騎士学生と教官の百合物語

コマドリ

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第7節 過去編 人魔大戦 キールとマサキ

第138話 フェアラート=アイントホーフェン

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~同刻 魔族領深部 大峡谷 デモンズバレー ~

植物の隙間から露出した荒々しい岩肌が威圧的を与え、道路を覆い尽くす岸壁は気が遠くなりそうなほどの高さを誇り、その切っ先を空に伸ばしている。

空気が乾燥し、日が照りつけるこの広陵とした領域を2人の人影が進む。

とある魔族幹部の根城とされているこの大峡谷だが魔族の姿はなく、悪魔の谷の名とは裏腹に、小動物や鳥類が時おりこちらを見つめ緑が支配する穏やかな雰囲気をもたらしている。


マサキ「……忌々しい。結界が張られてなければ直ぐだったんだがな」

小さく溜め息をつきながら額の汗を拭う。

いつもの黒のローブは今日ばかりはお役ご免。腰元に黒衣を巻き付け、やや乱暴に巻き付けたサラシ姿でうんざりした表情を浮かべる。


マサキ「だが、もうじきのはずだ。……オフェリア、大丈夫か?」

太陽の位置からしてだいぶ歩いてきたはずだが、景色があまり変わらないために方向感覚、時間感覚が狂いがちだ。

相棒になった彼女に気をかけていると、左腕に青白い魔力が宿り……弾けて消える。

これは……一定時間、封印が破られたときに自動的に俺に送信されるサイン。

つまりは……『彼女』が消えた合図だ。


マサキ「早すぎる……」

ーーーー

オフェリア「あーつーいー! まぁったくぅ…こんなめんどうなところを根城にするんじゃないわよぉ…。」

マサキとの戦いでボロボロになった服から、私は新調した踊り子衣装を身に纏っていて。

舞うための紫の衣装は少し露出が多く…汗が滲む肌を晒しながら、私は目的地にいるであろう魔族に抗議を口にしていて。

レグルスやフェンリルで駆けていきたいけど、足場も安定しないから危ないし…あぁんもう! 私は太陽の光とか大丈夫だけど、こうも暑いのは苦手なのよね…。


オフェリア「んー? 大丈夫よ。暑くて少し参ってるけど、戦闘のスイッチにはすぐに切り替えられるから。

……? マサキ どうかした? もしかして…キールさんに何かあったの…?」

マサキに気にかけてもらい…暑さはには慣れないけど、Aランク冒険者として戦闘への切り替えはすぐにできると伝えて。

相棒の彼女のつぶやきに私は尋ねて。マサキのこの表情…それに左腕のあの魔力の流れ…嫌な胸騒ぎがするわね…。

ーーーー

マサキ「…………封印が破られた。『覚醒』を阻む鎖が失われた絶好の好機を、敵が見逃す筈がない。アイツは……キールは敵の手に堕ちたと考えるべきだ」

避けられない展開だったとはいえ、苦々しい思いと自分の無力さが身に染みる。

…恩人をむざむざ俺は危険に晒している。

強度を高め、もうじき持つと見ていた封印式だったが……封印の破壊が早まった可能性としては、キール自身が闇を受け入れた……というところか。


マサキ「……この状況を放置することは出来ない。

圧倒的不利な形勢を逆転しないまでも、戦線を支え腐敗し堕落した王国騎士団の改革の先頭に立ったアイツは。

部下や仲間は言うまでもなく……多くの国民にも、圧倒的な支持を得ている。その支持層はギランバルトなど比べ物にならんほどに。

キール=ゴールドウィンは、ギランバルト中央軍を除く、王国騎士団の主要戦力の旗印。

アイツの正体を知るものこそ居ないが、アイツの不在は大きな痛手だ。

かろうじて耐えているエース部隊の士気に関わる上に、末端の魔族兵までアイツの不在の確証を持たれれば、一気に敵軍が雪崩れ込む。」

それは王国の崩壊を意味する。

腐りきった王国騎士団、堕落した教会騎士団が主導して、闇の都が完成されるだろう。

させるわけにはいかない。

だが魔法が封じられ、俺達でさえ大幅に魔力減衰するこの区域では取れる手段も限られてくる。

そんな時、上方から僅かに声が聞こえたかと思えばその声はだんだん大きくなり、2人の目の前に大きな衝撃が走り、土煙が晴れると人形の大穴が地面にデカデカと空いている。


マサキ「……………………」

顔を見合わせ沈黙が場を支配すると、その穴から土まみれの腕が見え、女が這い出る。

少し咳き込んでいたが、直ぐに2人を認めるとハッ!とした様子でその細身の身体から土を落とし、咳払い。


「さすが、魔眼の踊り子だな!修行していた私を後ろから容赦なく攻撃して、素知らぬ顔とは。全く聞きしに勝る、Sな奴めっ。よし……そのまま、さあ、私を踏んでくれっ!」

くせっけのある藍色の髪に赤色の瞳。細身で陽射しでほんのり火照るその顔を、興奮で歪めながら…その女はオフェリアの前で大の字になってパタパタとおみ足を求める。

……なんだこのストレートな変態は。瞳が濁るのが自分でわかる。さっきまでの真剣な雰囲気を返してほしい。

というか、オフェリアは今攻撃してないだろ。

どっから落ちてきたコイツ。

ーーーー

オフェリア「そっか……マサキ あなたのせいじゃないわ。ああ これは私の本心だからね。

私やマサキ…オーレリアさんやフォウおじいさんに他の人たちも尽くせる手は尽くしてる…それでも今回の流れを作った者たちにしてやられたというだけ。

むしろここからが正念場でしょ? 戦争に負けない…キールさんやあなたの恩人を取り戻す…落ち込んでる暇なんてないわ、私とあなた…他の人たちも負けっぱなしでは終われないわよ、気合いを入れ直しなさいな。」

落ち込んでいるマサキの言葉を聞いて…私は彼女の瞳を見つめながら、真剣な表情で自分の気持ちを伝えて。

この嫌な流れを作っている者たちに今は後手に回ってしてやられっぱなしだ…だけど私は負けっぱなしは趣味じゃない。

マサキや他の人たちの想いなどを利用して踏みにじる…そんな奴らにこのまま負けるつもりはない。
私やマサキ…他の人たちの意思と想いの力を見せつけてやろうと激励して。


オフェリア「へぇ…キールさんってそこまでの人だったのね。しかしそれゆえに今の状況は非常にまずいという訳ね……って…あら…?」

マサキがここまで言うのだから、彼女の存在は王国にとっての希望の1つだったのだろう…

しかし今はその彼女が敵の手に堕ちたのだ…状況は最悪に近いと私でもわかる…

むかつくけど何もかもが敵の作った流れの掌の上ね…立場上の問題などもあるだろうけど、大局を見抜く…物事の流れを見通すことに長けたフォウおじいさんの上を行くなんてね……ん…?


オフェリア「……あれは女性ね…なんだか めんどぉなことになりそうな予感がするわ…。

言っとくけど私は何もしてないからね? あと私のことを知ってるようね…っていぅか なんで私がドSにされてるのかしら…
いや しつこく絡んでくる人たちはちぎっては投げてたけど、子供たちとか他の人にも基本は優しくしてたつもりなんだけどな 私…。

…それで? あなたは何者なのかしら? 私たちでも割と辛いここで平然としてる様子を見ると、ただの人ではないでしょ。」

予想通りめんどうなことになっていて、私はジト目で彼女を見つめ、そして少しだけ…本当に少しだけ心当たりがあるのだけど、それでも自分が容赦ない女だと見られてる誤解が納得いかない様子をみせ。

足で踏むのはこの際 置いておこう…私としては応えてあげても別に気にならないからいいけど、踏むと余計に話がこじれそうだからだ。

ーーーー

マサキ「…そうだな、その通りだ。策はある……力を貸してくれ。こうなる可能性を想定していなかったわけじゃない。『奴』のアジトにたどり着いたら、そこで手を打つつもりだ」

禁忌の魔女は相棒の言葉に背中を押され、穏やかに微笑む。

オフェリアとの旅路は、少しずつだが確実に……

破天の七杖を率いて以来、笑顔が失われていた彼女を解きほぐしているようだった。



「ふっ……なに。ただのドMだっ。

それより、さすがだな。こんな変態な要求をしている私を放置プレイの上に、ふたりで軽蔑しきった眼差しを注ぐとは……

何という女王様たちだ……予想以上だぞ。はぁああ……♪くぅう♪た、たまらん……♪この恥辱っ♪

だ、だが早く踏んでくれないと、ますます私の欲求不満は高まるばかりだぞ。どうしてくれるんだっ。どうするんだっ、この状況をっ」


マサキ「…………おい、ホントにどうすんだコイツ……」

一瞬、素晴らしく爽やかな表情を浮かべ名乗りをあげるも、それは清々しく変態そのもので、そのまま更に興奮したのかトロけた表情でオフェリアにパタパタと手足を動かして、この状況の解決を促す。


マサキ「オフェリア……貴女、ホントにそうゆうことしてないんだよな?このドM、すっかり出来上がってるぞ」

頭の中に赤皮のボンテージ姿のオフェリアが想像されるのを打ち消しながらジト目で、彼女を問いただす。

ーーーー

オフェリア「そっ…なら大丈夫そうね。もちろんそのつもりよ…他の人たち…そして私たちの力で全部取り戻すわよ。」

マサキの穏やかな微笑みを見て、私も彼女に微笑み返して…うん やっぱりあなたは笑ってる方が素敵よ。

あなたが笑えるよう…そして彼女の周りと王国の人たちが笑顔でいられるよう、私も真祖としての力を存分に振るうとしましょう。



オフェリア「いや放置じゃなくて どう反応すればいいのかわからないだけで…じょ、嬢王様…? えぇ…ど、どうするって…うぅ…マ、マサキも私に聞かないでよ!」

謎の彼女の要求と様子、そしてマサキの言葉に私は珍しく戸惑った様子を見せていて…完全に目の前の事態に頭が回ってないからだ。

こ、こんなタイプの人と初めて出会ったから どう対処するのが正解なの…!? えっとえっと…あぁんもう! なんで私が初対面の人にこんな要求をされてるのよ…!


オフェリア「ふぇっ!? な、なわけないでしょ! 大体 私はまだ処女で誰ともえっちしたことないっーーあっ…っぅ…//

くぅ…ああ もう!踏んであげるから あなたがどこの何者かとか早く答えなさいな!」

マサキの予想外の言葉をかけられ…目の前の事態にテンパっていた私は、自分の性の経験を思わず口にしてしまって…

マサキに自分がえっちの経験ないことを知られ、私は頬と耳まで真っ赤になり 瞳を潤ませながら恥じらって…
い、今の私が築きあげようとしてた 頼れる年上としての威厳が消えてぇ…!

もうどこかやけくそ気味で謎の彼女を蹴る…しかし彼女が痛めないであろう加減はし…
普段は見せないであろう…涙目であたふたと振り回される姿をマサキ晒していて。

ーーーー

「はぁあ……♪いい踏み加減だぁあ……だが出来ればそんなリアクションじゃなくて、ゴミを視るようにして見下してくれっ。その方が感じるぞっ♪」

オフェリアがポンコツ化して変態を半泣きで踏みつけている姿を見ると、小さくため息をつき、頬を人差し指でカリカリと掻いた彼女はオフェリアの肩を軽くつかんで引き戻す。

そしてそのまま、しゃがみこみ藍色の髪の少女の耳元で彼女にだけ聞こえる音量で何事かを囁き始める。


「えっ……そ、そんな……♡はぁん♡ひ、ひどい……♡は、ハードすぎる……♡ほぇえ……♡さ、さすがにそれはぁ……♡」

先ほど以上にトロトロ♡の表情に甘い視線をマサキに向けるが対する彼女は全く気にした様子はなく、つまらなそうに煙草を吸いだし白煙を空に向けて吐き出す。


「はひ♡わかりましたぁ♪さ、さっきの話!約束ですからねっ!絶対にご褒美下さいよっ!ねっ?」

マサキ「知らん。お前の態度次第だ。この駄犬が」

「はぁん♡期待してますからぁ♪」

何を呟いたのか藍色の髪の少女はうっとり♪した表情でマサキを見つめ、その態度に熱い視線を送りながら立ち上がり、コホンと咳払いする。


「自己紹介が遅れたなっ。私はフェアラート=アイントホーフェンだ。長いので、略して犬でも、豚と呼んでくれても構わない。寧ろ呼んでくれると嬉しい……♡

見ての通り、ドMで受けで、後は露出が好きだなっ。開放的な気分になり、あの辱しめられる視線はたまらん。二人もどうだ?私と露出同好会でも作らないか?凄いドキドキするぞ♡」


マサキ「おい」

性癖と露出の誘いで一向に話が進まないフェアラートに向かって、冷たい眼差しを向ける。


「はぁあ♡たまらん、マサキ先輩♡その軽蔑の眼差し……だが、話は進めるんだな!わかっているとも。

ああ、それとどうでもいいことなんだが。

この前まで先代魔王様(石)の執事長だったんだが、この前さるお方に指名されて、戦死した魔王軍六武聖のエルメス様の後任をやっている」

ーーーー

オフェリア「そ、そうなの…? いやでも…そんなこと急に言われても…。」

今まで出会ったことのないタイプである彼女に要求されるも、今までしたことのない行為なため私は涙目で戸惑うしかなく…

いきなりそんなこと言われても…うぅ…本当になんなのこの子…全然接し方がわからないのだけど…。


オフェリア「ふぁ…!? マ、マサキ…? ……え、えっと…よくわからないけど、解決した…のかしら…?」

マサキに肩から引き戻され、私は涙目で彼女を見つめて…そうしているとマサキが謎の女性に囁き、すると謎の女性は素直になり…

なんだかよくわからないけど…助けてくれたマサキには感謝しなきゃだわ…。


オフェリア「っ…だ、誰がそんな同好会なんか…いや 私の衣装も大概だけども…。

それより聞き捨てならないことを言った気が…あなたが元執事長で魔王軍の幹部…? 本当だとしたら私たちの敵な気がするけど…はっきり言ってそうは見えないんだけど。」

フェアラートの言葉を聞いて 私は赤くなるけど、よく考えたらこの踊り子衣装も…と自覚はあり。

それより魔王軍幹部という言葉を聞き、なんとか気持ちを落ち着かせた私は尋ねてみて。

ーーーー

フェアラート「ふふん♪オフェリア先輩、私が敵に見えないのは当たり前だろう。そんなヒラヒラした薄絹の衣装……貴女も露出癖があるんだろう?露出狂同士、先輩も親近感を感じているってことだ♪」

ドヤ顔でオフェリアの疑問に答えるものの対して敵意を発する様子はなく、それどころか面白そうな獲物を見つけたと喜ぶ様子を見せる。


フェアラート「だがまあ、私の立場について議論の余地はあると言っていいだろうな。私は敵だ。魔王軍六武聖……この純然たる事実は代えようがない。

心情的には先輩たちと露出同好会を結成したいし、一緒にアブノーマルな変態ライフを楽しみたい。

手始めに、山あたりとかでな……♪

だが、『奴』の意志が頭に響く!……響くんだ!!

先輩たちを殺せという命令が頭に響くのだからな!

……『調整』されたとはいえ……

この怨嗟の声には逆らえない。逆らう気持ちも起きない……!

それどころか、ゾクゾクするっ♪腕を絶ち斬られ!臓物が引き出され!ボロ雑巾のように転がる私をっ!!

先輩方に軽蔑される私をっ!先輩方が殺してくれるであろう私をっ!!

血に濡れ!化け物のように狂気を宿す私自身を考えたらたまらんのだ!!戦いたくてしょうがない!!

さあ、殺戮の時間を始めようじゃないか!!

だから……すまないな、先輩方っ♪」

マサキ「っ!!」

豹変したフェアラートの様子を見て仕込んでいた防壁を展開して、目の前を覆い尽くす大量の液体を『多重魔法陣』が弾く……が、飛沫が防ぎ切れず二人に飛び散る。

飛沫は2人の纏う装束に触れると、ほんの僅かな水滴にも関わらず触れた部分が『溶解』する。

左右を見ると弾かれ液体が直撃した岩壁も、岩肌がドロドロに溶解が始まっている。


マサキ「……なんて強力な酸だ。っくそ!!」

両手を打ち鳴らすと、溶解し崩壊しかかっていた多重魔法陣が強化される。

しかし、大幅に魔力が制限減衰する区域のため1度につき、普段とは比べ物にならない大量の魔力が消費されるため、魔女の顔に疲労の色が現れる。


マサキ「フェアラートっっ!!答えろっ、ベアトリーチェは何処に居る!!」

多重魔法陣を仕込む時間を稼ぎながら、当初の目的の相手の居場所を問いただす。すると、彼女は唇を吊り上げて笑った。


フェアラート「なるほどあの人の根城に先輩たちが来た理由は、やはりそうだったか!だが心配いらないぞっ、あの人も既に『調整済み』だっ。

今ごろ、先輩たちの仲間と楽しんでいるはずだ……殺戮の日々をね♪」

ーーーー

オフェリア「なっ…!? これは仕事着よ! そりゃあ踊り子衣装で舞ってる時は楽しいけど、露出が好きってわけじゃないわよ。」

確かに最初は踊り子衣装は露出が多いと思ったこともあったけど、それで舞うのは心地よくて高揚感を覚えたけど…

それでも私はあなた…フェアラートほど変態ではない…はずよ…。


オフェリア「だ、だから私は露出狂じゃ…フェアラート…? なっーーくっ!」

相変わらず調子の狂うフェアラートの言葉をジト目で見つめていると、彼女の様子がおかしくなっていくのを感じて…

豹変した彼女に攻撃され、慌てた私が魔法を展開する前にマサキがそれを防いでくれ。


オフェリア「マサキ…! ……調整済み…? そう…なるほどね…どうやら敵さんは味方にまで洗脳か何かを施してるようね…。」

フェアラートの攻撃の威力は周りを見るからに明らかで…それを防いでくれてるマサキもこの領域では本調子ではなく、私は彼女の名前を呼んで心配して。

フェアラートの言葉と様子に…私はマサキと対決した時のことを思い出し、敵さんは何らかの理由から 味方すら自分たちの駒として利用しようとしてることを把握し…

仲間すら物のように…そんな風に扱うなんて…とことん外道な奴らだわ。


オフェリア「……とりあえずマサキ、あの子を押さえるわよ。振り回してくれた子だけど…ほっとけないわ。

私が前に出るから あなたはサポートをお願い…来なさいフェンリル!」

敵で変わった子だけど、誰かに無理矢理 利用されてる姿を見てるのは辛く…私は眼帯を外し、彼女を助けると相棒に伝えて。

さっとマサキの前に出て、私は自身の眷属の獣を召喚して…私も魔力が普段より遥かに消費するけど、【寿命】があるマサキに無理をさせるわけにはいかない。


オフェリア「押し返しなさい!」

フェンリル「ォオオオン!」

右手をかざして眷獣…または精霊獣と呼ばれる魔狼に指示を出し、フェンリルは氷の嵐を起こして酸へとぶつける…

互いの力がぶつかり合うと初めは拮抗するも、魔狼の魔力が込められた吹雪は酸を凍らせ 吹き飛ばし 押し返した。
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