246 / 365
第7節 過去編 人魔大戦 キールとマサキ
第245話 信念を示す者たちよ⑥
しおりを挟む
人魔大戦の行方を左右する六つの戦い…その六つ目である、オーレリアたちと悪魔アムドゥシアス=ミラージュの戦いが、王宮の最深部で繰り広げられていた。
オーレリア「っ…!」
悪魔を守護するかのように大量の鎌が周りを浮遊し…その無数の鎌は独りでに動き、勢いよく敵たるオーレリアたちに襲い掛かる。
強力な魔力を帯びて回転しながら襲いくる鎌を…3人は背を互いに預けつつ、鎌を撃ち落とし続け、けたたましい金属音が鳴り響く。
悪魔が手をイーリスにかざすと、悪魔の力なのか…イーリスの身体が勢いよく、悪魔の方へと引き寄せられ宙を舞う。
イーリス「くっ…!」
引き寄せられた先には、鎌が待ち構えていて…イーリスは空中で身体を回転させて、手に持つ双刃剣で何とかその攻撃を凌ぐ。
黒騎士「七翼流剣術 風の型 魔神・疾風」
黒騎士は闇の風の力を加えた踏み込みで、地面や壁を蹴り、鎌を躱し切り裂きながら悪魔へと迫り。
黒騎士「七翼流 火の型 滅・爆炎剣」
「……。」
黒騎士「…!?」
黒騎士は黒き焔を纏った魔法剣を繰り出すが…しかし、悪魔から放たれた謎の衝撃波で攻撃を防がれ、そのまま黒騎士は吹き飛ばされ、壁へと叩きつけられる。
オーレリア「黒騎士殿! ぐぅ…!」
悪魔はオーレリアの方へと手をかざすと、オーレリアも悪魔のところへと引っ張られる…地面に剣を突き立てて踏ん張り、何とか引き寄せられないように堪え…それにより床が軋む。
黒騎士「オーレリアさん、そのまま耐えていてください…イーリス!
漆黒なる闇よ…この地に集まりて…世界を拒む檻となれっーーベルド・ニュー・グラビティ」
イーリス「はぁああ! 重力玉!」
オーレリアに意識がいっている間に、黒騎士は詠唱し魔法を放ち…作り出されたドス黒い小さな球体は、桁外れな重力場を生み出し、鎌の動きを鈍らせる…
その隙にイーリスは自身の掌の中に…超高密度で乱回転する重力の玉が作り出され、その重力の玉を鎌にぶつけて砕いていく。
黒騎士「右翼左翼四連!」
イーリス「カオスエッジ!」
黒騎士は両手に魔力の剣を4本作り出し、それを回転させながら投げる…剣に組み込まれた魔法術式により、4本の剣が転移される…
場所は悪魔の前方後方の四方向からで、回避不可能…必中のとっておき技が放たれる。
イーリスは自身の重力を操作し、回転する速度を高速化させ…闇魔力纏いし双刃剣の薙ぎ払いが繰り出される。
黒騎士&イーリス「っ…!?」
しかし、悪魔の全身を包むように円状の闇のバリアが作り出され…魔術文字が浮かび上がっている障壁で、黒騎士たちの攻撃を無効化した。
「……。」
黒騎士&イーリス「ダークシールド!」
再び放たれた悪魔の衝撃波を…二重に重ねた闇の盾で防ぐが、衝撃により吹き飛ばされる形で黒騎士とイーリスは、オーレリアのところへと戻ってくる。
オーレリア「お二人とも、ご無事でよかった。しかし…悪魔が使うあの力はいったい…。」
イーリス「おそらくは、引力と斥力を自在に操っているんじゃないかな。斥力で弾き飛ばし、引力で引き寄せてる…感じかな。
あの障壁については…悪魔がこの世の全てを否定し、この世の全てを拒む絶対障壁だね…物理攻撃も魔法攻撃も無効化してしまって、突破するのは困難な奥義だよ。」
難攻不落の悪魔から…砕かれた鎌に代わる、新たなる鎌が創り出され…補充された無数の鎌が再び襲いくる。
黒騎士「七翼流 氷の型 滅・氷雪斬」
迫る無数の鎌を黒騎士は、黒き冷気纏う剣で弾く……。
……黒騎士の戦い方を見ていたオーレリアは気付く…彼女は『七翼流剣術』『教会騎士の剣術』それから『王国騎士の剣術』の全てを収めていることに…
私はかじる程度だが、七翼流と王国騎士の剣術の二つ…レインでも七翼流と教会騎士の剣術の二つだけで…
その三つの剣術を同時に収めている人物など、今のこの世界にはいないはず…そして、その全てを絶妙に『複合させ自分の型へと昇華』させている…明らかに理に至った達人の域だ…
いったい…この人は何者なんだ……。
イーリス「……鎌に障壁…そして今奴が放とうとしている魔法までなら、魔神さんと黒騎士の2人で突破はできる…でも最後の一撃までは届かない。
だから、オーレリア…あの悪魔へのとどめの一撃は頼めるかな?」
障壁に守られた悪魔は両手に闇の魔力を集約し、異界化した王の間を吹き飛ばすほどの威力を溜めていて…オーレリアは眠るキールを見つめたあと、覚悟を決めた表情でイーリスへと振り向き。
オーレリア「私が、この手で『未来』を切り開いてみせます。」
イーリス「んっ…なら、任せた。黒騎士、やるよ! 合わせて!」
黒騎士「……オーレリアさん…あなたなら…いや…あなただからこそ、キールさんを必ず取り戻せるんです。
だから、その行く手を阻む壁を越え道を突き進むためのお手伝い…私とイーリスがします。」
黒騎士とイーリス…そしてオーレリアは未来を掴むために駆ける。
「……滅びよ」
異界化した王の間すら吹き飛ばすほどの闇の波動が放たれ…あらゆるもの闇に染め上げ、あとには一条の光すら残さなかった。
黒騎士&イーリス「滅びるのはそっちだ…重力玉+重力玉っーー魔神の月」
黒騎士とイーリスが作り出した2つの重力玉が混じり合い…究極の重力魔法…全てを飲み込むブラックホールが創り出される。
その放たれた漆黒の球体は、襲いくる無数の鎌を全て飲み込み…闇の波動と衝突し、凄まじい爆発と共に相殺し合った。
黒き爆風の中から黒騎士とイーリスが現れ、超高速でX状に交差し合った。
黒騎士「黒翼っーー」
イーリス「十字斬りっ!!」
七翼流の奥義『黒翼剣』とイーリスの双刃剣の奥義『ブラッディ・クロス』の合わせ技が放たれ…悪魔の障壁を切り裂いた。
「……障壁はすぐに復活する…だから、全て無駄なのだ」
全ての力を一点に集約した斥力の衝撃波が、駆けるオーレリアを飲み込む。
オーレリア「……キール隊長を取り戻せれば、私の身はどうなってもいいと思っていた…私の身と引き換えでも助けたいと思った…
だが…それは間違いだったことに気付けた…それでは残されたキール隊長を本当の意味で救えてはいない…だって残された方はたまらなく心が苦しいんだ…今の私のようにな…。
……私は絶対に生き残り…私はキール隊長と2人一緒に…絶対に幸せになる! だから! こんなところで死んでたまるかぁあああっ!!」
「なん…だとっーーー」
オーレリア「『10倍』重力剣っ!!」
シリウスの姿から学んだオーレリアは、決して折れず消えぬ『灯火』を心に灯し…キールへの想いの一太刀は、無明を切り裂く閃火と化した。
オーレリア「っ…!」
悪魔を守護するかのように大量の鎌が周りを浮遊し…その無数の鎌は独りでに動き、勢いよく敵たるオーレリアたちに襲い掛かる。
強力な魔力を帯びて回転しながら襲いくる鎌を…3人は背を互いに預けつつ、鎌を撃ち落とし続け、けたたましい金属音が鳴り響く。
悪魔が手をイーリスにかざすと、悪魔の力なのか…イーリスの身体が勢いよく、悪魔の方へと引き寄せられ宙を舞う。
イーリス「くっ…!」
引き寄せられた先には、鎌が待ち構えていて…イーリスは空中で身体を回転させて、手に持つ双刃剣で何とかその攻撃を凌ぐ。
黒騎士「七翼流剣術 風の型 魔神・疾風」
黒騎士は闇の風の力を加えた踏み込みで、地面や壁を蹴り、鎌を躱し切り裂きながら悪魔へと迫り。
黒騎士「七翼流 火の型 滅・爆炎剣」
「……。」
黒騎士「…!?」
黒騎士は黒き焔を纏った魔法剣を繰り出すが…しかし、悪魔から放たれた謎の衝撃波で攻撃を防がれ、そのまま黒騎士は吹き飛ばされ、壁へと叩きつけられる。
オーレリア「黒騎士殿! ぐぅ…!」
悪魔はオーレリアの方へと手をかざすと、オーレリアも悪魔のところへと引っ張られる…地面に剣を突き立てて踏ん張り、何とか引き寄せられないように堪え…それにより床が軋む。
黒騎士「オーレリアさん、そのまま耐えていてください…イーリス!
漆黒なる闇よ…この地に集まりて…世界を拒む檻となれっーーベルド・ニュー・グラビティ」
イーリス「はぁああ! 重力玉!」
オーレリアに意識がいっている間に、黒騎士は詠唱し魔法を放ち…作り出されたドス黒い小さな球体は、桁外れな重力場を生み出し、鎌の動きを鈍らせる…
その隙にイーリスは自身の掌の中に…超高密度で乱回転する重力の玉が作り出され、その重力の玉を鎌にぶつけて砕いていく。
黒騎士「右翼左翼四連!」
イーリス「カオスエッジ!」
黒騎士は両手に魔力の剣を4本作り出し、それを回転させながら投げる…剣に組み込まれた魔法術式により、4本の剣が転移される…
場所は悪魔の前方後方の四方向からで、回避不可能…必中のとっておき技が放たれる。
イーリスは自身の重力を操作し、回転する速度を高速化させ…闇魔力纏いし双刃剣の薙ぎ払いが繰り出される。
黒騎士&イーリス「っ…!?」
しかし、悪魔の全身を包むように円状の闇のバリアが作り出され…魔術文字が浮かび上がっている障壁で、黒騎士たちの攻撃を無効化した。
「……。」
黒騎士&イーリス「ダークシールド!」
再び放たれた悪魔の衝撃波を…二重に重ねた闇の盾で防ぐが、衝撃により吹き飛ばされる形で黒騎士とイーリスは、オーレリアのところへと戻ってくる。
オーレリア「お二人とも、ご無事でよかった。しかし…悪魔が使うあの力はいったい…。」
イーリス「おそらくは、引力と斥力を自在に操っているんじゃないかな。斥力で弾き飛ばし、引力で引き寄せてる…感じかな。
あの障壁については…悪魔がこの世の全てを否定し、この世の全てを拒む絶対障壁だね…物理攻撃も魔法攻撃も無効化してしまって、突破するのは困難な奥義だよ。」
難攻不落の悪魔から…砕かれた鎌に代わる、新たなる鎌が創り出され…補充された無数の鎌が再び襲いくる。
黒騎士「七翼流 氷の型 滅・氷雪斬」
迫る無数の鎌を黒騎士は、黒き冷気纏う剣で弾く……。
……黒騎士の戦い方を見ていたオーレリアは気付く…彼女は『七翼流剣術』『教会騎士の剣術』それから『王国騎士の剣術』の全てを収めていることに…
私はかじる程度だが、七翼流と王国騎士の剣術の二つ…レインでも七翼流と教会騎士の剣術の二つだけで…
その三つの剣術を同時に収めている人物など、今のこの世界にはいないはず…そして、その全てを絶妙に『複合させ自分の型へと昇華』させている…明らかに理に至った達人の域だ…
いったい…この人は何者なんだ……。
イーリス「……鎌に障壁…そして今奴が放とうとしている魔法までなら、魔神さんと黒騎士の2人で突破はできる…でも最後の一撃までは届かない。
だから、オーレリア…あの悪魔へのとどめの一撃は頼めるかな?」
障壁に守られた悪魔は両手に闇の魔力を集約し、異界化した王の間を吹き飛ばすほどの威力を溜めていて…オーレリアは眠るキールを見つめたあと、覚悟を決めた表情でイーリスへと振り向き。
オーレリア「私が、この手で『未来』を切り開いてみせます。」
イーリス「んっ…なら、任せた。黒騎士、やるよ! 合わせて!」
黒騎士「……オーレリアさん…あなたなら…いや…あなただからこそ、キールさんを必ず取り戻せるんです。
だから、その行く手を阻む壁を越え道を突き進むためのお手伝い…私とイーリスがします。」
黒騎士とイーリス…そしてオーレリアは未来を掴むために駆ける。
「……滅びよ」
異界化した王の間すら吹き飛ばすほどの闇の波動が放たれ…あらゆるもの闇に染め上げ、あとには一条の光すら残さなかった。
黒騎士&イーリス「滅びるのはそっちだ…重力玉+重力玉っーー魔神の月」
黒騎士とイーリスが作り出した2つの重力玉が混じり合い…究極の重力魔法…全てを飲み込むブラックホールが創り出される。
その放たれた漆黒の球体は、襲いくる無数の鎌を全て飲み込み…闇の波動と衝突し、凄まじい爆発と共に相殺し合った。
黒き爆風の中から黒騎士とイーリスが現れ、超高速でX状に交差し合った。
黒騎士「黒翼っーー」
イーリス「十字斬りっ!!」
七翼流の奥義『黒翼剣』とイーリスの双刃剣の奥義『ブラッディ・クロス』の合わせ技が放たれ…悪魔の障壁を切り裂いた。
「……障壁はすぐに復活する…だから、全て無駄なのだ」
全ての力を一点に集約した斥力の衝撃波が、駆けるオーレリアを飲み込む。
オーレリア「……キール隊長を取り戻せれば、私の身はどうなってもいいと思っていた…私の身と引き換えでも助けたいと思った…
だが…それは間違いだったことに気付けた…それでは残されたキール隊長を本当の意味で救えてはいない…だって残された方はたまらなく心が苦しいんだ…今の私のようにな…。
……私は絶対に生き残り…私はキール隊長と2人一緒に…絶対に幸せになる! だから! こんなところで死んでたまるかぁあああっ!!」
「なん…だとっーーー」
オーレリア「『10倍』重力剣っ!!」
シリウスの姿から学んだオーレリアは、決して折れず消えぬ『灯火』を心に灯し…キールへの想いの一太刀は、無明を切り裂く閃火と化した。
0
お気に入りに追加
106
あなたにおすすめの小説

〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
【ママ友百合】ラテアートにハートをのせて
千鶴田ルト
恋愛
専業主婦の優菜は、娘の幼稚園の親子イベントで娘の友達と一緒にいた千春と出会う。
ちょっと変わったママ友不倫百合ほのぼのガールズラブ物語です。
ハッピーエンドになると思うのでご安心ください。

とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
身体だけの関係です‐原田巴について‐
みのりすい
恋愛
原田巴は高校一年生。(ボクっ子)
彼女には昔から尊敬している10歳年上の従姉がいた。
ある日巴は酒に酔ったお姉ちゃんに身体を奪われる。
その日から、仲の良かった二人の秒針は狂っていく。
毎日19時ごろ更新予定
「身体だけの関係です 三崎早月について」と同一世界観です。また、1~2話はそちらにも投稿しています。今回分けることにしましたため重複しています。ご迷惑をおかけします。
良ければそちらもお読みください。
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/500699060
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる