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第7節 過去編 人魔大戦 キールとマサキ
第225話 真なる無明を切り裂く閃火の一刀
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広間には剣と拳で斬り結ぶ轟音が響き渡り、その衝撃で周囲の物は吹き飛ぶ…ぶつかり合いにより地面に大穴が次々と空き、お互いの技が闘気が相手を喰らおうと鬩ぎ合う。
オーレリア「な、何という戦いだ…! これが『魔を極めし者』と『武を極めし者』の戦い…もはや常人が立ち入れる領域ではない…し、しかし…!」
リーゼの拳…いや全身が相当な強度を誇っているのか、全く剣の刃が通らなく奴にダメージすら与えられていない…
以前も奴は…頬が裂けても血が全く出ず、私とキール隊長の剣を拳で殴れるほどの硬さ、そしてダメージを与えても血ではなく闇色の霧を漏らす…そういった不可解な現象が起こっていたが、奴のあの力はどういったものなんだ…。
そして…やはりリーゼの方が強く、シリウス殿が少し押されていた…確かに彼は強い…だけどキール隊長をはじめ、あらゆる者が奴を倒すことができなかった…
そして、リーゼに敗北した私は圧倒的な『死』を感じた…今この瞬間も奴を見てるだけで身体が震えてしまう…それほどまでに恐怖を振り撒く獣を相手に、シリウス殿は何を『示し』てくれるというのだ…。
リーゼ「へぇ…本気の私とここまでやり合えるなんてねぇ…大口を叩くだけはある…
だけど、まだまだぁ…殺意も威力も速度も、何もかも足りない…足りない足りない…足りねぇよ…そんなんじゃあ、私を殺せやしない…やるなら、これぐらいはやらないと…ねぇ!」
シリウス「むっ…!」
オーレリア「っ…!?」
すると途端に、何故か簡単にリーゼの左腕がシリウス殿の剣によって切り裂かれ、そのまま上空へと吹き飛んだ…
そして、その左腕は水飴のようなゲル状に『液化』し…シリウス殿に向かって急降下し、液体から『固体』へと変化し、硬化した鋭利な左腕は彼へと襲いかかる。
シリウス「七翼流 水の型 水円陣」
襲いくる攻撃に対し、シリウス殿は腰に剣を構え、剣へと纏わせ魔力を水魔法へ変化させ…
剣と魔法を同時に叩き込む『魔法剣』と呼ばれる技で彼は…剣を横に薙ぎ、膜を張るように…円状に水魔法を発生させ、水流の流れで左腕の軌道をずらして攻撃を受け流す。
シリウス「七翼流 風の型 疾風っーーぬぅ…!」
リーゼ「魔法と剣技を同時に撃ち出す技か…魔法をそんな風に使うとは面白い発想だよ…
だがどんな驚異的な技を使おうと、遥か古くからいる上位種としての私に、なんの『祝福』も授かっていないたかが普通の人間ごときが勝つことなど、絶対に不可能なんだよ。」
攻撃を防ぐのと同時にシリウス殿は、風の力を加えた踏み込みでリーゼに突っ込み、奴を剣で切り裂いた…はずだったが、リーゼは闇色の『気体』と化してその場から消えてしまい…
そして闇色の霧はシリウス殿の背後に集まり、霧はリーゼの姿となって彼の背後をとり…リーゼの繰り出した貫手は、彼のお腹をかすめて僅かに肉を抉りとる。
硬化していた左手は再び液化し、飛び上がりリーゼの身体へと戻って…奴の左腕は元通りに戻り、傷を負ったシリウス殿と驚く私を見つめながら話し始め…
リーゼ「これが私の魔法『転写武装』だよ…文字通り相手が使う『技』を転写し、私の技としてそれを使用できるんだ…猫族としての固有能力とはまた別な、猫族の中でも選ばれた者にしか使えない魔法だ…
今見せたのは…肉体の硬化させる『固体化魔法』…肉体をスライムみたいに変化させる『液体化魔法』…肉体を闇色の霧状へ変化させる『気体化魔法』…の三種類だ。
まあ、普通の猫族は転写した技を同時に発動するなんて出来ないんだけどねぇ…でも…上位種の私は同時に発動することが可能なんだ…そして転写した技を組み合わせることができる私は、その魔法をさらなる次元に昇華させた…
その名も…究極・転写武装とね。」
オーレリア「あ、あれは…!」
シリウス「…リュネメイア殿の技か。」
リーゼ「さあ、第二ラウンド始めようか。」
リーゼが腕をシリウス殿に向けて翳すと、奴を守護するかのように千変万花、様々な形状・特徴を持った大量の剣が浮遊する…
リーゼは魔剣公主の技を繰り出し、その剣を操り彼を襲わせ、奴は霧となって姿を隠した。
シリウス「ふぅ…七翼流 闇の型っーー連撃必殺 重力剣」
リーゼ「オーレリア君があの時放った技を連続で繰り出すとは、やはり強いねぇ…だけど隙だらけだよ。」
シリウス「…そこか。」
リーゼ「…!?」
襲いくる凶刃を全て避けるのは難しいと判断したのか、シリウス殿は剣に魔力を纏わせ、それを闇属性魔法へと変換させ…かつてオーレリアが放った重力で重さを操作した魔法剣技で、迫りくる凶刃を撃ち砕いていく。
その凶刃に気を取られている時を狙って、リーゼはシリウスの背後をとって攻撃を仕掛けようとし…しかし武人としての気配察知で、彼は振り返りながら回転する勢いで、剣を横に振り抜いた。
リーゼ「はは…なぁんちゃって。」
シリウス「…! ぐっ…!」
リーゼ「ほらぁ! ほらほらぁどうしたっ! 私とオーレリア君に見せてくれるんだろう? 『想い』の力ってやつをさぁっ!」
しかし液体化したリーゼに剣の斬撃は無効化されてしまって、さらには身体のほとんどは液体していたが、一部だけは固体化させているのか…硬化させた右手から繰り出された貫手で、シリウス殿はまたダメージを受けてしまう。
そこからさらに追撃していくリーゼ…転写魔法で究極武装した奴を相手では、いくらシリウス殿でも防戦一方でボロボロになっていく。
リーゼ「最初からあんたに勝ち目はなかったけどさ、あんたは私相手によくやったよ…だからもういいじゃないか、いい加減諦めろ人間。」
シリウス「……。」
リーゼ「その目…気に入らないねぇ…ただの人間ごときが、まだ勝てる私に勝てると思ってるのか? ならこれでどうかな…じゅる…。」
見切りをつけたのか見下す表情でリーゼは言い放つが、シリウス殿の瞳の色は揺るがない…
その目が気に入らないリーゼは、シリウス殿にも恐怖と死を与えようとするため…さらなる手段のため…右手についた彼の血を吸った。
リーゼ「あんたの『奥義』も転写させてもらった…さらに…ここに私の魔法も加える…これでもうあんたに勝ち目はねぇ、わかったなら絶望して大人しく死を受け入れろ。
そもそも本気で硬化した私にダメージを与えることなんて…ましてや私を倒すことなんて出来やしねぇんだよ。」
リーゼは自身の液体化で剣の形を作り出し、硬化させ強靭な剣を生み出し、その刃に闇色の霧の魔力を纏わせ…そしてシリウス殿の光の奥義を発動させ、リーゼの魔力纏う翼生えし剣を天高く掲げる。
シリウス殿の奥義すら防いだ固体化状態より、さらに強度を引き上げたのか…リーゼの全身が深い闇色へと染まり…。
シリウス「……確かにお前は強い…だが、今のお前には決定的に足りないものがある。
それが何かわかっていないお前は、絶対に儂には勝てん。
それは、オーレリア…そしてキール殿、リュネメイア殿、アイリス殿、マサキ殿、オフェリア殿にエリシア殿…お主らにも当てはまることだ…そのままでは、更なる高みには届かんであろうな。」
オーレリア「えっ…私たち…にも…?」
リーゼ「はは…あははははは! この私に足りない…足りないもの? 『燃えたぎる怒りに憎しみ』と『圧倒的で暴力的までな純粋の力』を持つ魔王軍最強戦力の魔族たる私に?
あはは…最高だよ…ここまでボロボロにしてやったのに、まだそんなことを言えるなんて…逆に最高だよ! いいだろう…そこまで言うなら見せてくれよ、人間っ!!」
シリウス殿の言葉で初めて人間に興味が湧いたリーゼは、全ての力を次の一撃に込めて彼の…人間の想いなどを見極めようとした。
それを迎え撃とうとシリウス殿も構えて、光の翼纏う七翼流の奥義を発動し…私に対して語り始めながら、奴に向かって歩いていく…。
シリウス「オーレリア…お主らたちは皆どこか自身の命を軽くみすぎている…
民や…大切な者たちを守るためなら、その命をいつでも投げ出す覚悟という名の自己犠牲『過ぎる』心…少しも自分の命など惜しくないと思っておる…
だが…自分自身に価値を見出していないのなら、そんな命を賭けたとして、果たしてそれは己が力となるのか?
大事な者のため…憎しみや怒り…それも大事な想いだが、それだけでは激しくとも軽い…まずは死を恐れろ、死を厭え…
自分は絶対に生き残るのだという原初の想い、まずはその浅ましい自分自身の…本能を、衝動を手に入れろ…
生き残ることこそ、この世界でもっとも難しく、生物が最初にする戦いだ…その想いと向き合って、それで初めて力と剣に…己が命の重さが宿るのだ。」
シリウス殿とリーゼはお互いに踏み込み、己が全てを込めた一太刀を振るい…互いの力の本流がぶつかり合い、どちらも相手を喰らおうと鬩ぎ合う…その衝撃で周りのものが吹き飛ぶ。
シリウス「そして、そこが始まりだ…真なる想いとはそこから続くもの。
所詮 力や剣は己が一部にすぎぬ…それを振るうのはあくまで己が魂と意思…最後にはそこに込めた一条の想いこそが…全てを決するのだ。
オーレリア…今お主は真の意味で死を恐れておる、その死へと抗い生き残るという原初が想いを自分のものとしろ…さすれば大事な者がはっきりしてるお主は、真なる想いも見つけられるだろう…! そして、儂の場合はっーー」
リーゼ「ぐっ…!? はは…まじか…ここにきて、奥義を更なる極地まで昇華させやがった…これが光の剣聖シリウスの力…いや、これが人間の…『想い』の力てやつかっーー」
シリウス殿の言葉で、私の真なる想いが見える…キール隊長を救い出すや助け出すだけではなくて、『自分も相手も絶対に幸せになる…私とキール隊長の2人で必ず幸せになる』…そんな、ただ一条の願いが…。
リーゼの全てを飲み込む憎しみの一太刀を、シリウス殿の光の翼纏う一太刀が押し返し…
シリウス「我が娘を残して死ぬわけにはいかん! 儂の想いはただ、それだけよっ!!」
絶対に自分が生き残るという命への執着と重さに加えて、シリウスは最愛の娘への想いにより、奥義・光翼剣は『終の太刀・光翼剣』へと進化し…その『無明を切り裂く閃火の一刀』は、怒り狂う獣の一撃を切り裂いた……。
オーレリア「な、何という戦いだ…! これが『魔を極めし者』と『武を極めし者』の戦い…もはや常人が立ち入れる領域ではない…し、しかし…!」
リーゼの拳…いや全身が相当な強度を誇っているのか、全く剣の刃が通らなく奴にダメージすら与えられていない…
以前も奴は…頬が裂けても血が全く出ず、私とキール隊長の剣を拳で殴れるほどの硬さ、そしてダメージを与えても血ではなく闇色の霧を漏らす…そういった不可解な現象が起こっていたが、奴のあの力はどういったものなんだ…。
そして…やはりリーゼの方が強く、シリウス殿が少し押されていた…確かに彼は強い…だけどキール隊長をはじめ、あらゆる者が奴を倒すことができなかった…
そして、リーゼに敗北した私は圧倒的な『死』を感じた…今この瞬間も奴を見てるだけで身体が震えてしまう…それほどまでに恐怖を振り撒く獣を相手に、シリウス殿は何を『示し』てくれるというのだ…。
リーゼ「へぇ…本気の私とここまでやり合えるなんてねぇ…大口を叩くだけはある…
だけど、まだまだぁ…殺意も威力も速度も、何もかも足りない…足りない足りない…足りねぇよ…そんなんじゃあ、私を殺せやしない…やるなら、これぐらいはやらないと…ねぇ!」
シリウス「むっ…!」
オーレリア「っ…!?」
すると途端に、何故か簡単にリーゼの左腕がシリウス殿の剣によって切り裂かれ、そのまま上空へと吹き飛んだ…
そして、その左腕は水飴のようなゲル状に『液化』し…シリウス殿に向かって急降下し、液体から『固体』へと変化し、硬化した鋭利な左腕は彼へと襲いかかる。
シリウス「七翼流 水の型 水円陣」
襲いくる攻撃に対し、シリウス殿は腰に剣を構え、剣へと纏わせ魔力を水魔法へ変化させ…
剣と魔法を同時に叩き込む『魔法剣』と呼ばれる技で彼は…剣を横に薙ぎ、膜を張るように…円状に水魔法を発生させ、水流の流れで左腕の軌道をずらして攻撃を受け流す。
シリウス「七翼流 風の型 疾風っーーぬぅ…!」
リーゼ「魔法と剣技を同時に撃ち出す技か…魔法をそんな風に使うとは面白い発想だよ…
だがどんな驚異的な技を使おうと、遥か古くからいる上位種としての私に、なんの『祝福』も授かっていないたかが普通の人間ごときが勝つことなど、絶対に不可能なんだよ。」
攻撃を防ぐのと同時にシリウス殿は、風の力を加えた踏み込みでリーゼに突っ込み、奴を剣で切り裂いた…はずだったが、リーゼは闇色の『気体』と化してその場から消えてしまい…
そして闇色の霧はシリウス殿の背後に集まり、霧はリーゼの姿となって彼の背後をとり…リーゼの繰り出した貫手は、彼のお腹をかすめて僅かに肉を抉りとる。
硬化していた左手は再び液化し、飛び上がりリーゼの身体へと戻って…奴の左腕は元通りに戻り、傷を負ったシリウス殿と驚く私を見つめながら話し始め…
リーゼ「これが私の魔法『転写武装』だよ…文字通り相手が使う『技』を転写し、私の技としてそれを使用できるんだ…猫族としての固有能力とはまた別な、猫族の中でも選ばれた者にしか使えない魔法だ…
今見せたのは…肉体の硬化させる『固体化魔法』…肉体をスライムみたいに変化させる『液体化魔法』…肉体を闇色の霧状へ変化させる『気体化魔法』…の三種類だ。
まあ、普通の猫族は転写した技を同時に発動するなんて出来ないんだけどねぇ…でも…上位種の私は同時に発動することが可能なんだ…そして転写した技を組み合わせることができる私は、その魔法をさらなる次元に昇華させた…
その名も…究極・転写武装とね。」
オーレリア「あ、あれは…!」
シリウス「…リュネメイア殿の技か。」
リーゼ「さあ、第二ラウンド始めようか。」
リーゼが腕をシリウス殿に向けて翳すと、奴を守護するかのように千変万花、様々な形状・特徴を持った大量の剣が浮遊する…
リーゼは魔剣公主の技を繰り出し、その剣を操り彼を襲わせ、奴は霧となって姿を隠した。
シリウス「ふぅ…七翼流 闇の型っーー連撃必殺 重力剣」
リーゼ「オーレリア君があの時放った技を連続で繰り出すとは、やはり強いねぇ…だけど隙だらけだよ。」
シリウス「…そこか。」
リーゼ「…!?」
襲いくる凶刃を全て避けるのは難しいと判断したのか、シリウス殿は剣に魔力を纏わせ、それを闇属性魔法へと変換させ…かつてオーレリアが放った重力で重さを操作した魔法剣技で、迫りくる凶刃を撃ち砕いていく。
その凶刃に気を取られている時を狙って、リーゼはシリウスの背後をとって攻撃を仕掛けようとし…しかし武人としての気配察知で、彼は振り返りながら回転する勢いで、剣を横に振り抜いた。
リーゼ「はは…なぁんちゃって。」
シリウス「…! ぐっ…!」
リーゼ「ほらぁ! ほらほらぁどうしたっ! 私とオーレリア君に見せてくれるんだろう? 『想い』の力ってやつをさぁっ!」
しかし液体化したリーゼに剣の斬撃は無効化されてしまって、さらには身体のほとんどは液体していたが、一部だけは固体化させているのか…硬化させた右手から繰り出された貫手で、シリウス殿はまたダメージを受けてしまう。
そこからさらに追撃していくリーゼ…転写魔法で究極武装した奴を相手では、いくらシリウス殿でも防戦一方でボロボロになっていく。
リーゼ「最初からあんたに勝ち目はなかったけどさ、あんたは私相手によくやったよ…だからもういいじゃないか、いい加減諦めろ人間。」
シリウス「……。」
リーゼ「その目…気に入らないねぇ…ただの人間ごときが、まだ勝てる私に勝てると思ってるのか? ならこれでどうかな…じゅる…。」
見切りをつけたのか見下す表情でリーゼは言い放つが、シリウス殿の瞳の色は揺るがない…
その目が気に入らないリーゼは、シリウス殿にも恐怖と死を与えようとするため…さらなる手段のため…右手についた彼の血を吸った。
リーゼ「あんたの『奥義』も転写させてもらった…さらに…ここに私の魔法も加える…これでもうあんたに勝ち目はねぇ、わかったなら絶望して大人しく死を受け入れろ。
そもそも本気で硬化した私にダメージを与えることなんて…ましてや私を倒すことなんて出来やしねぇんだよ。」
リーゼは自身の液体化で剣の形を作り出し、硬化させ強靭な剣を生み出し、その刃に闇色の霧の魔力を纏わせ…そしてシリウス殿の光の奥義を発動させ、リーゼの魔力纏う翼生えし剣を天高く掲げる。
シリウス殿の奥義すら防いだ固体化状態より、さらに強度を引き上げたのか…リーゼの全身が深い闇色へと染まり…。
シリウス「……確かにお前は強い…だが、今のお前には決定的に足りないものがある。
それが何かわかっていないお前は、絶対に儂には勝てん。
それは、オーレリア…そしてキール殿、リュネメイア殿、アイリス殿、マサキ殿、オフェリア殿にエリシア殿…お主らにも当てはまることだ…そのままでは、更なる高みには届かんであろうな。」
オーレリア「えっ…私たち…にも…?」
リーゼ「はは…あははははは! この私に足りない…足りないもの? 『燃えたぎる怒りに憎しみ』と『圧倒的で暴力的までな純粋の力』を持つ魔王軍最強戦力の魔族たる私に?
あはは…最高だよ…ここまでボロボロにしてやったのに、まだそんなことを言えるなんて…逆に最高だよ! いいだろう…そこまで言うなら見せてくれよ、人間っ!!」
シリウス殿の言葉で初めて人間に興味が湧いたリーゼは、全ての力を次の一撃に込めて彼の…人間の想いなどを見極めようとした。
それを迎え撃とうとシリウス殿も構えて、光の翼纏う七翼流の奥義を発動し…私に対して語り始めながら、奴に向かって歩いていく…。
シリウス「オーレリア…お主らたちは皆どこか自身の命を軽くみすぎている…
民や…大切な者たちを守るためなら、その命をいつでも投げ出す覚悟という名の自己犠牲『過ぎる』心…少しも自分の命など惜しくないと思っておる…
だが…自分自身に価値を見出していないのなら、そんな命を賭けたとして、果たしてそれは己が力となるのか?
大事な者のため…憎しみや怒り…それも大事な想いだが、それだけでは激しくとも軽い…まずは死を恐れろ、死を厭え…
自分は絶対に生き残るのだという原初の想い、まずはその浅ましい自分自身の…本能を、衝動を手に入れろ…
生き残ることこそ、この世界でもっとも難しく、生物が最初にする戦いだ…その想いと向き合って、それで初めて力と剣に…己が命の重さが宿るのだ。」
シリウス殿とリーゼはお互いに踏み込み、己が全てを込めた一太刀を振るい…互いの力の本流がぶつかり合い、どちらも相手を喰らおうと鬩ぎ合う…その衝撃で周りのものが吹き飛ぶ。
シリウス「そして、そこが始まりだ…真なる想いとはそこから続くもの。
所詮 力や剣は己が一部にすぎぬ…それを振るうのはあくまで己が魂と意思…最後にはそこに込めた一条の想いこそが…全てを決するのだ。
オーレリア…今お主は真の意味で死を恐れておる、その死へと抗い生き残るという原初が想いを自分のものとしろ…さすれば大事な者がはっきりしてるお主は、真なる想いも見つけられるだろう…! そして、儂の場合はっーー」
リーゼ「ぐっ…!? はは…まじか…ここにきて、奥義を更なる極地まで昇華させやがった…これが光の剣聖シリウスの力…いや、これが人間の…『想い』の力てやつかっーー」
シリウス殿の言葉で、私の真なる想いが見える…キール隊長を救い出すや助け出すだけではなくて、『自分も相手も絶対に幸せになる…私とキール隊長の2人で必ず幸せになる』…そんな、ただ一条の願いが…。
リーゼの全てを飲み込む憎しみの一太刀を、シリウス殿の光の翼纏う一太刀が押し返し…
シリウス「我が娘を残して死ぬわけにはいかん! 儂の想いはただ、それだけよっ!!」
絶対に自分が生き残るという命への執着と重さに加えて、シリウスは最愛の娘への想いにより、奥義・光翼剣は『終の太刀・光翼剣』へと進化し…その『無明を切り裂く閃火の一刀』は、怒り狂う獣の一撃を切り裂いた……。
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