらうね。」

女性がぱちんと指を鳴らすと、熊のような大きい魔獣が現れて…その熊魔獣は他の魔獣たちと連携し、波状攻撃を仕掛けてくる。


サクヤ「くっ…はぁはぁ…!」

襲いくる魔獣を倒していく私だが、次第に息が切れ始め…。

「あなたは凄まじい手練れです。が、幼いためか体力…スタミナがまだまだですね。このまま数の暴力で押し切らせてもらいます。」

サクヤ「っ…ああっ!」

避けきれなく…熊魔獣の攻撃を受け吹き飛ばされ、私は立ち上がれなく。

「……あなたも今代の聖女も、彼女…『K・クラウディア・シーケン』には及びませんね。それでは、拘束します。」

サクヤ「姉…さま…ごめん…なさい…。」

魔獣が倒れる私に迫る。私は涙を零し…救えなかったことを謝り……。


……サクヤが謝罪を呟いた直後、数発の銃声が響き渡る。その音の後、サクヤに迫っていた魔獣たちが倒れる。

サクヤたちが視線を向けた方には…イムカが『銃口の付いた長剣』を構えていて、そのそばにはクラリッサがいた。

イムカ「私が敵の陣形を崩すから、その隙にクラリッサはサクヤを」

クラリッサ「はい…お願いします!」

銃剣を手にイムカは切り込んで、剣の薙ぎで魔獣を一閃。さらに弾丸で魔獣を撃ち抜き…発射後、剣内部からリボルバー音がした。

「『ガンソード』…南方の新興国…『魔術』ではなく、『化学』を保持すると言われる機械族の武器…なぜそれをエルフ族のあなたが持っているの?」

イムカ「機族王エルメスの国の武器を、ユラ経由でもらったんだ。」

「そう…あなたがあの『四大魔光』の1人『子供の守り手』イムカですか。」

イムカ「その二つ名はユラの方が似合ってると、今でも思うんだがな…まあ、子供は好きだが。それより、学園で魔獣を操っていたのはお前だな…『魔の巫女』さん?」

『白銀』のセレス
『蜘蛛の姫/アラクネプリンセス』ガブリエラ
『鬼鳥』ユラミルティ
『子供の守り手』イムカ
魔王軍六武聖に匹敵するという4人の魔族を『四大魔光』と呼んだ。


イムカが敵と戦闘している間に、クラリッサはサクヤに駆け寄り…彼女を抱きかかえながら、心配した表情を向けて。

サクヤ「クラリッサたち…なんでここに…?」

クラリッサ「なんでって…そんなのお嬢さまが心配だったからですよ!」

サクヤ「え…私が…心配…?」

疲労した様子のお嬢さま…心配されたことに、驚きと戸惑いなどの感情が見てとられ…なぜ心配されたのか、心配してくれたのか理解できない様子で。

幼いのに大人びていて忘れそうになるが…魔力量は人類最強だが、それ以外はただの優しい少女…姉を救いたくても救えなく、涙を流す弱い面も持っている普通の…。

クラリッサ「っ…!」

こんな頑張り屋で健気なお嬢さまを泣かせるなんて…あのクソ老害ども…。

ただ頼りきるだけで、お嬢さまを人として見ないで…誰もお嬢さまを守らないのならば…私が、お嬢さまを徹底的にお守りしなければ!

これが、クラリッサが『お嬢さま過保護』となった原因だった…。


「流石にお強い。ですが、そろそろリロードしないと弾が尽きるはず…その隙を狙わせてもらいます。」

熊魔獣を中心にして、一斉攻撃を仕掛ける…それに対して、イムカは銃口を敵に向け…

イムカ「光の中に住まいし小さき友よ、我が呼びかけに応え、敵を穿つ閃光となれ」

「っ!?」

詠唱により、残る一発の弾に『精霊魔法』が込められ、銃剣が光り輝き…

イムカ「精霊砲」

精霊の力を借りて放った、極太魔力光線が敵を飲み込み…熊の魔獣もろとも、軽々と魔獣たちを消し飛ばした。


「……城壁すら吹き飛ばすという技をこんな狭い場所で放つだなんて…正気ですか…。」

「さすがにそこは計算して放っているよ。さて、次はお前が相手をしてくれるのか?」

イムカの一撃を避けていた魔の巫女。その隙にリロードをし終え、イムカは銃剣の切っ先を彼女に向ける。

「今回はそこまでする気はないかな、それに十分時間は稼げたし…この先の曲がり角を右に進むといいよ、そしたら今代の聖女と白銀に合流できるから。

それじゃ、私はいくよ…白銀に、騎士学生の娘の救出も頼まれてるから。」

そう言い残すと、魔の巫女は姿を消した。


サクヤ「お二人…とも…その…あ、ありがとうございます…助かりました。それで、先程の巫女装束の女性と…その白銀というのは…?」

イムカ「巫女装束の奴は詳しくは知らん…だが、底知れぬ魔の力を感じた。

白銀のセレスは、私の知り合いで…気品のある女性にしか、手を出さないことで有名な貴婦人と呼ばれてる。」

クラリッサ「とりあえず罠でなければ、この先にノエインさまがいるのですね。ですが…。」

クラリッサはサクヤを見る…精神的に挫けたサクヤを心配し、彼女だけ先に脱出させるべきではと考えて。

サクヤ「……姉さまがこの先にいるのなら、私も連れて行ってください…お願いします…!」

クラリッサ「……わかりました…私はお嬢さまの意思を尊重をします。」

イムカ「なら回復ポーションだ、飲んでおけ。」

最後はサクヤの気持ちを汲み取り、3人で奥へと進むことに……。
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