騎士学生と教官の百合物語

第8節 フィリア騎士学園本校地下・世界の深奥編

第250話 勇者と魔王はーーーー

アイリス「それじゃあ私とコトリの心がひとつになったところで、本題に入るね。

私が新しく思い出せたことを…といってもマサキのことじゃなくて、キールのことと…あの蒼の大剣のことについてなんだけどね。」

コトリ「キールさんのこと？　それに…あの蒼の大剣に何かあるの？」

私は置かれてある蒼の大剣へと視線を移し、教官は話を続ける。


アイリス「うん…キールから直接聞かされたことだから、確かな情報だよ。蒼の大剣の秘密…そしてキールが背負った『血』の宿命。

…単刀直入に言うと、キールは『魔王』を倒した『勇者』の血筋なんだ。」

コトリ「…！？」

アイリス「でもそんなキールは何故か、魔王がこの世界に再び蘇るための器に選ばれた。」

コトリ「ち、ちょっと待って…キールさんが勇者の血筋というのもそうだけど、勇者なのに魔王になるっていったいどういうこと…？」

教官からの話に驚きと疑問が溢れ、私は教官に質問する。


アイリス「それについてはキールも詳しくは思い出せないって…マサキなら詳しく知っているとは思うんだけどね…。

でもそれが本当のことであるのを…大戦時のマサキの行動やキールの覚悟、そしてあの蒼の大剣の存在が証明している。」

コトリ「あの剣も勇者や魔王に関係が？　それに…キールさんの覚悟って…？」

アイリス「……あの剣は勇者が使っていた『魔王殺しの蒼の大剣』なんだって。

もし自分が魔王へと成り果てたら、蒼の大剣で自分を殺してくれとキールに託された。」

コトリ「なっ…！？」

アイリス「今ならキールが私に剣を託した理由が痛いほどわかるよ…私が彼女の親友であるのもそうだけど、オーレリアには…自分の大切な人にそんな役目を託せないよね。」

思い出せた記憶により、すでに覚悟を決めている表情…でも何かを期待した目をさせている教官を見て、私は力強く言葉を紡ぐ。


コトリ「そんなこと私が絶対にさせないから…アイリス教官に悲しい想いはさせない…必ず無事にキールさん、マサキさん、リュネ、そしてアイリス教官の4人を再会させるから。」

アイリス「ふふ…コトリならそう言ってくれると思った。やっぱりコトリがそばにいてくれてよかったよ…頼りにしてるね…♪」

ぎゅっとアイリス教官に抱きしめられ、私もぎゅっと抱きしめ返す…誰がそんなことを4人に強いたのか知らないけど、悲しい結末なんて私が絶対に迎えさせない。