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第8節 フィリア騎士学園本校地下・世界の深奥編
第283話 必要な
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光が晴れると、唸る獣は完全に消滅していた。
ヴィレーヌ「ふぅ…キメラと違って、まだ『成長体』段階だから何とかなったね。」
ノア「今のあのキメラですらまだ『成熟体』らしいし、『完全体』ってのになったらどれだけ強いんだろうねー?」
ブラッド「しかし、ヴィレーヌもあんな恐ろしいものをよく成長させようと思ったよね、奴の命令だったとしてもー。」
ヴィレーヌ「キメラは白神聖者ではなく、あの『お方』に忠誠を誓ってるだけましでしょ。
まあ、僕だってさすがに反省はしてるよ…白神聖者から自身の身を守るために、双方どちらにも悲しみしか振りまかない怪物にまで『あの子』を成長させてしまったことにはね…だからもしもの時は、その責任もとるつもりさ。
……さて…。」
会話から察するに、このエルフがあのキメラを作った人だとわかる…というかこの3人、全員から底知れぬものを感じる…一体何者なの…。
話が終わり、エルフたちがこちらの方を見ると…何か言いたそうに、エレインさんとシャロンさんが前に出る。
エレイン「あなた提案通り、共闘して唸る獣を討伐できたわ…だから約束通りちゃんと説明しなさい、ヴィレーヌ。」
どこか怒っているような口調で、エレインさんはエルフに弁解を求める。
ヴィレーヌ「説明? ああ、なんで僕たちと唸る獣が敵対していたことかな?
敵対してる理由は…僕が作り出したキメラのデータなどを流用して、白神聖者に作り出されたのが唸る獣だからだよ…
キメラ同様『完全体』…『最強生物』を目指して戦う本能は同じだけど、キメラと違って忠誠しているのは白神聖者…
奴の代わりに人の世を終わらせるため、好き勝手に暴れてるから、私たちの『王』から討伐してこいと命を受けたからさ…
僕たちの『計画』にとって邪魔な存在だったし、それに今の僕たちにとって、白神聖者は完全な敵だからね。」
ヴィレーヌ「それともこの2人…ノアとブラッドが何で、初めて会うはずのコトリちゃんの魔法を使えたことかな?
それは僕が作り出した『感染魔法』のおかげさ…ノアとブラッドを母体にした魔法で、この2人にエナジードレインされた者は感染し、一時的に擬似サキュバス化する…
その擬似サキュバス化した者たちはエナジードレインを使用できるようになり、エナジードレインで吸い上げだ魔力などは、母体であるノアとブラッドに全て流れ込む…
それでノアとブラッドはコトリちゃんの魔法を使えたってわけさ、あのお店は擬似サキュバス化を広めるための拠点だったんだよ。
あ、安全性は大丈夫だよ。擬似サキュバス化しても普段の生活に影響を及ぼさないし、効果は保って3日くらいだから…そして『特別』なノアとブラッドでしかできない魔法だから、他の誰にも悪用されることもないから。」
エレイン「そんなことじゃない!」
エレインさんは大声で言い、エルフを睨みつけていた…その表情は憤りや悲しみなど、複雑なものが混じったものだった。
エレイン「なんであんな手紙だけお父さんに渡して、シャロンや私…オーレリア姐に黙っていなくなったの…! 種族は違っても、7年間も一緒に過ごした家族じゃない…!」
シャロン「お嬢さま…。」
ヴィレーヌ「……答えは簡単だよ、魔王さまが復活したからだ。魔王さまの計画では、私と人間であるあなたたちは、必ず最後に道を違え敵対する…必要なことだから縁を切った、それだけさ。」
コトリ「っ…魔王…!? それって…!」
エルフの魔王という言葉で、まさかキールさんのこと? と私が思っていると、その様子を見てエルフは反応する。
ヴィレーヌ「そういえばコトリちゃんって、アイリスの教え子で、マサキの知り合いだったね。なら魔王さまのことについても…そしてアイリスの記憶も…
……コトリちゃん、アイリスに伝えとくといいよ…馴れ合いとか、話し合いとか、甘っちょろい覚悟しかないなら、僕たちの前に現れない方がいい。
必要なのは『力』だけだ。僕たちや『彼女たち』を止められないようなら、この世界に未来はない…その場合は遠慮なく、私たち魔族が人界を飲み込むよ。」
ノアとブラッド「それじゃお姉ちゃんたち、ばいばーい♪」
コトリ「え…それってどういう意味…?」
エレイン「ま、待ちなさい! まだ話は終わってないわよ!」
シャロン「っ…ヴィレーヌ博士…!」
サキュバスはビルに空いた穴から飛び降り、翼を羽ばたかせ…それに合わせてエルフも飛び出し、サキュバスに抱えられて宙に浮き。
ヴィレーヌ「……そだ…わかってると思うけど、唸る獣はあと2匹残っているよ。奴らは、さらなる進化をすること…他の生き物を滅ぼして、自分だけが強くなるのを目的としてるから、気をつけなよ。
アイリスだけじゃなく、エレインとシャロンも馴れ合いはやめて、今度は僕を斬る覚悟を決めておきなよ…そうじゃなきゃ、人界の人々は守れないよ。
あっ…ついでに、オーレリアちゃんにも覚悟を決めておけと言っといてー。」
色々と謎を残して、エルフたちは飛び去っていった……。
ヴィレーヌ「ふぅ…キメラと違って、まだ『成長体』段階だから何とかなったね。」
ノア「今のあのキメラですらまだ『成熟体』らしいし、『完全体』ってのになったらどれだけ強いんだろうねー?」
ブラッド「しかし、ヴィレーヌもあんな恐ろしいものをよく成長させようと思ったよね、奴の命令だったとしてもー。」
ヴィレーヌ「キメラは白神聖者ではなく、あの『お方』に忠誠を誓ってるだけましでしょ。
まあ、僕だってさすがに反省はしてるよ…白神聖者から自身の身を守るために、双方どちらにも悲しみしか振りまかない怪物にまで『あの子』を成長させてしまったことにはね…だからもしもの時は、その責任もとるつもりさ。
……さて…。」
会話から察するに、このエルフがあのキメラを作った人だとわかる…というかこの3人、全員から底知れぬものを感じる…一体何者なの…。
話が終わり、エルフたちがこちらの方を見ると…何か言いたそうに、エレインさんとシャロンさんが前に出る。
エレイン「あなた提案通り、共闘して唸る獣を討伐できたわ…だから約束通りちゃんと説明しなさい、ヴィレーヌ。」
どこか怒っているような口調で、エレインさんはエルフに弁解を求める。
ヴィレーヌ「説明? ああ、なんで僕たちと唸る獣が敵対していたことかな?
敵対してる理由は…僕が作り出したキメラのデータなどを流用して、白神聖者に作り出されたのが唸る獣だからだよ…
キメラ同様『完全体』…『最強生物』を目指して戦う本能は同じだけど、キメラと違って忠誠しているのは白神聖者…
奴の代わりに人の世を終わらせるため、好き勝手に暴れてるから、私たちの『王』から討伐してこいと命を受けたからさ…
僕たちの『計画』にとって邪魔な存在だったし、それに今の僕たちにとって、白神聖者は完全な敵だからね。」
ヴィレーヌ「それともこの2人…ノアとブラッドが何で、初めて会うはずのコトリちゃんの魔法を使えたことかな?
それは僕が作り出した『感染魔法』のおかげさ…ノアとブラッドを母体にした魔法で、この2人にエナジードレインされた者は感染し、一時的に擬似サキュバス化する…
その擬似サキュバス化した者たちはエナジードレインを使用できるようになり、エナジードレインで吸い上げだ魔力などは、母体であるノアとブラッドに全て流れ込む…
それでノアとブラッドはコトリちゃんの魔法を使えたってわけさ、あのお店は擬似サキュバス化を広めるための拠点だったんだよ。
あ、安全性は大丈夫だよ。擬似サキュバス化しても普段の生活に影響を及ぼさないし、効果は保って3日くらいだから…そして『特別』なノアとブラッドでしかできない魔法だから、他の誰にも悪用されることもないから。」
エレイン「そんなことじゃない!」
エレインさんは大声で言い、エルフを睨みつけていた…その表情は憤りや悲しみなど、複雑なものが混じったものだった。
エレイン「なんであんな手紙だけお父さんに渡して、シャロンや私…オーレリア姐に黙っていなくなったの…! 種族は違っても、7年間も一緒に過ごした家族じゃない…!」
シャロン「お嬢さま…。」
ヴィレーヌ「……答えは簡単だよ、魔王さまが復活したからだ。魔王さまの計画では、私と人間であるあなたたちは、必ず最後に道を違え敵対する…必要なことだから縁を切った、それだけさ。」
コトリ「っ…魔王…!? それって…!」
エルフの魔王という言葉で、まさかキールさんのこと? と私が思っていると、その様子を見てエルフは反応する。
ヴィレーヌ「そういえばコトリちゃんって、アイリスの教え子で、マサキの知り合いだったね。なら魔王さまのことについても…そしてアイリスの記憶も…
……コトリちゃん、アイリスに伝えとくといいよ…馴れ合いとか、話し合いとか、甘っちょろい覚悟しかないなら、僕たちの前に現れない方がいい。
必要なのは『力』だけだ。僕たちや『彼女たち』を止められないようなら、この世界に未来はない…その場合は遠慮なく、私たち魔族が人界を飲み込むよ。」
ノアとブラッド「それじゃお姉ちゃんたち、ばいばーい♪」
コトリ「え…それってどういう意味…?」
エレイン「ま、待ちなさい! まだ話は終わってないわよ!」
シャロン「っ…ヴィレーヌ博士…!」
サキュバスはビルに空いた穴から飛び降り、翼を羽ばたかせ…それに合わせてエルフも飛び出し、サキュバスに抱えられて宙に浮き。
ヴィレーヌ「……そだ…わかってると思うけど、唸る獣はあと2匹残っているよ。奴らは、さらなる進化をすること…他の生き物を滅ぼして、自分だけが強くなるのを目的としてるから、気をつけなよ。
アイリスだけじゃなく、エレインとシャロンも馴れ合いはやめて、今度は僕を斬る覚悟を決めておきなよ…そうじゃなきゃ、人界の人々は守れないよ。
あっ…ついでに、オーレリアちゃんにも覚悟を決めておけと言っといてー。」
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