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第7節 過去編 人魔大戦 キールとマサキ
第139話 蒼天の極地を目指す者
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~幕間~
キメラ「ちょこまかと、うっとうしい羽虫が……!」
女はキメラの放つ闇色の閃光を、軽やかに跳躍して身体を空中で軽やかに数回転させて攻撃を回避する。
魔力により身体の運動能力を極限まで高めているのだろう、一ヶ所に留まらず連続した跳躍によりあのキメラや幾重もの敵とも渡りあえている。
銀色の細剣を携えつつも、まるで舞っているかのような非常にアクロバティックな動きを常に維持。
アイリス「あああああぁ!!ふっ!!」
相手を翻弄しながらも、上下前後左右あらゆる角度から『回転』を加えた怒涛の連続攻撃は『剣鬼』の名に相応しく、防ぎきれない魔族兵が次々に地に伏す。
変則的かつ苛烈な剣筋は、魔族の自慢の剣豪たちすら全く問題にしないようだ。防御を打ち崩し深々と銀色の刀身が食い込み、血液が飛び散る。
魔法を使えないようにしたとはいえ……流麗な攻防一体に昇華された剣技。これがアイリス=レイフィールドの本来の剣というわけか。
孤軍奮闘する女に向けてまだまだ万軍の兵が彼女に殺到し、キメラの攻撃も迫る。
キメラ「あの女ぁああ!!」
蠍型の魔族が跳躍の隙を狙い大量の針が放たれる。
回避出来ないと踏んだのか、彼女は直前に斬り倒した魔族の死体を盾にして、そいつに迫り一刀のもとにひれ伏す。
アイリス「まだまだぁ!!」
魔族が取り落とした細身のナイフを口元に噛みこみ、冷酷な視線かつ鬼気迫る表情でキメラに迫る。
通り抜け様に襲い来る魔族を血祭りに挙げ顔の半分を敵の血液で塗らし、一騎討ちのスタンス。
キメラ「人間ごときが小癪な真似を!余に敵うと思うてか!!深淵の一撃を喰らうがよいわ!!」
アイリス「『襲色瑠璃波奏の剣』っ!!」
呪詛が込められた黒き大申爪と、まるで空を表したかのように刀身が濃い紫みの鮮やかな青色に染まった剣が交差する。
正確無比かつ殺意が込められた強烈な一撃はキメラの両腕が切り落とされ、切断面からは光の魔力が爆発して更に追加ダメージを与え獣の叫び声が響き渡る。
アイリス「私の剣は蒼天の極地を目指す剣。そう易々とは折れはしないよ…っ!!!」
確実な手応えのもと振り向くと幾重もの大蛇の牙がその大口を開けて迫ろうとしていたのをすんでの所で避けるも、体当たりの要領で身体を吹っ飛ばされる。
受け身を取りながらも、襲い来る兵士を切り裂きながら構え直し、敵を睨み付けると切り捨てたはずの獣の大腕が復活している。
アイリス「高速再生能力……!魔族がそんな能力使うなんて初めてみたかな。油断しっ!!?」
背後から強烈な殺気を感じつつ、回避が間に合わないと判断して渾身の力で地面に剣を突き立て、岩盤をめくりあげ『盾』にする。
強烈な衝撃が走ったかと思うと、岩盤は粉々に破壊され岩つぶてが額に直撃し、彼女の左目に血が伝う。
アイリス「っく……まさか……!!」
「アイリス……アイリス=レイフィールド」
土煙の中にあるその影からは姿は見えない。
しかし、間違いない。強者だけが出せる、この威圧。
「アイリスという名は、古代語では『虹の女神』を指す。全てを理解し何色にも染まり、全てを優しく包み内包する。
また、別の意味ではとある場所にのみ咲く、『花の名』を冠するそうですって。
貴公の両親は、いったいどちらの意味を込めて言霊を宿したか……答えは出た?」
幾重も手合わせしたその敵の名…………
アイリス「ベアトリーチェ=ヴァランドロー公爵……」
キメラ「ちょこまかと、うっとうしい羽虫が……!」
女はキメラの放つ闇色の閃光を、軽やかに跳躍して身体を空中で軽やかに数回転させて攻撃を回避する。
魔力により身体の運動能力を極限まで高めているのだろう、一ヶ所に留まらず連続した跳躍によりあのキメラや幾重もの敵とも渡りあえている。
銀色の細剣を携えつつも、まるで舞っているかのような非常にアクロバティックな動きを常に維持。
アイリス「あああああぁ!!ふっ!!」
相手を翻弄しながらも、上下前後左右あらゆる角度から『回転』を加えた怒涛の連続攻撃は『剣鬼』の名に相応しく、防ぎきれない魔族兵が次々に地に伏す。
変則的かつ苛烈な剣筋は、魔族の自慢の剣豪たちすら全く問題にしないようだ。防御を打ち崩し深々と銀色の刀身が食い込み、血液が飛び散る。
魔法を使えないようにしたとはいえ……流麗な攻防一体に昇華された剣技。これがアイリス=レイフィールドの本来の剣というわけか。
孤軍奮闘する女に向けてまだまだ万軍の兵が彼女に殺到し、キメラの攻撃も迫る。
キメラ「あの女ぁああ!!」
蠍型の魔族が跳躍の隙を狙い大量の針が放たれる。
回避出来ないと踏んだのか、彼女は直前に斬り倒した魔族の死体を盾にして、そいつに迫り一刀のもとにひれ伏す。
アイリス「まだまだぁ!!」
魔族が取り落とした細身のナイフを口元に噛みこみ、冷酷な視線かつ鬼気迫る表情でキメラに迫る。
通り抜け様に襲い来る魔族を血祭りに挙げ顔の半分を敵の血液で塗らし、一騎討ちのスタンス。
キメラ「人間ごときが小癪な真似を!余に敵うと思うてか!!深淵の一撃を喰らうがよいわ!!」
アイリス「『襲色瑠璃波奏の剣』っ!!」
呪詛が込められた黒き大申爪と、まるで空を表したかのように刀身が濃い紫みの鮮やかな青色に染まった剣が交差する。
正確無比かつ殺意が込められた強烈な一撃はキメラの両腕が切り落とされ、切断面からは光の魔力が爆発して更に追加ダメージを与え獣の叫び声が響き渡る。
アイリス「私の剣は蒼天の極地を目指す剣。そう易々とは折れはしないよ…っ!!!」
確実な手応えのもと振り向くと幾重もの大蛇の牙がその大口を開けて迫ろうとしていたのをすんでの所で避けるも、体当たりの要領で身体を吹っ飛ばされる。
受け身を取りながらも、襲い来る兵士を切り裂きながら構え直し、敵を睨み付けると切り捨てたはずの獣の大腕が復活している。
アイリス「高速再生能力……!魔族がそんな能力使うなんて初めてみたかな。油断しっ!!?」
背後から強烈な殺気を感じつつ、回避が間に合わないと判断して渾身の力で地面に剣を突き立て、岩盤をめくりあげ『盾』にする。
強烈な衝撃が走ったかと思うと、岩盤は粉々に破壊され岩つぶてが額に直撃し、彼女の左目に血が伝う。
アイリス「っく……まさか……!!」
「アイリス……アイリス=レイフィールド」
土煙の中にあるその影からは姿は見えない。
しかし、間違いない。強者だけが出せる、この威圧。
「アイリスという名は、古代語では『虹の女神』を指す。全てを理解し何色にも染まり、全てを優しく包み内包する。
また、別の意味ではとある場所にのみ咲く、『花の名』を冠するそうですって。
貴公の両親は、いったいどちらの意味を込めて言霊を宿したか……答えは出た?」
幾重も手合わせしたその敵の名…………
アイリス「ベアトリーチェ=ヴァランドロー公爵……」
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