騎士学生と教官の百合物語

第7節 過去編 人魔大戦 キールとマサキ

第117話 風雲

ー幕間ー

爆撃音が辺りに凄まじい衝撃音を響かせ、辺りを瓦礫の山に変える。

もはや周囲の民家は原型を留めず、ここが街であったと知らぬものに伝えようとも、それを理解る人間は少数であろう。


リュネメイア「急ぐがよい！動けぬ者には部下をつけるゆえ、まだ余力を残すものは一刻も早く、この地より撤退せよ！

我が剣たちよ、よいか！！妾に構うな！！救える市民を残らず救うのだ！敵は妾が押さえるゆえ！」

別の街には、あの老いぼれや教会騎士団が向かったゆえ、妾の構うところではないが。

この街は市民の避難が未だ進まぬ中、妾のみで廃墟と言っても違和感などない街中に踏みとどまり、部下に避難誘導を行わせる。

飛んで来る魔法爆撃弾を魔剣で両断しつつ、返す刀で迫る敵を一閃し、そのまま回転斬りを加える。

豪華絢爛な着物は煤にまみれ、その輝きを失う中、

数時間は稼ぎ、撤退を検討するなか

敵の軍勢が中央大通りを進撃する。

その中には……逃げ遅れたのだろう。

女、子どもを含む『多くの市民』が枷をつけられた状態で囲まれて剣を突きつけられているのが見える。


「……『魔剣公主』！！多くの部下を削られよく戦ったと思う！！……でもねぇ。そろそろ面倒くさいんだぁ。ふふ……お互いに有意義な交渉といかないかぃ？」

リュネメイア「下劣な真似を……っ！」

煙菅(キセル)をくわえ煙を吐く女は、下衆な笑みを浮かべ此方を愉しげに見つめる。

妾の回りを囲むようにして、憎き魔族どもの剣が四方から突きつけられる中……妾は魔剣を手放した。