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第7節 過去編 人魔大戦 キールとマサキ
第227話 反撃開始
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リーゼがオーレリアたちに『完全殲滅最終作戦』の内容を話始める少し前…。
かつてオフェリアが覚醒した場所…
大地はひび割れ、乾き、干上がった光景が過酷な環境を語るとともに、空からは骨だけの姿の怪鳥が鉄を擦り付けた時のような不快な鳴き声を響かせる空間…そこで特訓していたオフェリアたちは、手を止めて空を見て警戒する。
ティフィア「……少し予想より早いご到着みたいだ…君たちは離れてなさい。」
「博士…オフェリアさま…ご武運を…。」
オフェリア「ええ、ありがとう。ティフィア…この気配って…。」
ティフィア「ああ、来るみたいだね。」
ラバースーツの彼女たち8人が退避し、私とティフィアが話していると…
目の前の一角が直視出来ないほどの白の光が溢れ、その中から声が響いた…
女性とも男性とも取れない、優しさも冷酷さも感じさせない、機械音の音のようにも聞こえるが確かな強い意思を感じさせる声が。
「……ずいぶんと『改宗』に時間が掛かっていると思ったが、どうやら我を裏切ってその女の味方になったようだな、ティフィアよ。」
汚れなき白き光が弱まり、辺りは静けさに包まれる。
後光が指す中……『ソレ』は居た。
顔全体に白き包帯を巻き付け表情は愚か髪の毛すら見ることはできず。
纏う魔導服は清浄な魔力を湛え。
その色は一点の曇りない純白で揃えられている。
ただひたすらに光を感じさせる荘厳な雰囲気は辺りをはりつめさせる。
そして、その横には対照的にドス黒い魔力を放ち、禍々しい黒法衣を纏い唇には紫の色を差し、優しげに微笑む女性が居た…
それは教会騎士団の団長で、聖剣騎士が筆頭【槍の巫女】サクヤだった。
ティフィア「ええ、裏切らせてもらいました…オフェリアはもう私の女です、誰であっても渡すつもりはありません。ボスには申し訳ないが…私にも譲れない想いができたんです。
しかし…そちらのお嬢さんは、以前より魔力などが引き上げられているようですね?」
「禁忌の魔女を取り逃したのでな、我がさらに力を与えたのだ。その結果この女は、神と等しき力を手に入れ…我と共にこの世界を管理する絶対君主の1人となったのだ。」
黒サクヤ「ふふ…いくら初源の龍のあなたさまでも勝機はありませんよ。そして…そちら側にもはや未来はありません。」
サキュバスの館の戦いの時より、より『強化』された黒サクヤ…その力はもはやあらゆる生物を超える次元に到達し、その身からは聖剣を抜く前から禍々しい黒い神気を放っていた。
強化黒サクヤが指をパチンと鳴らすと、上空に映像が映し出され…そこには王都や砦など、王国にとってなくてはならない場所が、襲撃されている映像だった。
オフェリア「なっ…!?」
黒サクヤ「王国陥落計画の最終章はすでに開始されました…これでもまだ抵抗しますか?」
ティフィア「ああ、するとも。自分自身のこの気持ちに…オフェリアを想う気持ちは本物だからね。だから、彼女は渡さない。」
黒サクヤの最後の忠告もティフィアは受け入れず、彼女は私を守るように前へと立って黒サクヤたちを睨みつけ…
それを聞き終えると同時に…背筋を冷やす強烈な殺気がピリピリと空気を揺らし、大量の魔力が包帯の人物から放たれる…
その魔力は強化された黒サクヤと同種のもので…人間の魔導士がいくら束になったところで敵わない物であり、どんな奇蹟すら呼び起こしてしまう物だった。
「よかろう…ならば、その身をもって理解するがいい。全ては、我の手の中。世界は、我を中心で廻っている。そのことを、知れ。」
「「「それはどうかな」」」
オフェリア「えっーー」
私とティフィア…黒サクヤとアイツの決戦が始まる直前、聞いたことがある声が…私が聞きたかった声が聞こえ、私はそちらへと振り向く…するとそこには3人の人物がいて…。
オフェリア「っ…ど、どうしてここにフォウおじいさんやシンドバッドさんがいるの…!?
そ、それに…それに…! マサキまで…!?」
マサキ「よっ…オフェリア…なんだ、少しイメチェンしたか? まあ、その…お前が無事で本当によかった。」
ティフィア「へぇ…あのシンドバッドらを連れて、このタイミングで現れるなんて…なかなかオフェリアにいい格好を見せてくれるね…さすがはオフェリアが惚れるだけの女だ。」
マサキは私を見てほっとした様子を見せたあと、少し恥ずかしそうにしながら…でも心配したという想いが込もった言葉を紡いで。
シンドバッドとフォウは治療はしているものの、お腹に深い傷を受けたのが見てわかり…そんな彼らは、黒サクヤたちと対峙していて。
黒サクヤ「……こんなにすぐ再会するとは思いませんでした…それで? あれほど完膚なきまで敗れ、それでも尚また私の前に立ち塞がる理由はなんでですか?」
フォウ「そんなの決まっておろう…まだ黒騎士の『娘』とした、お主を止める約束を果たせていないからじゃ。」
「……まさかあれほどの完全敗北を喫っしておきながら、しかも未だダメージが回復してもないのに、その身体で再び我の前に現れるとは…そんなに死に急ぎたいのか? やはり人間とは愚かな生き物だ。
まあよい。それで? それはどうかな…とは、どういう意味だ?」
「そのままの意味だ…貴様を中心で世界が廻ってるなどと言う思い上がりはそこまでだ、なぜなら今から貴様の計画は破綻する。
……いい加減貴様は人間を舐めるなよ。」
シンドバッドがそう言い切ると、映し出されていた戦いの映像に変化が始まった……。
かつてオフェリアが覚醒した場所…
大地はひび割れ、乾き、干上がった光景が過酷な環境を語るとともに、空からは骨だけの姿の怪鳥が鉄を擦り付けた時のような不快な鳴き声を響かせる空間…そこで特訓していたオフェリアたちは、手を止めて空を見て警戒する。
ティフィア「……少し予想より早いご到着みたいだ…君たちは離れてなさい。」
「博士…オフェリアさま…ご武運を…。」
オフェリア「ええ、ありがとう。ティフィア…この気配って…。」
ティフィア「ああ、来るみたいだね。」
ラバースーツの彼女たち8人が退避し、私とティフィアが話していると…
目の前の一角が直視出来ないほどの白の光が溢れ、その中から声が響いた…
女性とも男性とも取れない、優しさも冷酷さも感じさせない、機械音の音のようにも聞こえるが確かな強い意思を感じさせる声が。
「……ずいぶんと『改宗』に時間が掛かっていると思ったが、どうやら我を裏切ってその女の味方になったようだな、ティフィアよ。」
汚れなき白き光が弱まり、辺りは静けさに包まれる。
後光が指す中……『ソレ』は居た。
顔全体に白き包帯を巻き付け表情は愚か髪の毛すら見ることはできず。
纏う魔導服は清浄な魔力を湛え。
その色は一点の曇りない純白で揃えられている。
ただひたすらに光を感じさせる荘厳な雰囲気は辺りをはりつめさせる。
そして、その横には対照的にドス黒い魔力を放ち、禍々しい黒法衣を纏い唇には紫の色を差し、優しげに微笑む女性が居た…
それは教会騎士団の団長で、聖剣騎士が筆頭【槍の巫女】サクヤだった。
ティフィア「ええ、裏切らせてもらいました…オフェリアはもう私の女です、誰であっても渡すつもりはありません。ボスには申し訳ないが…私にも譲れない想いができたんです。
しかし…そちらのお嬢さんは、以前より魔力などが引き上げられているようですね?」
「禁忌の魔女を取り逃したのでな、我がさらに力を与えたのだ。その結果この女は、神と等しき力を手に入れ…我と共にこの世界を管理する絶対君主の1人となったのだ。」
黒サクヤ「ふふ…いくら初源の龍のあなたさまでも勝機はありませんよ。そして…そちら側にもはや未来はありません。」
サキュバスの館の戦いの時より、より『強化』された黒サクヤ…その力はもはやあらゆる生物を超える次元に到達し、その身からは聖剣を抜く前から禍々しい黒い神気を放っていた。
強化黒サクヤが指をパチンと鳴らすと、上空に映像が映し出され…そこには王都や砦など、王国にとってなくてはならない場所が、襲撃されている映像だった。
オフェリア「なっ…!?」
黒サクヤ「王国陥落計画の最終章はすでに開始されました…これでもまだ抵抗しますか?」
ティフィア「ああ、するとも。自分自身のこの気持ちに…オフェリアを想う気持ちは本物だからね。だから、彼女は渡さない。」
黒サクヤの最後の忠告もティフィアは受け入れず、彼女は私を守るように前へと立って黒サクヤたちを睨みつけ…
それを聞き終えると同時に…背筋を冷やす強烈な殺気がピリピリと空気を揺らし、大量の魔力が包帯の人物から放たれる…
その魔力は強化された黒サクヤと同種のもので…人間の魔導士がいくら束になったところで敵わない物であり、どんな奇蹟すら呼び起こしてしまう物だった。
「よかろう…ならば、その身をもって理解するがいい。全ては、我の手の中。世界は、我を中心で廻っている。そのことを、知れ。」
「「「それはどうかな」」」
オフェリア「えっーー」
私とティフィア…黒サクヤとアイツの決戦が始まる直前、聞いたことがある声が…私が聞きたかった声が聞こえ、私はそちらへと振り向く…するとそこには3人の人物がいて…。
オフェリア「っ…ど、どうしてここにフォウおじいさんやシンドバッドさんがいるの…!?
そ、それに…それに…! マサキまで…!?」
マサキ「よっ…オフェリア…なんだ、少しイメチェンしたか? まあ、その…お前が無事で本当によかった。」
ティフィア「へぇ…あのシンドバッドらを連れて、このタイミングで現れるなんて…なかなかオフェリアにいい格好を見せてくれるね…さすがはオフェリアが惚れるだけの女だ。」
マサキは私を見てほっとした様子を見せたあと、少し恥ずかしそうにしながら…でも心配したという想いが込もった言葉を紡いで。
シンドバッドとフォウは治療はしているものの、お腹に深い傷を受けたのが見てわかり…そんな彼らは、黒サクヤたちと対峙していて。
黒サクヤ「……こんなにすぐ再会するとは思いませんでした…それで? あれほど完膚なきまで敗れ、それでも尚また私の前に立ち塞がる理由はなんでですか?」
フォウ「そんなの決まっておろう…まだ黒騎士の『娘』とした、お主を止める約束を果たせていないからじゃ。」
「……まさかあれほどの完全敗北を喫っしておきながら、しかも未だダメージが回復してもないのに、その身体で再び我の前に現れるとは…そんなに死に急ぎたいのか? やはり人間とは愚かな生き物だ。
まあよい。それで? それはどうかな…とは、どういう意味だ?」
「そのままの意味だ…貴様を中心で世界が廻ってるなどと言う思い上がりはそこまでだ、なぜなら今から貴様の計画は破綻する。
……いい加減貴様は人間を舐めるなよ。」
シンドバッドがそう言い切ると、映し出されていた戦いの映像に変化が始まった……。
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