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第8節 フィリア騎士学園本校地下・世界の深奥編
第291話 魔剣と花剣と氷帝
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私とセイバーが動けないことで…マコさんが前衛として1人、唸る獣と対峙し…。
マコ「大丈夫だ、問題ない…私1人でもなんとかなる。」
「ふん、強がりを!」
唸る獣は勢いよく拳を振るって、マコさんへと殴りかかる。
マコ「ーーー七翼流 水の型 水円陣」
「ぬ!?」
マコさんは腰に剣を構え、剣へと纏わせた魔力を水魔法へと変化させ…
剣と魔法を同時に叩き込む『魔法剣』と呼ばれる技で、剣を横に薙ぎ、膜を張るように…円状に水魔法を発生させ、水流の流れで拳の軌道をずらして攻撃を受け流す。
ノエイン「あの技はフォウさんの…!?」
シオン(……彼女があの剣技、魔法剣を使うということは…やはり魔剣騎士の筆頭は…。)
マコ「おい、受け取れ。」
唸る獣の拳によるラッシュを、マコさんは全て避けながら…気を失っているセイバーを拾い上げ、イムカ教官へと投げ飛ばし救出する。
避けながらマコさんはカウンターで、唸る獣に剣を振るう…しかし硬質化により、それら全てが肉体に弾かれる。
マコ「なるほど…転写の魔術師の力を流用しているだけあって、さすがに頑丈だな。」
「ちょこまかと…ならば、これならどうだ」
マコ「む…!?」
イムカ「リーゼの液体化魔法を応用したのか…!」
唸る獣の背中から『腕が2本生える』…どうやら液体化を使い、腕を4本に増やしたようだ。
「ははは! 全て捌き切れるか!」
マコ「ちっ」
液体化と硬質化の組み合わせにより、先程の2倍となった拳のラッシュ…それにより水円陣の守りをも突破し、地面や建物の壁に穴が次々と空いていく。
まだ立ち上がれない私は、その状況を見ていることしかできなくて…。
コトリ(くっ…マコさんを援護しようにも、純粋な魔法だと奴に転写される…だけど剣は砕かれてしまった…今の私には何もできない…
自分が情けない…悔しい…あいつはセイバーを傷つけたのに…許さない…あいつが…憎い…憎い…憎い…!)
憎いか
八つ裂きにしたいほどに
ならばその肉体
貸すがよい
我が叶えてやる
コトリ(…何…この声…あなたは…誰…?)
ウンディーネ「ちょっと、しっかりしなさい!」
コトリ「っ! ウン…ディーネ…? (今のはいったい…何だったの……ううん、今は目の前に集中しなくちゃ。)」
ウンディーネ「奴を倒すために…コトリ、私を…花剣を使いなさい。」
コトリ「で、でも…まだ私はあなたをうまく使えない…。」
ウンディーネ「『今』のあなたなら、私を使えるかもしれないわ。」
コトリ「え…? ……あっ…そ、そっか…!」
ウンディーネの言葉で、今の自分の状態に気づく…これなら確かに『条件』をクリアできるかもしれない。
「ははは! やはり強敵との戦いはいい…相手の強さに対応するために、我の能力が引き上がっていく…!」
マコ「……。」
マコさんの動きに対応するため…液体化でさらに腕を増やし、唸る獣の腕は計6本になる。
「楽しませてくれた礼だ…一瞬で粉々にしてやろう…!」
マコ「いや、狩りを楽しむ時間は終わりだ……魔剣ーーー抜剣」
マコさんがそう呟くと…彼女の背中に『黒い剣』のような聖痕が浮かび上がる。
「それがどうした!」
6本の腕による高速ラッシュが、マコさんに襲いかかる…その拳の速さと数は、小鳥の舞を使っても、全て避けられそうになく…。
マコ「……。」
「なん…だと…!?」
しかしその高速ラッシュを、マコさんは紙一重で全て避けてみせた。
「ば、ばかな…なぜ当たらん!?」
マコ「無駄だ、私の魔剣で…お前の『動きの軌跡』が見えている。」
3倍になった拳のラッシュを全て避け続け…しかもただ回避するだけではなく、カウンターによる反撃までしていた。
レジー「……相手の次に動く場所に、すでに『剣のカウンターを放っている』…あれは単純な回避技術ではない、まるで『未来』が見えているかのような動き…。」
ノエイン「あれが人魔大戦を経て…魔族に対抗するには、魔族と同じ闇の力を持った者が必要…という三賢人たちの理念のもと、発足された魔剣騎士が持つ能力…。魔剣…聖剣と対をなす力のようですね…。」
「くっ…ならば我の全力を見せてやーーー」
マコ「いいや…ここまでくれば、すでにお前の敗北は見えた。」
そう言うとマコさんはサイドステップし、横へと避ける…すると、後ろで『準備完了』していた私の姿が見え…。
半魔化することで、花剣を起動させるための魔力を確保し…半魔化することで、魔力の最大値が底上げされ、魔力消費による疲労も軽減できていた。
クロやアイリス教官から教わった、魔力操作の全てを結集し、魔力刃の維持に成功…不安定にならず、蒼き魔力の刀身は完全に安定した。
コトリ「ーーー七翼流 風の型 花剣・疾風」
魔力刃の剣を握り、私は魔法剣を発動…疾風の勢いで突撃し、すれ違いざまに奴の硬質化された6本の腕全てを切り裂いた。
「ぬぉおおお!? ばか…な…我の肉体がなぜぇええ!!」
予想外の事態に動揺し、唸る獣の動きが鈍り…そして、向こうも準備が整ったのか、さらに仕上げに入る…。
「「「トリプルバインド!!」」」
イムカさん、レジーさん、そして意識を取り戻したセイバーの3人は、拘束魔法を放ち…魔力でできた鎖が、唸る獣を縛る…
どうやら魔力の鎖には、ノエイン教官の結界の力が上乗せされているようで…退魔の力により、奴は液体化ができなく。
ノエイン「聖剣がないため、結界の構築には時間が掛かりましたが、なんとか間に合いましたね…。4人がかりの拘束技とはいえ、長くは持ちません、早期に決着を!」
シオン「はい、あとはお任せを。」
シオンの全身から強力な魔力が溢れ出し、彼女を中心とし猛烈な吹雪が発生する…すると、彼女の姿が変化していく…
水色の瞳は赤へと変わり、ショートカットだった水色の髪は腰まで伸びて…『王家に流れる血を覚醒』させ、シオンさまがその身に宿した『属性 氷』の力を解放した形態へと変身。
「王族の血…これは『神性』か…!? ……ちく、しょお....動け、ん…! 再生能力が…間に合わ、ぬ...! よせ、やめろ!」
シオン「『氷帝』の名に懸けて、これ以上王都で好き勝手させません。騎士たちが受けた痛みを償いなさい…凍てつけ。」
私とマコさんは、建物の壁を蹴って空中へと移動し、シオンさまの魔法範囲外へと逃れる。
最初から全力を出さず、相手が格下だと侮り、自身の常時硬質化に慢心し、自動再生能力をオンにしていなかったのが敗因で…
王家の血『氷』を覚醒させ、強化されたシオンにより…絶対零度の嵐が唸る獣を襲い、奴を氷漬けにした……。
マコ「大丈夫だ、問題ない…私1人でもなんとかなる。」
「ふん、強がりを!」
唸る獣は勢いよく拳を振るって、マコさんへと殴りかかる。
マコ「ーーー七翼流 水の型 水円陣」
「ぬ!?」
マコさんは腰に剣を構え、剣へと纏わせた魔力を水魔法へと変化させ…
剣と魔法を同時に叩き込む『魔法剣』と呼ばれる技で、剣を横に薙ぎ、膜を張るように…円状に水魔法を発生させ、水流の流れで拳の軌道をずらして攻撃を受け流す。
ノエイン「あの技はフォウさんの…!?」
シオン(……彼女があの剣技、魔法剣を使うということは…やはり魔剣騎士の筆頭は…。)
マコ「おい、受け取れ。」
唸る獣の拳によるラッシュを、マコさんは全て避けながら…気を失っているセイバーを拾い上げ、イムカ教官へと投げ飛ばし救出する。
避けながらマコさんはカウンターで、唸る獣に剣を振るう…しかし硬質化により、それら全てが肉体に弾かれる。
マコ「なるほど…転写の魔術師の力を流用しているだけあって、さすがに頑丈だな。」
「ちょこまかと…ならば、これならどうだ」
マコ「む…!?」
イムカ「リーゼの液体化魔法を応用したのか…!」
唸る獣の背中から『腕が2本生える』…どうやら液体化を使い、腕を4本に増やしたようだ。
「ははは! 全て捌き切れるか!」
マコ「ちっ」
液体化と硬質化の組み合わせにより、先程の2倍となった拳のラッシュ…それにより水円陣の守りをも突破し、地面や建物の壁に穴が次々と空いていく。
まだ立ち上がれない私は、その状況を見ていることしかできなくて…。
コトリ(くっ…マコさんを援護しようにも、純粋な魔法だと奴に転写される…だけど剣は砕かれてしまった…今の私には何もできない…
自分が情けない…悔しい…あいつはセイバーを傷つけたのに…許さない…あいつが…憎い…憎い…憎い…!)
憎いか
八つ裂きにしたいほどに
ならばその肉体
貸すがよい
我が叶えてやる
コトリ(…何…この声…あなたは…誰…?)
ウンディーネ「ちょっと、しっかりしなさい!」
コトリ「っ! ウン…ディーネ…? (今のはいったい…何だったの……ううん、今は目の前に集中しなくちゃ。)」
ウンディーネ「奴を倒すために…コトリ、私を…花剣を使いなさい。」
コトリ「で、でも…まだ私はあなたをうまく使えない…。」
ウンディーネ「『今』のあなたなら、私を使えるかもしれないわ。」
コトリ「え…? ……あっ…そ、そっか…!」
ウンディーネの言葉で、今の自分の状態に気づく…これなら確かに『条件』をクリアできるかもしれない。
「ははは! やはり強敵との戦いはいい…相手の強さに対応するために、我の能力が引き上がっていく…!」
マコ「……。」
マコさんの動きに対応するため…液体化でさらに腕を増やし、唸る獣の腕は計6本になる。
「楽しませてくれた礼だ…一瞬で粉々にしてやろう…!」
マコ「いや、狩りを楽しむ時間は終わりだ……魔剣ーーー抜剣」
マコさんがそう呟くと…彼女の背中に『黒い剣』のような聖痕が浮かび上がる。
「それがどうした!」
6本の腕による高速ラッシュが、マコさんに襲いかかる…その拳の速さと数は、小鳥の舞を使っても、全て避けられそうになく…。
マコ「……。」
「なん…だと…!?」
しかしその高速ラッシュを、マコさんは紙一重で全て避けてみせた。
「ば、ばかな…なぜ当たらん!?」
マコ「無駄だ、私の魔剣で…お前の『動きの軌跡』が見えている。」
3倍になった拳のラッシュを全て避け続け…しかもただ回避するだけではなく、カウンターによる反撃までしていた。
レジー「……相手の次に動く場所に、すでに『剣のカウンターを放っている』…あれは単純な回避技術ではない、まるで『未来』が見えているかのような動き…。」
ノエイン「あれが人魔大戦を経て…魔族に対抗するには、魔族と同じ闇の力を持った者が必要…という三賢人たちの理念のもと、発足された魔剣騎士が持つ能力…。魔剣…聖剣と対をなす力のようですね…。」
「くっ…ならば我の全力を見せてやーーー」
マコ「いいや…ここまでくれば、すでにお前の敗北は見えた。」
そう言うとマコさんはサイドステップし、横へと避ける…すると、後ろで『準備完了』していた私の姿が見え…。
半魔化することで、花剣を起動させるための魔力を確保し…半魔化することで、魔力の最大値が底上げされ、魔力消費による疲労も軽減できていた。
クロやアイリス教官から教わった、魔力操作の全てを結集し、魔力刃の維持に成功…不安定にならず、蒼き魔力の刀身は完全に安定した。
コトリ「ーーー七翼流 風の型 花剣・疾風」
魔力刃の剣を握り、私は魔法剣を発動…疾風の勢いで突撃し、すれ違いざまに奴の硬質化された6本の腕全てを切り裂いた。
「ぬぉおおお!? ばか…な…我の肉体がなぜぇええ!!」
予想外の事態に動揺し、唸る獣の動きが鈍り…そして、向こうも準備が整ったのか、さらに仕上げに入る…。
「「「トリプルバインド!!」」」
イムカさん、レジーさん、そして意識を取り戻したセイバーの3人は、拘束魔法を放ち…魔力でできた鎖が、唸る獣を縛る…
どうやら魔力の鎖には、ノエイン教官の結界の力が上乗せされているようで…退魔の力により、奴は液体化ができなく。
ノエイン「聖剣がないため、結界の構築には時間が掛かりましたが、なんとか間に合いましたね…。4人がかりの拘束技とはいえ、長くは持ちません、早期に決着を!」
シオン「はい、あとはお任せを。」
シオンの全身から強力な魔力が溢れ出し、彼女を中心とし猛烈な吹雪が発生する…すると、彼女の姿が変化していく…
水色の瞳は赤へと変わり、ショートカットだった水色の髪は腰まで伸びて…『王家に流れる血を覚醒』させ、シオンさまがその身に宿した『属性 氷』の力を解放した形態へと変身。
「王族の血…これは『神性』か…!? ……ちく、しょお....動け、ん…! 再生能力が…間に合わ、ぬ...! よせ、やめろ!」
シオン「『氷帝』の名に懸けて、これ以上王都で好き勝手させません。騎士たちが受けた痛みを償いなさい…凍てつけ。」
私とマコさんは、建物の壁を蹴って空中へと移動し、シオンさまの魔法範囲外へと逃れる。
最初から全力を出さず、相手が格下だと侮り、自身の常時硬質化に慢心し、自動再生能力をオンにしていなかったのが敗因で…
王家の血『氷』を覚醒させ、強化されたシオンにより…絶対零度の嵐が唸る獣を襲い、奴を氷漬けにした……。
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