騎士学生と教官の百合物語

コマドリ

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第8節 フィリア騎士学園本校地下・世界の深奥編

第297話 回想 リーゼと悪魔付き少女①

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リーゼ「さて、ここがそのお屋敷かな。」

アイリスくんたちと別れたあと、私は偵察にきていた…やっぱり一度は、この目で見ておかないとね♪


広い敷地内には、大きな屋敷があった。周りは高い壁に覆われ、侵入は容易ではない。

敷地内からも、警備をする人間の気配を複数感じ取れる…中々厳重な警戒体制じゃないか。

まあ、液体化と気体化能力を持つ私なら、侵入なんて容易いんだがね♪


気づかれず潜入に成功した私…地下に研究施設があるそうだが、屋敷内を見たあとはそこに向かってみようか。

そう思いながら私が進んでいると、ある場面に遭遇する。

リーゼ(ん…この音は戦闘音…?)

広い庭で、複数の魔獣を相手にし、その襲いくる魔獣を…漆黒の大鎌で切り裂く少女がいた。

それを見ているのは、椅子に座る偉そうな男…そして、その男の近くには、黒服を着た男たちが何十人といた。


リーゼ(ふむ…あそこにいる、いかにもという男が、企業のボスか。そしてあの少女、あれがおそらく悪魔付きの。)

漆黒の大鎌の血を払う少女は…金髪で一本にまとめたおさげ、黒のマフラー、身体のラインがわかる黒のぴっちりスーツ(競泳水着のような)を着ていた。


「魔獣相手は、もはや何も問題なさそうだな。なら次は、そうだな…人間相手も経験させておくか。」

そういうと偉そうな男は、自身の数人の部下たちを見て…部下たちは怯えを見せる。


少女「いいのですか…? あの人たちは…。」

「大丈夫だよ。お前は私の言うことだけを聞き、そういう疑問は持たないでいいんだ。」

少女「……わかりました。」

そう命令を受けると…漆黒の大鎌を手に、少女は黒服たちに近づいていき…。


リーゼ「……やれやれ…幼い頃から自分の都合のいいように教育し、従順な飼い猫に躾けるか…人間は本当に腐っているのが多いねぇ。」

少女たち「!?」

私の声を聞いて…少女や男たちが、私の方を一斉に見た。


少女(この人…この人から、私と同じ血の匂いがする…。)

「なんだ、貴様は。」

リーゼ「なぁに、ただの通りすがりの魔族だよ。」

「魔族だと…!? なぜ魔族がここに…!?」

王都ではないとはいえ…人魔大戦終結後に、王国領土のこの街に、魔族がいるのが驚きなんだろう。


リーゼ「ああ悪いけど、今用があるのはお前じゃないんだ。ひとつだけ質問しよう…少女のきみは今のままで、誰かの操り人形みたいな生き方でいいのかい?」

少女「!」

「まあいい…貴様が何者かわからないが、うちの子をたぶらかさないでもらおうか。そうだな、ちょうどいい実戦相手だ…レイチェル、そいつを殺ってしまえ。」

少女「……。」


リーゼ「ふむ、きみはレイチェルというのか。それはさておき…1人でやってもいいんだが、まあ今はまだ見逃しておいてあげるよ。」

「なっ…消えた…!?」

レイチェル「……!」

私は気体化の能力を使って、闇色の霧と化して…忽然と姿を消したのをみて、男や部下たちは驚き、私の姿を探している。


「だめです、どこにも姿が見当たりません!」

「(……霧になって消える魔族…まさか奴は、あのお方から聞いていた…。)

徹底的に探せ! レイチェルは、私の護衛をしろ…って、レイチェル…?」

男たちが振り返った先に、レイチェルと呼ばれる少女はいなかった……。


………。

……。

屋敷を出たあと、私は街の公園まで戻ってきていた。

リーゼ「あの程度の戦力しかないのなら、今回の依頼は簡単だねぇ。さて、夜までどう暇つぶしをしようか。」

私がそう思っていると、後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。


「ねえ、待って。」

リーゼ「! ……へぇ…まさか気体化して、霧になった私を追ってこれるとはねぇ。」

背後にいた少女は、私を驚かせた……。
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