騎士学生と教官の百合物語

コマドリ

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第7節 過去編 人魔大戦 キールとマサキ

第145話 ベアトリーチェの警告

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ネミーコ「アイリスさんの身体に光が…?これは…心音の鼓動が強く……!!

最高潮の盛り上がり時に合わせて来るなんてっ。この機を逃すわけには行かない……っ。一気に縫合、及び負傷部位を覆います!」

オズのサポートを受けつつ損傷した血管を魔法糸を使い素早く繋ぎ合わせて、増血魔法と人工皮膚移植を凄まじいスピードで行う中、もう1つの戦いも終結を迎えようとしていた。


徐々にベアトリーチェの動きが鈍り、ミクの剣激はそれを逃さなかった。

様々な属性を付加された人間の騎士としては、頂点に近い実力を見せつける彼女は多少息を切らしながらも、油断なく眼前の敵を見つめる。


ベアトリーチェ「……はぁ……はぁ……さすがにお強いのね。

……おかげで……助かり、ました。

……私が私自身を制御出来ない中……『分身』とは言え……私を殺してくれたこと感謝痛み入りますわ。

友人をこの手にかけることもなかった……ヴァランドロー家の家名に傷をつけることもなく、ひとまずは安心致しました」

深紅に染まりきっていた両目のうち左目が、彼女自身の本来の眼色であろうトパーズイエロー色に戻る。

その瞳はミク……アイリスの順に視線を移した。

同時に触手で構成されていた身体が末端から崩れ始める。崩れた部位は蠢く触手そのものに転じ始めていた。


ベアトリーチェ「……隙をつかれ無様に駒の1つに身をやつす屈辱に心を焦がすばかり。ですのに、止められなかった。

ぐっ……また、身体が勝手に……!!

ああああああ!!!」

右半身の触手が最後のあがきとばかりにキメラに突き刺さった剣たちを破壊した。

キメラは大きな雄叫びを挙げつつも、まるで煙がたち消えるように姿を消す。


ベアトリーチェ「……ああ……もう、時間がないのね。残念だわ……

ミク……最後まで手間をかけさせたついでに……

……警告の言葉を贈らせて。

『我が家に伝わる……どんな伝記や古き書物、古代史から近代史でも言える……真の黒幕は……意外と、すぐ……近くにいるものですの…』

どうか、油断なさらないで………」

その言葉を呟くと彼女自身は完全に崩れ落ち元の姿を失くした。


ネミーコ「……っ、これで……最、後……!!はあああ~~~……オズさんサポートありがとう~……ミクさんや三姉妹ちゃんもありがとう~~……」

魔法縫合糸を斬るとペタンと座り込む。安心したのか、手の震えが戻り始め小さくため息をついて地面に転がる。

アイリスの呼吸音はもとに戻り血色もよい。

それは『成功』を意味していた。


ネミーコ「……アイリスさん……リキュールじゃ、とても足りません。20年ものの、シングルモルトを持ってきて下さい……じゃないと許しませんから」

ーーーー

オズ「…! こいつは…おうよ 任せときな。」

オズもネミーコと同じく驚き、光の正体を考える様子を見せる…もすぐにやめ、生きようとする命を救うため 彼は彼女の動きに何とかついていく…。


ミク「はぁはぁ…んっ…ふぅ…あなたの方こそ強かったわ。

というか実力的にはそっちの方が上でしょ…ただ今回勝敗を分けたものがあるとすれば…守るものがあったかの差よ。

それに分身ね…はぁ…私もまだまだ精進が必要のようだわ。」

肌に汗を浮かばせながら、私は乱れていた呼吸を整えていく。

今回は何とか勝てたが紙一重だった…彼女の一撃一撃は速くて重く、一撃でももらえばひっくり返されていた可能性がある…

それに彼女の触手は『攻撃力』だけではない。むしろ触手の特性を生かした『絡め手』を混ぜてこそ本領を発揮できるだろう…

差があるとすれば…彼女が『暴走』していて、私の後ろには『守る』ものがあったこと…

しかもまだ何かありそうな雰囲気だし…さすがは魔王軍六武聖ね…正直 正面からやり合ってよく勝てたなと思う。


ミク「……あなたほどの使い手が後れを取る相手…ね…。まあ今回のことは貸しにしといてあげる。

っ…! …な…消え…しまった…逃したか…。」

自分より上の彼女が隙をつかれたにしても、うち負かして操れるほどの存在…

その者たちが団長が言う『終焉』を齎らす存在たちなのかしら…。

また暴走しかけたベアトリーチェを心配しながらも剣を構える…が対象が私ではなく、キメラを逃してしまう…

気配を全く感じない…転移か何かか…? くそ…ベアトリーチェとの戦いで力を使い切っていたとはいえ、やばい相手を逃してしまった…。


ミク「……気にしなくていいわよ…私は自分の目的を果たしただけだし…それに…暴走したあなたを見ていられなかっただけだから。

んっ…何かしら? ……その者が団長が追っている相手かはわからないけど、警告ありがとう…覚えておくわ。」

国や仲間にアイリスさんのためもある…けど無理やり戦わされてる者を放っておけるわけもなくて。

ベアトリーチェの言葉に感謝をし、私はお礼と気持ちを伝えながら 彼女を見送って。


オズ「ふぅ…なんとかなったか。ネミーコにミク…ドウセツにクレイシアにアルティナ…あとお前らもお疲れさん。」

教会騎士たち「ドウセツさんたちが強すぎて、私たちはほぼ何にもしてませんけどねー。」

アルティナ「いえ 私たちと皆さんの力に差はありません。」

クレイシア「そうそう『聖槍』が搭載されてるから何とかなるんだよ。まあ聖槍があってもミクとかには及ばないけど…♪」

ドウセツ「ともかく ネミーコさんや皆さんもお疲れさまでした。」

オズは教会騎士たちに労いの言葉をかけ…アルティナ、クレイシア、ドウセツも三者三様の表情と対応で 同じく労いの言葉をかけて。


ミク「ネミーコさん 本当にお疲れさま。オズたちもお疲れさまだよ。

ふふ…私もそうだね…アイリスさん これは貸し1つだからね。

この貸しは…まあ もし私の娘と会ったら、そっちに返してくれたらいいよ…だから最後まで生き残るのよ。」

みんなにお疲れさまの言葉をかけ…ネミーコのつぶやきに反応し、私もアイリスさんへと言葉を伝えて…

団長の『言葉』もそうだが…彼女みたいな心の優しい人には、この先もいろんな子を導いて…そして彼女自身も幸せになってほしい想いがあった…。
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