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第8節 フィリア騎士学園本校地下・世界の深奥編
第285話 回想 エルフとの出会い
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マリスミゼル学園長のクエストの合間に、私たちは学園地下の夢幻回廊を進む…
第一層の奥には、階層主…ボスがいたが、それを私たちは難なく突破し、第ニ層に足を踏み入れていた。
第ニ層の回廊にも魔獣も現れるが…三姉妹さんも含めこのメンバーなら問題なくて、余裕で殲滅しながら進んでいき…
順調に私たちが進んでいると、回廊の途中で蒼く光る石板を発見した。
アイリス「今回の石板は蒼だね。」
エリシア(ピンク色じゃなくてよかった。)
コトリ「ん…それじゃ、触れるよ。」
私は右手を石板にかざすと…蒼い光が強まり、記憶映像が私たちの頭の中に再生され始めた……。
ーー。
ーーー。
ーーーー。
「遅いな、お父さん。戦争が終わって、今日帰るってギルドから連絡があったのに。」
まだ少し幼さ残る少女が、椅子に座って足をぶらぶら揺らしている。
「おーい、今帰ったぞ。」
「あ、お父さん!」
少女は椅子から立ち上がり、玄関へ向かう。
「ただいまだ、エレイン。いい子で留守番していたか?」
「うん、もちろん。お父さんこそ、戦争で怪我とかしてない? お母さん続いて、お父さんにまで何かあったら、私…。」
少女…エレインは心配そうな表情で、父であるシリウスに尋ねる。
シリウス「がはは! 心配せんでもこの通り、ぴんぴんしとるわい。」
エレイン「そっか、よかった…って、後ろの人たちは誰?」
開いている扉の外に、人がいるのが見えて…エレインは首を傾げながら尋ねる。
シリウス「彼女たちはな、訳あってこれから一緒に住むことになった。」
オーレリア「初めまして、私はオーレリアだ。シリウス殿…お父さんから、そなたの話は聞いている…これからよろしく頼む。」
ヴィレーヌ「シリウスのおじさん、あのリーゼとやり合って、よく五体満足でぴんぴんしてるよね…ドン引きするくらい、頑丈だよ。」
シャロン「博士、ちゃんと挨拶をしなさい。初めまして、私はシャロンと申します…こっちのエルフは、ヴィレーヌといいます。」
シリウスに招かれ、オーレリアたちは家の中へと入り…エレインに名乗っていく。
エレイン「…? 一緒に住む?」
オーレリア(……この子が、ランの恩師の…お子さんか。)
ここに来るまでの間にした、シリウス殿との会話をオーレリアは思い出す……。
……。
うちには今、まだ幼い娘がいるんだが…大戦開戦前に母親であるルフィナを失って、戦争で儂もそばにいてやれんかった…
剣のことしか基本頭にない儂では、子育ての勝手がわからん…それに正直、男で1人で育てると儂みたいになってしまうかもしれん…
女の子なのに、儂みたいになられるとあれだしな…あと儂剣しか教えられんし、剣でしか語れんから困っておる…
だから弟子に来るオーレリアはもちろんとして、お前たち2人も行くあてがないのなら、儂の家にこんか? 単純に人手も欲しいしな…
……。
オーレリア(まさかシリウス殿の奥さんが、ランの恩師である…元教会騎士団副団長のルフィナさんだったとなは。
……となると…この子とシリウスさんは、ランのことをどう思っているのだろうか…。)
重要なところだけ簡単に思い返したあと、オーレリアはヴィレーヌとシャロンを見る。
オーレリア「しかし、私は剣を教わりにという理由があったが…ヴィレーヌたちはなぜ、シリウス殿の誘いを受けたのだ?」
ヴィレーヌ「単純に行くあてなかったから、おじさんの誘いを受けたんだよー。
戦争の黒幕の白神聖者を倒すためとはいえ、他の魔族らから見たら、僕は人間に味方した裏切り者だからねー。」
オーレリア「なるほど…お前も大変なんだな。」
ヴィレーヌ「だから僕は同居人として、シャロンちゃんはメイドとしてお世話になることにしたんだー。」
シャロン「……は? いや私、そんな話聞いてませんが?」
またこのエルフは何か言い出したよ…と、シャロンはジト目でヴィレーヌを見ている。
ヴィレーヌ「家事をしていたルフィナさんって人がいないとなると、今家事をできる人がシャロンちゃんしかいないからねー。
マサキから聞いているよ、破天の七杖の料理担当は、基本シャロンちゃんだったって…あと掃除担当も兼任していたとか。」
シャロン「確かにそれは事実ですが…。
リーダーであるマサキ隊長は料理上手でしたが、忙しいですし…明日も無事とは限らない任務のなか、せめてご飯くらいは美味しく食べたかったですから。
掃除も同じく…いつ死ぬかわからないから、皆乱雑に置いて片付けをしないので、仕方なく私がしていただけです…まあ、皆所持品は少なかったので苦労はなかったですが。」
ヴィレーヌ「じゃあ、やっぱり適任だねー。いやー作っておいた、メイド服が無駄にならなくてよかったよー。」
シャロン「いつのまにそんなものを…。」
ヴィレーヌ「おじさんから話を聞いたあと、こっそり作っておいたんだよ…これで無事、メイドシャロンちゃんの爆誕だねっ。」
シャロン「いえ、まあ、別にいいんですが…なんでメイド服なんですか?」
ヴィレーヌ「えっ? だってご奉仕する時は、それが人間の正装でしょ?」
シャロン「……叡智とか二つ名があるのに、知識が偏ってますね、このエロエルフ。」
オーレリア(シャロンがマサキ隊長と同じ…それは初耳だな。また時間がある時に聞いてみたいな、マサキ隊長の話を。)
そんなやりとりをオーレリアは横目で見たあと、首を傾げているエレインの方を見る。
エレイン「んー…よくわからないけど…オーレリアさんは、お父さんに弟子入りで…シャロンさんはお手伝いさんで…えっと、ヴィレーヌさんは居候?」
オーレリア「ああ、そんな感じかな…シャロンに任せっきりではなく、私とヴィレーヌも手伝えることはする…だから、これからよろしく頼むよ。」
これがエレインにとって…姉弟子、お手伝いさん兼姉、居候兼先生…の3人との出会いであった……。
ーーーー。
ーーー。
ーー。
エリシア(……今のエルフは…確か囚われの身になっていた時、リリスに連れられてきて、私のアナルを試しにと弄んでいったエルフか…。)
アイリス(そういえばオーレリア、大戦後にシリウスおじさまの家でお世話になっていると言ってたけど…まさかヴィレーヌたちも一緒にだったなんてね。)
コトリ(これって、エレインさんがシャロンさん…そして、あのエルフさんと出会った時のかな? まだ続きがありそうだけど…。)
エレインさんの父親という男性と、オーレリアと呼ばれたアイリス教官の知り合い…そしてエレインさん、シャロンさん、ヴィレーヌさんの出会い方を私は知ることができた。
今回はまだ時間があるため、私たちは引き続き、夢幻回廊二層の探索を続ける……。
第一層の奥には、階層主…ボスがいたが、それを私たちは難なく突破し、第ニ層に足を踏み入れていた。
第ニ層の回廊にも魔獣も現れるが…三姉妹さんも含めこのメンバーなら問題なくて、余裕で殲滅しながら進んでいき…
順調に私たちが進んでいると、回廊の途中で蒼く光る石板を発見した。
アイリス「今回の石板は蒼だね。」
エリシア(ピンク色じゃなくてよかった。)
コトリ「ん…それじゃ、触れるよ。」
私は右手を石板にかざすと…蒼い光が強まり、記憶映像が私たちの頭の中に再生され始めた……。
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「遅いな、お父さん。戦争が終わって、今日帰るってギルドから連絡があったのに。」
まだ少し幼さ残る少女が、椅子に座って足をぶらぶら揺らしている。
「おーい、今帰ったぞ。」
「あ、お父さん!」
少女は椅子から立ち上がり、玄関へ向かう。
「ただいまだ、エレイン。いい子で留守番していたか?」
「うん、もちろん。お父さんこそ、戦争で怪我とかしてない? お母さん続いて、お父さんにまで何かあったら、私…。」
少女…エレインは心配そうな表情で、父であるシリウスに尋ねる。
シリウス「がはは! 心配せんでもこの通り、ぴんぴんしとるわい。」
エレイン「そっか、よかった…って、後ろの人たちは誰?」
開いている扉の外に、人がいるのが見えて…エレインは首を傾げながら尋ねる。
シリウス「彼女たちはな、訳あってこれから一緒に住むことになった。」
オーレリア「初めまして、私はオーレリアだ。シリウス殿…お父さんから、そなたの話は聞いている…これからよろしく頼む。」
ヴィレーヌ「シリウスのおじさん、あのリーゼとやり合って、よく五体満足でぴんぴんしてるよね…ドン引きするくらい、頑丈だよ。」
シャロン「博士、ちゃんと挨拶をしなさい。初めまして、私はシャロンと申します…こっちのエルフは、ヴィレーヌといいます。」
シリウスに招かれ、オーレリアたちは家の中へと入り…エレインに名乗っていく。
エレイン「…? 一緒に住む?」
オーレリア(……この子が、ランの恩師の…お子さんか。)
ここに来るまでの間にした、シリウス殿との会話をオーレリアは思い出す……。
……。
うちには今、まだ幼い娘がいるんだが…大戦開戦前に母親であるルフィナを失って、戦争で儂もそばにいてやれんかった…
剣のことしか基本頭にない儂では、子育ての勝手がわからん…それに正直、男で1人で育てると儂みたいになってしまうかもしれん…
女の子なのに、儂みたいになられるとあれだしな…あと儂剣しか教えられんし、剣でしか語れんから困っておる…
だから弟子に来るオーレリアはもちろんとして、お前たち2人も行くあてがないのなら、儂の家にこんか? 単純に人手も欲しいしな…
……。
オーレリア(まさかシリウス殿の奥さんが、ランの恩師である…元教会騎士団副団長のルフィナさんだったとなは。
……となると…この子とシリウスさんは、ランのことをどう思っているのだろうか…。)
重要なところだけ簡単に思い返したあと、オーレリアはヴィレーヌとシャロンを見る。
オーレリア「しかし、私は剣を教わりにという理由があったが…ヴィレーヌたちはなぜ、シリウス殿の誘いを受けたのだ?」
ヴィレーヌ「単純に行くあてなかったから、おじさんの誘いを受けたんだよー。
戦争の黒幕の白神聖者を倒すためとはいえ、他の魔族らから見たら、僕は人間に味方した裏切り者だからねー。」
オーレリア「なるほど…お前も大変なんだな。」
ヴィレーヌ「だから僕は同居人として、シャロンちゃんはメイドとしてお世話になることにしたんだー。」
シャロン「……は? いや私、そんな話聞いてませんが?」
またこのエルフは何か言い出したよ…と、シャロンはジト目でヴィレーヌを見ている。
ヴィレーヌ「家事をしていたルフィナさんって人がいないとなると、今家事をできる人がシャロンちゃんしかいないからねー。
マサキから聞いているよ、破天の七杖の料理担当は、基本シャロンちゃんだったって…あと掃除担当も兼任していたとか。」
シャロン「確かにそれは事実ですが…。
リーダーであるマサキ隊長は料理上手でしたが、忙しいですし…明日も無事とは限らない任務のなか、せめてご飯くらいは美味しく食べたかったですから。
掃除も同じく…いつ死ぬかわからないから、皆乱雑に置いて片付けをしないので、仕方なく私がしていただけです…まあ、皆所持品は少なかったので苦労はなかったですが。」
ヴィレーヌ「じゃあ、やっぱり適任だねー。いやー作っておいた、メイド服が無駄にならなくてよかったよー。」
シャロン「いつのまにそんなものを…。」
ヴィレーヌ「おじさんから話を聞いたあと、こっそり作っておいたんだよ…これで無事、メイドシャロンちゃんの爆誕だねっ。」
シャロン「いえ、まあ、別にいいんですが…なんでメイド服なんですか?」
ヴィレーヌ「えっ? だってご奉仕する時は、それが人間の正装でしょ?」
シャロン「……叡智とか二つ名があるのに、知識が偏ってますね、このエロエルフ。」
オーレリア(シャロンがマサキ隊長と同じ…それは初耳だな。また時間がある時に聞いてみたいな、マサキ隊長の話を。)
そんなやりとりをオーレリアは横目で見たあと、首を傾げているエレインの方を見る。
エレイン「んー…よくわからないけど…オーレリアさんは、お父さんに弟子入りで…シャロンさんはお手伝いさんで…えっと、ヴィレーヌさんは居候?」
オーレリア「ああ、そんな感じかな…シャロンに任せっきりではなく、私とヴィレーヌも手伝えることはする…だから、これからよろしく頼むよ。」
これがエレインにとって…姉弟子、お手伝いさん兼姉、居候兼先生…の3人との出会いであった……。
ーーーー。
ーーー。
ーー。
エリシア(……今のエルフは…確か囚われの身になっていた時、リリスに連れられてきて、私のアナルを試しにと弄んでいったエルフか…。)
アイリス(そういえばオーレリア、大戦後にシリウスおじさまの家でお世話になっていると言ってたけど…まさかヴィレーヌたちも一緒にだったなんてね。)
コトリ(これって、エレインさんがシャロンさん…そして、あのエルフさんと出会った時のかな? まだ続きがありそうだけど…。)
エレインさんの父親という男性と、オーレリアと呼ばれたアイリス教官の知り合い…そしてエレインさん、シャロンさん、ヴィレーヌさんの出会い方を私は知ることができた。
今回はまだ時間があるため、私たちは引き続き、夢幻回廊二層の探索を続ける……。
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