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第7節 過去編 人魔大戦 キールとマサキ
第93話 束の間の休息
しおりを挟むキール「奴は魔王軍幹部の『リーゼ』…昔、リュネ……いや、リュネメイア将軍とともに、手合わせしたことがある。……敵だよ」
ーーーー
オーレリア「ああ 今はそれでいい…私はキール隊長のことを好いているからな、何年でも待つからゆっくりと考えるがいい。
……しかし…ふふ…頬を赤らめてる隊長は可愛らしいぞ…♪」
私も急がずにキール隊長の意思を尊重し、隊長が私を受け入れてくれるなら ずっと愛すと言葉にして。
頬を赤らめるキール隊長を見て、私はにまりと微笑みながら 可愛いと口にして…隊長の方が今は実力は上だが、年上としての余裕を見せ。
オーレリア「ふむ…オブライエンじゃなく…そしていつでも殺れたか…つまりは奴は…。」
キール隊長の慌て具合と言葉を聞き、私はオブライエンに似た奴が敵なのかと悟り、冷静な表情のまま次の話を待って。
オーレリア「ほぅ…まさか奴が魔王軍の幹部だったか…そうか…魔王か…なるほど…通りで隊長のことを…。
リュネメイア…確かシリウスと一緒に映っていた……敵か…ということは私と会ったパラドックスという奴も敵だろうか? そして本物のオブライエンはどこに…?」
魔王というワードを早くも二度も聞き、そしてなぜ奴がキール隊長が魔王に…などを知っていたのかを悟り、私は顎に手を当てていて。
キール隊長の話を聞きながら、私は情報の整理をして今の状況を出していく。
ーーーー
キール「う、うぅるさぁーい///!あたしをからかうんじゃないよー!と、とにかく!この話はこれで終わりだから//!進めるなら噛みつくからねっ!」
副官のにんまりした顔に気恥ずかしくなり、両手を振り上げながら話の中断を宣言する。
キール「コホン。えーと……それでなんだっけ。パラドックス?いや、私は見てないな。
とー、オブライエンは…何らかの形で敵に力を奪われたってことだろうね。消息不明。
『リーゼ』は、彼女固有の能力として倒した相手の『能力・知識・経験』を自分のモノとすることができるっていう、厄介な能力持ちで……確か『猫族』の首領だったか」
彼女は『よく言うだろ?泥棒猫ってさ』と、疲れた表情に苦笑いを浮かべながら自分の知る知識をオーレリアに伝えあげる。
キー「はぁ……マサキにどやされるかも。『俺の部隊に何か起きている、油断するな』って言われてたのに……『破天の7杖』部隊ごと敵に奪われたよ、これ……」
小さくこの砦に来たもう1つの目的を暗に明かしながら、げんなりした表情でパタンとベッドに倒れ付して、布団で顔を覆う。
キール「よし、オーレリア!あたしは……お腹。そうお腹が痛いからここで1年くらい寝るわっ。なんで代わりに騎士団副団長代行よろしくっ」
布団を被りながらやけくそなのか、適当な指示を出して棒読みの命令を告げる。
ーーーー
オーレリア「ふふ…キール隊長になら噛みつかれても構わないが…まあ今はこれくらいにしておこう。」
キール隊長にならと微笑みながら言うが、自体が自体だから表情を真剣なものに引き締め。
オーレリア「ふむ…キール隊長も知らないとなると…マサキ隊長 あたりに聞いてみるか。
猫族で、倒した者の力を自身のものにできるか…確かに厄介な力だな…その盗んだ力は同時に使用できるのか?
同時に複数の能力を使えたら厄介どころではないが…。」
パラドックスのことに関してはマサキ隊長に聞いてみる事に…彼については敵ではない感覚があり、一時保留にして リーゼの話に移り。
オーレリア「なるほど、それもここに来た理由の一つだったか。
まあなんだ…隊長の場合は頭痛のせいだから仕方ないとフォローしておく…むしろ私の方が魔族とすら気付けなかったという失態だろう。
うむ 任された…などとなると思うか?
キール隊長は今から何をするつもりか聞かせてもらおう…そしてそれが危険なことなら私にも手伝わせてくれ。」
キール隊長をフォローしつつ、隊長を支える立場なのに魔族だと気付けなかったなど 自分の失態だと語り。
ベットに腰掛け 布団の上から キール隊長の身体に手を当て、隊長が心配だから何か考えがあるなら私に聞かせてくれと言って。
ーーーー
キール「えー?…………同時に使用できるから倒し損ねたんだってば。古傷えぐらないでよー…今あたしアレだから。頭を抱えてるから」
布団を被りモゾモゾ動きながらも、しぶしぶといった様子で質問に答える。
キール「………………あー……もう」
オーレリアの言葉に布団から顔を出して小さく溜め息をつくと、そのままめんどくさそうにしながらも起き上がる。
キール「アンタがそう言うんじゃ、立場上あたしもしっかりするしかないじゃんか。……ふ♪」
『やれやれ』ともう一度溜め息をつきながらも、その表情はどこか吹っ切れた様子を見せる。
キール「……さーてね。どうしよっか……マサキに連絡するにしても、追跡するにしても、とにかく、あたしたちもまずは本隊と戻って合流だな。
西部戦線は、アイリスが魔王軍幹部『エルメス』を倒したって連絡が入ってるみたいだし、彼女の部隊以外にもリュネメイア隊と…今はシリウスさんが詰めてるから問題ないとして…
あたしらは部隊ごと無傷だし、他の戦線への転戦を命じられるだろうなー。それも思っきり激戦区に転戦させられるだろうね。
やっと改革が進んできたところだろうから中央に居たいところだけど、抵抗勢力のギランバルト団長一派が許すはずはないだろーし
……となると、あたしの予想は『ここ』かな」
今後の見通しを分析し地図を拡げながら、ある一点を指差す。
キール「東部防衛戦の八鏡大橋。通称『グレートブリッジ』。
王国首都に東部からの主要な物資を一手に輸送する補給線。魔族はここを破壊すれば補給線を1つ破壊できるからね。
現在地とは真逆だけどさ。取り敢えず、今日は1日休んだらあたしたちの本隊に向けて出発しようか」
ーーーー
オーレリア「そうか…複数同時に使え、取り込むだけ力が増すのなら…野放しにしておくのは得策ではない…が…。」
手に負えないくらい力を奪われると考えながらも、キール隊長たちしか手に負えない相手で…私にももっと力があれば。
オーレリア「……うむ…やっぱりキール隊長は落ち込んでる顔より、そっちの方が似合ってるな…♪
本隊に合流 承知した。
ああ それなら見ていた…まさかシリウス殿が現れるとは思いもしなかったがな……まあそうだろうな。」
吹っ切れて少し笑みが戻る隊長の表情を見て、私はそっちの隊長の表情のが好きと言って。
キール隊長の話を聞きながら、ギランバルト団長の抵抗も予想できるため頷き。
オーレリア「グレートブリッジか、なるほど了解した…激戦区となるなら副官として隊長を支えなきゃな、より一層 精進するからいくらでも頼ってくれ。
一日 休むのも了解だ…ふむ なんなら一緒に寝るか?」
ーーーー
キール「いっ//……いいからっ!アンタはそっちのベッドで寝なさいよっ//そんで何かあったら、あたしを起こすのっ。お休みっ!」
今まで意識したことがなかった恋愛という感情を自覚し、急に頬を赤らめると布団をかぶりモゾモゾと動くものの、疲れていたのか、しばらくするとそのまま寝息を立て始める。
ゆっくりと夜は更けていき星空が砦を優しく包んだ…。
ーーーー
オーレリア「ふふ…ああ 了解した……ふむ…もう眠ってしまったのか…見張りは適度に私がしておく…ゆっくりと眠るがいい…。」
寝息を立てて眠るキール隊長のベッドに腰掛け、私は穏やかに微笑みながら 隊長の頭を優しく撫でて……。
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