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第8節 フィリア騎士学園本校地下・世界の深奥編
第296話 回想 剣鬼と先生と魔の猫②
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あの後ちょうどお昼どきだと、メイメイに連れられてお店に入り…目の前にはメイメイが注文した料理が置かれていて、私たち3人はお互いに椅子に座っていた。
アイリス「……。」
リーゼ「そう警戒しなくていいよ。メイヴ博士の依頼を引き受けて、私は今ここにいる…つまりは、きみと私は今協力関係にあるんだからねぇ。」
メイヴ「はむはむ。」
アイリス「いやいや、相手があなたなんだから警戒するなという方が無理だよ。それに……はぁ…とりあえず、メイメイ…依頼内容を。」
メイヴ先生が呼んだのだから、とりあえずはここにいる理由だけは納得することに…そして、ごはんを食べるメイヴ先生から、今回の依頼の説明が始まった。
メイヴ「依頼はこの街に、ある企業の…まあいわゆる武器商人のお屋敷があるんだけど、そこでおこなわれている研究で『実験体』となっている少女を保護することだよ。」
リーゼ「へぇ、研究に実験ねぇ…人間がやることだから、きっとろくでもないんだろうね。」
メイヴ「まあ、実際ろくでもないよ…なんせ『悪魔』を人間におろして、兵器として利用しようとする研究だからねー。」
アイリス「…! 禁術・悪魔おろし…それってまさか…。」
メイヴ「アイアイが思ってる通りだよ。かつて悪魔を信仰し、被人道的な行動を繰り返し、それを危険視され、各国や魔族たちに殲滅された『教団』がおこなっていた行為。
その禁術データを『誰』かがその企業に流して、それをもとに『悪魔付きの生物兵器』を生み出そうとしてるみたいなんだよね。」
話し終えて、飲み物を飲み始めるメイメイ…私はそんな彼女に聞く。
アイリス「誰かっていうのが気になるけど…。というかそれって、王国…国が率先して対処する案件なんじゃ…なんで私たちに依頼を…?」
メイヴ「そうなんだけど、人魔大戦終結後というのもあって、今の王国はどこも手が回らないからねー。今の王国は色々と立て直すまで、違法のかっこうの穴場だよ。
だから2人に依頼したんだー。リーゼには、知人であるヴィレーヌ博士経由でね。
アイアイは…他に頼める相手がいなかったってのもあるね、リュネもキールもいないから…。騎士を一時休養中なところ悪いとは思ったんだけど、ことが事だからね。」
そう言い終わるとメイヴ先生は、その屋敷などの情報をまとめた資料を、私とリーゼに手渡してくる。
メイヴ「作戦決行は一応今夜を予定してる…それまでは自由時間ってことで、よろしく。」
アイリス「軽く言ってるけど、今夜って早すぎですからね…こっちの準備のことも考えてもらいたいかな、まあこの資料はありがたいけど。
……あと…正直なところ、リーゼと協力できるかわからないよ。」
人魔大戦の時に色々とやらかしてくれたリーゼを、私はやはり快く思えないでいる…それを聞いたリーゼは、疑問を問いかけてきた。
リーゼ「それについて私もひとつ思っていたんだが、なぜアイリスくんはそんなに冷静にしていられるんだい?
私に会った途端に斬りかかってこないとは、きみはキールくんや他の人間たちみたいに怒らないのかい? あの戦争を率先して起こし、きみの教え子たちを奪ったにっくき魔族の1人が目の前にいるんだよ。」
アイリス「っ…! ……あれ…は…私が……私はあの子たちの近くにいたのに、あの子たちを守れなかった…私が弱かったから…悪い…。」
リーゼ「……はぁ…自分のせいにしすぎるのはやめろ人間」
アイリス「!?」
リーゼ「先に戦争を仕掛け、先に手を出したのは私たち魔族だ…だから100%私たちが悪い。
完全悪であるこの私はもちろん、キメラを『完全体』に近づけたヴィレーヌにも責任はある。きみが根っからお優しいのか、罰を受けたいのかは分からないけど…そんな考え方でいたら、弱い人間の『心』ではもたんぞ。」
アイリス「……もしかしてだけど…心配してくれてる…?」
リーゼ「ふん…ただ事実を言っただけだ、勘違いするな人間。こんな言葉で私が『したこと』を忘れる気か? 私は『されたこと』を絶対に忘れない…だから憎しみは連鎖するんだ。
はっきり言おう…私は確実にお前たち人類の敵だ、それを覚えておくことだね。」
意外な言葉に私はまだ信じられないでいる…人間に、リーゼがこんなこと言うだなんて、大戦前では絶対に考えられない。
リーゼの中で何か変化があったようで…。シリウスおじさまに負けたっていう話を聞いてはいたけど、それが関係しているのかな…?
私がそう考えていると、リーゼは意味深な言葉を続ける。
リーゼ「まあ、しかし……怒りの感情をあまりうまく出せず、溜め込んでしまうきみが『真に怒った』時…そして、リュネメイアくんが『もう一度本気で怒った』時には…いったい君たちはどうなってしまうんだろうねぇ。」
アイリス「え…?」
メイヴ「……。」
リーゼ「とりあえず、夜までは自由行動をさせてもらうよ。」
リュネの名前まで出して、いったい何を言いたかったのかわからないまま…リーゼは、お店から出て行った。
アイリス「……。」
リーゼ「そう警戒しなくていいよ。メイヴ博士の依頼を引き受けて、私は今ここにいる…つまりは、きみと私は今協力関係にあるんだからねぇ。」
メイヴ「はむはむ。」
アイリス「いやいや、相手があなたなんだから警戒するなという方が無理だよ。それに……はぁ…とりあえず、メイメイ…依頼内容を。」
メイヴ先生が呼んだのだから、とりあえずはここにいる理由だけは納得することに…そして、ごはんを食べるメイヴ先生から、今回の依頼の説明が始まった。
メイヴ「依頼はこの街に、ある企業の…まあいわゆる武器商人のお屋敷があるんだけど、そこでおこなわれている研究で『実験体』となっている少女を保護することだよ。」
リーゼ「へぇ、研究に実験ねぇ…人間がやることだから、きっとろくでもないんだろうね。」
メイヴ「まあ、実際ろくでもないよ…なんせ『悪魔』を人間におろして、兵器として利用しようとする研究だからねー。」
アイリス「…! 禁術・悪魔おろし…それってまさか…。」
メイヴ「アイアイが思ってる通りだよ。かつて悪魔を信仰し、被人道的な行動を繰り返し、それを危険視され、各国や魔族たちに殲滅された『教団』がおこなっていた行為。
その禁術データを『誰』かがその企業に流して、それをもとに『悪魔付きの生物兵器』を生み出そうとしてるみたいなんだよね。」
話し終えて、飲み物を飲み始めるメイメイ…私はそんな彼女に聞く。
アイリス「誰かっていうのが気になるけど…。というかそれって、王国…国が率先して対処する案件なんじゃ…なんで私たちに依頼を…?」
メイヴ「そうなんだけど、人魔大戦終結後というのもあって、今の王国はどこも手が回らないからねー。今の王国は色々と立て直すまで、違法のかっこうの穴場だよ。
だから2人に依頼したんだー。リーゼには、知人であるヴィレーヌ博士経由でね。
アイアイは…他に頼める相手がいなかったってのもあるね、リュネもキールもいないから…。騎士を一時休養中なところ悪いとは思ったんだけど、ことが事だからね。」
そう言い終わるとメイヴ先生は、その屋敷などの情報をまとめた資料を、私とリーゼに手渡してくる。
メイヴ「作戦決行は一応今夜を予定してる…それまでは自由時間ってことで、よろしく。」
アイリス「軽く言ってるけど、今夜って早すぎですからね…こっちの準備のことも考えてもらいたいかな、まあこの資料はありがたいけど。
……あと…正直なところ、リーゼと協力できるかわからないよ。」
人魔大戦の時に色々とやらかしてくれたリーゼを、私はやはり快く思えないでいる…それを聞いたリーゼは、疑問を問いかけてきた。
リーゼ「それについて私もひとつ思っていたんだが、なぜアイリスくんはそんなに冷静にしていられるんだい?
私に会った途端に斬りかかってこないとは、きみはキールくんや他の人間たちみたいに怒らないのかい? あの戦争を率先して起こし、きみの教え子たちを奪ったにっくき魔族の1人が目の前にいるんだよ。」
アイリス「っ…! ……あれ…は…私が……私はあの子たちの近くにいたのに、あの子たちを守れなかった…私が弱かったから…悪い…。」
リーゼ「……はぁ…自分のせいにしすぎるのはやめろ人間」
アイリス「!?」
リーゼ「先に戦争を仕掛け、先に手を出したのは私たち魔族だ…だから100%私たちが悪い。
完全悪であるこの私はもちろん、キメラを『完全体』に近づけたヴィレーヌにも責任はある。きみが根っからお優しいのか、罰を受けたいのかは分からないけど…そんな考え方でいたら、弱い人間の『心』ではもたんぞ。」
アイリス「……もしかしてだけど…心配してくれてる…?」
リーゼ「ふん…ただ事実を言っただけだ、勘違いするな人間。こんな言葉で私が『したこと』を忘れる気か? 私は『されたこと』を絶対に忘れない…だから憎しみは連鎖するんだ。
はっきり言おう…私は確実にお前たち人類の敵だ、それを覚えておくことだね。」
意外な言葉に私はまだ信じられないでいる…人間に、リーゼがこんなこと言うだなんて、大戦前では絶対に考えられない。
リーゼの中で何か変化があったようで…。シリウスおじさまに負けたっていう話を聞いてはいたけど、それが関係しているのかな…?
私がそう考えていると、リーゼは意味深な言葉を続ける。
リーゼ「まあ、しかし……怒りの感情をあまりうまく出せず、溜め込んでしまうきみが『真に怒った』時…そして、リュネメイアくんが『もう一度本気で怒った』時には…いったい君たちはどうなってしまうんだろうねぇ。」
アイリス「え…?」
メイヴ「……。」
リーゼ「とりあえず、夜までは自由行動をさせてもらうよ。」
リュネの名前まで出して、いったい何を言いたかったのかわからないまま…リーゼは、お店から出て行った。
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