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第7節 過去編 人魔大戦 キールとマサキ
第140話 オフェリアの失敗
しおりを挟む凍結した酸の波が押し返された衝撃で、拳大の塊に碎けてフェアラートに降り注ぐも、彼女は特に意に介することなく回避行動も取らず、つぶてと化した塊が5発、彼女の身体を撃ち抜く。
血液が大量に溢れる……そう見られた。
しかし、彼女の撃ち抜かれた身体だったいくつかの部分が光を発すると瞬時に『フェアラート』がいた。
つぶてに撃ち抜かれた5発と同じ、5体が増えて本体と合わせると『6人のフェアラート』が佇む。
フェアラート「くあ♪今の痛みはなかなかだった♪だが、オフェリア先輩。『私たち』に獣姦プレイの趣味はないぞ♪」
フェアラート「そうだな、どちらかと言うとベアトリーチェ先輩の触手プレイのが好みだ!」
フェアラート「いや、1番は露出プレイだろう!私ともあろうものが、そこは推しておかなければ、黄泉の国で先輩たちが露出できない」
狂化された症状なのか瞳全てを赤く染めながらも談笑しながら、こちらへ前進する。口元はつり上がり凶悪な印象を讃えながら。
マサキ「オフェリア……気を付けろ。コイツ、ふざけてるノリだが……予想以上に、面倒なことになりそうだ」
フェアラート「失礼だな、マサキ先輩。先輩たちが大人しく私たちに殺されれば面倒なんかないんだぞ。……あまり手間を掛けさせるな!!」
6人のフェアラートが一斉に口から酸の波を発生させる。
先ほどより威力と量が6倍になった大量の波が濁流となって触れるもの全てを腐食させ迫る。
マサキ「『アルズ99式絶対魔法防護陣アイギスっ』」
『多重魔法陣』を2人と1体を囲うように展開させる。酸の波に触れた途端に魔法陣は腐食させられ、1枚また1枚と破壊が始まる。
マサキ「ぐっ……!!……こ、『黒鉄の壁っ、白煉の塔!集い来たりて眼前の敵を捕らえん!』」
フェアラート「足りない!!足りないなぁ!!もっと、私を痛め付けてくれ!!」
マサキ「くそっ、1体逃した!」
防御魔法陣を展開させながら、拘束魔法を詠唱し、フェアラートの手足に巨大な魔法鎖が現れ抵抗できないように彼女を拘束するも、1体がオフェリアと急速に距離を詰める。
フェアラート「縛りプレイか♡だがマサキ先輩!こんな甘々なプレイじゃ燃えないぞ!せめて手足を縛り落とすぐらいの食い込みがないとなぁ!!」
残りの5体の鎖も煙をあげ急速に腐食が始まり、効力の減少が目に見えてわかる。
フェアラート「オフェリア先輩!!サクッと逝こうじゃないか!」
至近距離から腐食を狙い胸元を向けて手刀を突き出す。
ーーーー
オフェリア「ちょ…回避ぐらいはしなさいよっーーなっ…!?」
回避行動すらしない彼女に心配を向ける…しかし直撃して傷を負うことはなく、それどころか予想外の事態になっていて。
フ、フェアラートが増えた…!? これが彼女の魔族としての力…傷を受けたら増える…ってところかしら…?
それが当たっていたら彼女らしい能力だけど…なんて面倒でふざけた能力よ…!
オフェリア「ええ…わかってるわ、マサキの方こそ気をつけなさいな。……まったく…本当に世話をかける子なんだから。」
増えた彼女たちの様子から、彼女たちが少なくとも正常ではないと把握でき…調整とやらの影響もあるのでしょうけど、さすがに6人であの様子だと威圧感がすごいわね。
マサキに心配の言葉をかけながら、私は戦闘態勢をとって…取り押さえるのがより面倒になったけど、彼女を救うためには…やるしかないわよね。
オフェリア「っ…ばっかじゃないのこの威力…! フェンリル 氷の壁!」
フェンリル「ォオオオン!」
6人のフェアラートが繰り出す酸の濁流は、文字通り先程の6倍で…あんなの食らったらマサキもだけど、不死の私でもさすがにやばい…
私は余裕のない表情でフェンリルに指示を出し、酸の濁流の前に魔狼は分厚い氷で出来た壁を作り出して。
オフェリア「くそ…まったく防ぎきれない…! 魔眼・照準こてっーーマサキ…!」
しかし6倍になった酸の濁流に氷の壁は意味をなさなく、氷の壁は酸の波に飲まれ 腐食され かき消されて…
私は魔眼の力で酸の濁流の時を固定しようとしていると、マサキが酸の濁流を防御陣で防いでくれて…
マサキの防御力は私より上…それでもフェアラートの攻撃力はそれを上回り。防ぎ 疲労していく彼女に心配した声をかけ。
オフェリア「っ…拘束魔法まで腐食するなんて…本当にデタラメな子ね…!
残念ね、私はどうやっても逝けない身体なのよ…うぁ…ぐっ…てりゃああ!」
マサキの拘束魔法まで腐食する様子を見て、彼女を取り押さえるのが とことん難しいのを知る…本当に勘弁してほしいわ…厄介すぎて 対処の方法が全く浮かばないじゃない。
迫るフェアラートの手刀を両手で受け止め、私はそのまま身体全体を使って彼女を空中へ投げ飛ばす。
彼女に触れた 私の両手が腐食して激痛が走るが、不死性の治癒力で少しずつ回復を始め。
オフェリア「はぁはぁ…っ…ふぅ…少しの間 氷漬けになってなさい…フェンリル!」
フェンリル「おふ! ォオオオン!!」
手全体に指がいまだ腐食し、激痛からぷるぷると震わせるも 私はフェンリルに指示を出し…
魔狼は吹雪を巻き起こし、空中で動きが取れない彼女に浴びせ…氷の嵐により6人のうちの1人は氷塊に閉じ込められ。
ーーーー
フェンリルの凶悪な吹雪が声を発する暇さえ与えず、フェアラートの1体を上空高くで氷像に変えてしまう。
そのまま力なく氷像は地面に落下し、勢いよく叩き付けられ粉々に砕け散る。
その割れた破片それぞれが光を発すると、また『別の』フェアラートが出現する。
その数……約『70』人。
「はぁん♡全身が砕け散るこの感覚♡♡少しアクメを決めてしまったぁあ……♪久しぶりだよオフェリア先輩ぃい♪お礼に私たちがサクッと殺してやるぞ!!」
「ああ!それがせめてもの礼儀というやつだ!!」
「その恐怖に染まりかかる目がたまらないぞ先輩方ああ!!早く私をその威力で殺してくれ!!」
マサキ「マズイ…!!」
いくら俺とオフェリアでも『魔力減衰』がかかっているこの区域で、魔王軍六武聖を1人相手にするだけでも手こずるのにこの数は無理だっ!
マサキ「……まて、フェアラート!どうしてこんな事をする!!お前の意志はどこにある!俺たちと露出ライフを送りたいんだろう!?
お前次第だが俺もオフェリアも露出同好会に乗ってやっても良いと考えたのに!
それを不意にするほど。ただの人形に成り果てたのか!?魔王軍幹部が笑わせるな!!」
オフェリアの隣に降り立ち大きく声を張り上げ注意を引く。その間に相棒に対して目配せして、氷壁を数枚張り上げるよう合図を送る。
自身も多重魔法陣を仕込みながら、時間を稼ぐ。
オフェリアが氷の壁を数枚張ったら……俺がそれを魔法でぶち壊して、次の魔法で水煙を更に拡散させる。
転移魔法はこの区域で発動できないが、走るしかないが、僅かに距離を取る程度の時間は出来るはず。
撤退のきっかけにはなる……!!
「私たちの意志?」
「あの方の御意志だ…先輩たちを消す!!」
「まて、先輩たちと露出できるのか…!?」
「いや、調整されて私たちが受け入れた、私自身の意志だ!!」
「それでは凄まじく過激な衣装を用意しなければ!」
「そうだ、先輩たちと闘えば私自身も殺されるかもしれないし、先輩たちも殺せて御意志にも従える!」
「まて!先輩たちはどんな衣装が着たいんだ!?想像させてくれ!オフェリア先輩、私たちを興奮させてくれるような衣装なのか?どんな衣装なんだ!?」
禁忌の魔女の言葉に統制がとれないのか、70人がそれぞれ揉め始める。そんな中、1体がオフェリアに向けてどんな衣装を着てくれるのか質問をぶつける。
まだ陣には時間がかかる……、オフェリア答えを間違うなよ……!
ーーーー
オフェリア「よしっーーって…あっ…まず…!」
凍らせて動きを封じるだけのつもりだったのに、空中へ投げたことによる落下を考えていなかった…私のうっかりが発動して。
オフェリア「……あは…は…いくらなんでもこれは…ごめん マサキ…私のせいで…こんなことになって…。」
自分がやってしまった うっかりにより 目の前の事態が最悪なものになってしまっていて…
冷や汗を流す私は乾いた笑いを浮かべたあと、真剣な表情でマサキに謝って…
彼女の能力のヤバさは理解していたのに 私のミスでこんな事態になってしまった…
だから私がなんとかしないといけない…せめてマサキだけでも…。
オフェリア「えっ…マ、マサキ…? っ…フェンリル お願い!」
フェンリル「ォオオオン!」
オフェリア「レグルス あなたも来て!」
レグルス「おふぅ!」
この人数 相手に魔眼は使えない…強者相手なら1人でも消費が激しいため、全員の時を固定しておくだけの魔力が足りないからだ。
思考を巡らせるが打つ手が思いつかないなか、マサキが声をあげ…そして目で私に指示を出してくれて…
私は相棒の指示通り フェンリルと協力して氷の壁を作り出していき…
その間にレグルスも呼び出し…逃走の際はマサキはレグルス…私はフェンリルに乗って離脱するわよ…と相棒に目で伝えて。
オフェリア「ふぇ…!? え、えっと…あの…その…あぅ…ぅ…っ…ち、乳首とクリトリスだけを隠す…ハート型のニップルシール…とか…?」
フェアラートの言葉とともに、70人の彼女たちが一斉に私のことを見つめてきて…
その期待する彼女たちの視線と急かされる言葉を向けられ…必死に思考を巡らせ、私は泣きそうな顔でそう口にしていて…
あとで気づくことになるが、もはや衣装ではない…。
ーーーー
「さいっこうだ!!オフェリア先輩、さいっこうすぎるぞ!!」
「もっと詳しく聞かせてくれ!!それは、自分で貼るのか!?いや、マサキ先輩に貼ってもらうのか!まさか、私に貼らせてもらえるのか!?」
「私たち、早く先輩たちを腐食させよう!時間を稼いでいるぞ!見ろあの氷の壁を!!」
「いや、しかし!!こんな貴重な機会を逃すのか!」
「待て!マサキ先輩の衣装は!?おそろいか!オフェリア先輩とおそろいなのか!?」
食い入るような視線を2人に見つめるなか、6枚の氷壁が左右にそれぞれ現れる。
それを見て禁忌の魔女は口元を吊り上げ、不敵に小さな笑みを浮かべる。
マサキ「オフェリアとおそろいか。魅力的な提案だな…だが」
パチンと指を鳴らすと多重魔法陣がマサキの足元に現れる。
マサキ「悪いがお前には付き合ってられん。その露出同好会とやらは、俺たちを屈服でもさせてから考えるんだな!」
硬質化した無数の土の弾丸が氷壁に雨のように降り注ぐ。壁は鈍い音を立てて崩落して大量の水煙が場を支配する。
「なんだと!逃げるのか!?許さないぞ!それは許さない!せめて腕を切断してくれ!全身とは言わないから!」
「私たちからは逃げられないぞ!!先輩たちが私たちを痛ぶるまでは!」
煙越しに彼女たちの罵りが聞こえるなか、間髪いれず両手を打ち鳴らし水煙に魔法霧を混じらせて感知を妨害する。
マサキ「くっ……よし!オフェリア、長いは無用だ、逃げるぞ!」
魔法を連発したため、魔力量が底をつき少しふらつきながらもレグルスに手を掛け背に跨がる。相棒も同じようにフェンリルに跨がるのを見ると、いち早くその場から退いた。
水煙が晴れると彼女たちは口々に呟く。
「やれやれ……まさか機転を回して逃げるとは!怒りが溢れてくる!!露出すると嘘をつくとは!」
「だが、私たちからは逃げられない先輩方!もっと遊んでもらわないと気がすまないからなあ!!」
「許さない!!私たちあいつらを追うぞ!あの獣とやらも、この区域ではすぐに魔力が枯渇する!そう遠くには逃げられないはずだ!!例え先輩方でもな!」
「ああ!今度こそ、サクッと消してしまおう!」
ーーーー
オフェリア「ふぇ…そ、それは…その…あぅ…えっと…わ、私は自分で貼っても…マサキやあなたたちに貼ってもらうのも…どちらでも…いい…けど…?」
フェアラートたちの言葉と視線を向けられ続け…自分で言ってることも正確に把握できてないほど、ぽんこつ化してしまってる私は半泣きで答えて。
なんかものすごく恥ずかしいことを言ってる気がするけど…答えなきゃ…時間を稼ぐために何か答えなきゃ…!
オフェリア「あっ……っ…フェンリルにレグルスお願い!」
フェンリル・レグルス「おん!」
オフェリア「…マサキ…私のせいで…ごめんなさい…。」
マサキのおかげでフェアラートたちに隙が出来て、私はフェンリルたちの背に乗り その場を離脱して。
ふらつくマサキを見て、私は心の底から謝って…私が失敗してしまったせいで マサキに負担をかけてしまった…。
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