騎士学生と教官の百合物語

コマドリ

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第7節 過去編 人魔大戦 キールとマサキ

第88話 グレイ=D=オブライエン…?

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キール「オーレリアぁ…まだー?副団長、早くしないともう出ちゃうよー!副団長はまだ眠いんだよー…ふああ…♪」

『キールさん、うっさい。朝です』
『ええ、りんごあげますから、早く部屋に戻って下さい』

キール「なんだとー!お前らあたしがリンゴに釣られると思ってんのか。失礼だぞ、失礼っ」

『いやいつも食べてるじゃないすか』

4日後の早朝眠たげに欠伸をしながら約束の時間より少し早めに砦の門のところで声をあげるも、周りの部下たちにからかわれながらジャレつき、副官を待つ

ーーーー

オーレリア「すまない 待たせたな。
ふっ 朝から賑やかなことだ…これもキール副団長の人徳の賜物かな?」

騎士服に身を包み 剣を腰に携え、遅れたことを謝りながら砦の門のところにやってきて。

部下たちとわいわいしてるキール隊長を見て、私は穏やかな微笑みを浮かべて。

ーーーー

『オーレリア様、あんま甘やかしたらキール…キールさん、調子に乗りますよ?』

キール「おいこら。いま、あたしのこと呼び捨てにしかけただろ。それにオーレリア様ってなんでオーレリアだけ贔屓してんだよー」

『はっはっはっ♪』

オーレリアに話し掛ける部下に詰め寄りながらも、和気藹々とした雰囲気が流れる。


キール「はぁ…もういいよ。取り敢えず、1日あたしたちは離れるから砦の守備頼むよホント。

…さてオーレリア。今からここに向かう。地形的には険しい岩場が多いとこだけど…いまはこの地点に駐留してるはずだから」

キールが地図に指し示した地域は、砦の近くではあるがかつて大規模な戦闘で岩場が主体となった足場が悪い地域。


キール「準備がいいならすぐに出発するよ?」

蒼の大剣を背負い騎士服の埃を払いながら確認。

ーーーー

オーレリア「ふっ…。
(そういう上下関係など気にせず、誰とでも仲良くなれるところが隊長の良い所ですよ…みんなに慕われるのも納得だ…かく言う 私も…。)」

隊長と部下と関係だがその明るい雰囲気を見て、自分ではこうはならないと 私はキール隊長を尊敬していて。


オーレリア「ふむ…これは動きにくそうな場所だな…。
ああ 大丈夫だ それでは行くとするか。」

キール隊長に地図を見せてもらい、直接見ないとなんともいえないが、様々な状況を想定し その対処も事前に考えたりしていて。

見送りの部下たちに手を振り、私はいつでも行けると伝えて。

ーーーー

キール「お…この当たりだ。思いの外早く着いたね……だけど」

時刻は昼過ぎ。暫く行軍した後に地図上のポイントに着く。

すると多くの岩場の影からスッ…と、1人また1人と黒いローブを身体に纏いフードで顔を隠し、杖を手にした者たちが現れはじめる。


キール「『破天の七杖』……ジェイドの部下たちだよ。殺気プンプンのおっかない奴らが多いから、気を抜かないようにっ」

蒼の大剣を手に取るとキールの想いに答えるように、スカイブルーの強い光を刀身が放つ。


キール「王国騎士団副団長キール=ゴールドウィンだ!『オブライエン』に話があるっ!あいつを出せっ」

『……お前たちが本物と信じる理由がない。魔族の変装かもしれん』

高温の大火球が多数放たれるも、回転しながら放った蒼の衝撃波で剣線一閃。全て一瞬でかきけす。


『ちっ!』

オーレリア周辺の大地が盛り上がり槍のようになると、彼女の身体に風穴を開けようと迫る。

ーーーー

オーレリア「むっ…お前たちは……破天の七杖…そうか彼らが…。
(気配の消し方に無駄のない動き…確かにかなりの達人たちだ。)」

キール隊長に続いて私も気配に気づくと、ローブの者たちが現れて。

キール隊長に説明され、私はこくりと頷いて。


オーレリア「オブライエン…? っ…キール隊長…!
むっ…今度は私か……ふっ! ほっ!」

私が首を傾げているとキール隊長が攻撃され、私も腰から剣を抜いて戦闘態勢をとって。

大地の槍が飛んでくると私はそれを大剣で振り払い、出来た隙間から脱出して…キール隊長みたいに一閃でとはいかないが、無駄のない剣筋と動きで躱せて。

ーーーー

「やめろ!!この馬鹿ヤローども!!」

大火球や雷、土槍に蒼色の剣閃。その全てがかきけされれると同時に『マサキ』の怒声が響き渡る。声の方から歩いてくる黒いフードに黒ローブの人物はフードを取る。

現れた顔は、糸目に灰色の髪をショートした線の細い女性が現れる。


「いやー、すみませんねぇ。ビックリしました?はは♪いえね?やっぱり『頭(カシラ)』の声が1番迫力あるから、1発なんですよ。こうゆうときはねぇ」

ははは♪と笑いながら腰の低い様子を見せる彼女に対してキールは前にでる。


キール「お前……!くっ、こんな時に……っ!」

何かを言い掛けたところで頭に痛みが走ったのか、辛そうな表情を見せ、そのまま腰のバックから水筒を取り出し口に運ぶ。

途端に瞳の色が濁り倒れ込み、気を失ってしまう。


「あー…またですか。おいたわしい『相変わらず』頭痛に悩まされてるようで。……副団長閣下をテントまで運んで休ませておあげなさい、丁重に扱うんですよぉ。さて…」

部下に指示を出したあと、オーレリアに向き直り丁寧にお辞儀したまま瞳を瞑る。


「はじめまして、破天の七杖の現場指揮を頭から仰せ付けられてる、グレイ=D=オブライエンと申します。ふむ…貴方はキールさんの護衛ってところですかねぇ」

顔をあげ顎元に指を添えながらオーレリアをまじまじと見る。糸目というところで表情はあわりかわりないが敵意はない様子を見せる
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