騎士学生と教官の百合物語

コマドリ

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第8節 フィリア騎士学園本校地下・世界の深奥編

第287話 お姫さまの依頼と元聖女

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「……で、うちの王…魔王さまの依頼を引き受けてくれるかな? 魔剣騎士の『天帝』くん。」

「……聞くにすでにミクに根回しして、教会騎士団から、シオン皇女殿下の『依頼』の助っ人として、派遣する手筈になってるそうね…ミクでもルリラでもなく、なぜか私が。

あなた方とは共闘関係にはありますが、これを受けたとして私にメリットは?」

私の目の前には…『転写の魔術師』とその連れの娘…『被虐強化』…『白銀』の4人がいた。


「彼女たちは王国出身だからね、彼女たちには『まだ』自分たちの情報を知られたくない相手がいるみたいでね…その点、王国出身ではない君や『黒風』くんが動きやすいんだぁ。

メリットは君らが嫌う白神聖者のコマを1つ潰せる。それと、君が気になっていた恩師の娘も、その依頼に駆り出される…どんな人物か知りたかったんだろ? そのチャンスだよ。」

「……三賢人ではなく、ミクに直接きていたのはそれが理由ですか…未だ彼らは、白神聖者側ですからね。

わかりました、この依頼を引き受けますよ…ミクの娘がどんなのか、見極めれるせっかくの機会ですし…。」

白神聖者を一時的に失って、サクヤ派に対抗するために私たち魔剣騎士を利用している…私たちもある目的のために、三賢人の地位などを利用してる…そういう関係性だった……。

…。

……。

………。


あの一件から何日か経っていた…

リュネの話を聞いてみたいなとは思いつつも、アネット先輩たちは依頼で学園にいなく…

そしてアイリス教官も依頼で学園を出ているため、私はここ毎日ウンディーネと七属性剣の練習をしていた。


ウンディーネ「いつでもいいわよ。」

コトリ「ん…それじゃ、いく…っ…!」

周囲に人がいないのを確認してから、私は手に持った花剣を起動させる…そうすると魔力を吸い取られる感覚があり、一気に魔力を失ったせいで少しめまいがし、ふらつく。


コトリ「ん…くぅ…! ……ふぅ…何とか魔力の刀身を保つことができるようになったよ。」

それでも気をしっかり保ち、魔力操作を続け…魔力刃の維持に成功する。そのまま剣を振っても不安定にならず、刀身は安定していた。


ウンディーネ「魔力操作や魔力制御の精度だけは、本当に優秀ね。それに加えて失敗してもその原因を考え、すぐ学習していくし…ただのちんまいのから評価を改めてあげるわ。

で、それで? 『実践』で使えるの?」

コトリ「みんなと出会うまで、1人で過ごしてた時は、クロから遊び感覚で色々と教わってたからね…だからその辺りは、他の人よりはできる自信がある。

ん…それなんだよね、結局…起動後の疲労さえなければ、実践でも魔力刃を維持できるんだけど…実践だとそれのせいで、魔力刃の制御に支障がでる…

今のままじゃ実践では使えない…せめて、起動の魔力さえ別に確保できればなぁ。」

ウンディーネ「そんな都合よく、ぽんっと魔力が増えるわけないわよ。疲労の感覚に慣れるのと…地道に鍛錬して、魔力の最大値を底上げするしかないわね。」

魔力操作などはクロから教わった、それが今の全てにいきていた。

私がウンディーネと訓練していると、セイバーと三姉妹さんたちがやってきた。


クレイシア「コトリ、今いいかな?」

コトリ「ん、大丈夫。でもセイバーまで一緒だなんて、いったいどうしたの?」

アルティナ「コトリさん宛に依頼です。セイバーさんは、コトリさんのお供の1人として、同行してもらおうと思ってます。」

ドウセツ「その依頼主は『王国騎士団 三帝』の1人、氷帝のシオン…つまりはシオン皇女殿下で、この国のお姫さまです。」

私は驚いた表情をしながら、聞き返す。


コトリ「えっ…この王国のお姫さまが、なんで私を名指しで依頼を?」

クレイシア「コトリはこの前の…唸る獣の討伐にひと役買ったからね、その経験を『貸して』ほしいとのことだよ。」

セイバー「コトリさんより先に聞いた時から思ってましたが、つまりは『それ関係』ということですよね?」

コトリ「っ…そ、それって…。」

アルティナ「はい、その予想通りかと。そのため、コトリさんとの連携面を考え、セイバーさんも追加で加えました…ちなみにモニカさんは、私たちと別案件です。」

ドウセツ「詳しいことは向こうで話を聞くことになるけど、今回は『街中』での戦闘になる可能性もあるため…

結界構築役とその護衛として…ノエイン教官とイムカ教官も、シオン皇女殿下から名指しで指名されています…なので合流後、共に向かってください。」

私がまだ会ったことのない…そのノエイン教官たちと会うため、私とセイバーは職員室へと向かった…。


職員室前で、それらしき人物がいて…

1人は黄緑の瞳に髪、巫女装束を身に纏い、槍を持っていて…彼女から感じる『強者』の雰囲気も相まって、それはまるで『槍の聖女』サクヤさんのようで…

もう1人は赤い瞳、白銀のポニーテール、褐色の肌をし、黒のレオタード(騎士服)…そして『特徴的な耳』をしていて、それを私は最近見た覚えがあり…。


「あなたがコトリさんとセイバーさんね、あなたたちのことは、アイリス教官とエリシア教官から話を聞いているわ…今回はよろしくね。

私はノエイン=ランスター…こっちは私のパートナーで、同じく教官のイムカ=ランスター。」

コトリ「イムカ教官のその耳…ヴィレーヌさんって魔族と一緒じゃ…もしかして教官って、エルフですか?」

「ヴィレーヌを知っているのか? って、そうか…あの事件で出会ったと、三姉妹からの報告書に書いてたか。

あいつと違ってただのエルフではなくてな、私はダークエルフだ…まあ、よろしく頼む。」

セイバー「というか2人とも同じ姓…って、ん…? あれ…ランスターってどこかで聞いたような…?」

私も最近聞いたようなと考えていると、そこに元気な声が…ミヤコの声が聞こえてきた。


ミヤコ「あ! ノエインお母さんにイムカお母さん、それにコトリとセイバーもやっほー!」

ノエイン「ミヤコ、学園では教官と呼びなさいとあれほど…。」

イムカ「あと、廊下を走るな…まあ、元気なのはお前の取り柄ではあるが。」

コトリ「……え…えっ!?」

セイバー「そうですわ、ミヤコさんたちと同じ…ということは…!」

ランスターというのは、ミヤコたちの家名だというのを私たちは思い出した。


ロア「ええ、この2人が私たちの義母…お母さんです。」

アズ「ん…それで、ノエインお母さんは、サクヤさまの姉で…元聖女でもある人。」

コトリとセイバー「……えっ」

情報が多すぎて、私とセイバーは少しの間、処理でぽかーんっとしてしまった……。
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