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第6節 過去編 エリシアとマリスミゼル②
第78話 思い出話
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マリスミゼル「…ふぅ……」
コーヒーカップを机に置き、開いていた資料を閉じる。表紙には『第2次、S計画』と記述されている。
マリスミゼル「……全く。だから政治は嫌いなのです。このような人道に背くものを…昔からこの国は、王国騎士団も、議会も、変わりませんね…」
その資料を机に置いたまま、椅子から立ち上がると窓から景色を見下ろす。
眼下の訓練場では、アイリスが「戦闘実技」の講義を行っている。
生徒たちの表情は真剣でいて、それでいて確かなやる気が伝わってくる。
ーーーー
エリシア「マリス 入るぞ。
ん? ああ 今は戦闘実技の時間だったか…アイリスの授業だからコトリはもちろんだが、他の生徒たちもやる気があるから伸びるのが早いな。」
私はドアを軽くノックして学園長室に入る。
窓から訓練場を見ていることに気づき マリスの横に並び、私はマリスと学園の生徒たちの会話をして。
エリシア「……どうした? 何か険しそうな表情をしていたが…あの資料が原因か?
…君の負担になるようなら、私が理由をつけて つき返してこようか?」
今は普段のマリスの表情に戻っていたが、入室時にしていた表情が気になり 聞いてみる。
机に置かれた資料にも気づいていて 私は心配した表情を見せて。
ーーーー
マリスミゼル「エリシア。
…いえ。『それ』は、王国騎士団長ギランバルト殿の肝いりの政策の1つです。同時に議会、教会、そしてこの学園が絡み合う、高度に政治的な案件でもあります。ですので、真っ向から歯向かうのは得策ではありません」
小さく溜め息をつくと、淡々と言葉を紡ぐ。
思い起こされるのは、任期が切れても王国騎士団長という国の重要ポストに10年間以上の長きに渡り居座り、騎士団を私物化しつつも、『表面的』には職務に邁進するあの男のことだ。
彼は…何を目指しているのでしょう。
表面的には民間人と交流を保ち、民に寄り添う姿勢で国民からの人気は高い。
だが裏を見ればお付きには騎士、民間人問わず美女を侍らせ、不正を揉み消し、あるべき事実からは目を背ける。
マリスミゼル「ふふ…♪私たちもああゆう時期がありましたね。ただ強くなり、心身を鍛練することのみ考えていれば良かった」
そんな事実から目を背けるように、二人の生徒が杖と剣をぶつけ魔法を唱え、剣を振るいお互いに楽しげな表情をしながら、ぶつかり合う試合を見下ろし、懐かしげに過去に思いを馳せる。
マリスミゼル「あの試合は…いま思い出しても心が震え立ちます」
ーーーー
エリシア「ギランバルト…殿のか…そうだな…正直 彼は怪物だ…彼の騎士としての実力の方はもちろん…そのカリスマ性と知識に洞察力…10年間も上のポストに居座れるだけをみても常人とは比べものにならない才をもってる…。
もちろん裏もその分 深いが…あの才を自らのため以外にも使ってくれたらいいものを…。」
マリスからギランバルト殿の名前を聞き、私は彼の良いところと悪いところをあげていき…
彼には学生の時から勧誘 その他いろいろと誘われたりし、私は苦手意識と迫られた時に少し恐怖を感じたことも…。
エリシア「ああ 懐かしいな…あの頃は君に教えてもらった魔法を磨き…一切の迷いもなく剣を振るい 成長を実感できるほど…すごく充実した日々だった…。
君と私の試合か…君に勝ちたくて、お互いに熱くなって やりすぎたところもあるが…うん あの時の純粋な勝負は…時間は今も忘れられない 心踊るものだった…。」
2人で若い雛鳥たちを見守りながら、マリスの横で私も懐かしい表情をみせて。
大戦時のマリスに迷惑をかけた 一対一 の勝負の方ではなく、同じくもう一つの良き思い出を思い出して。
ーーーー
マリスミゼル「いずれにせよ。エリシア……わかっているとは思いますが、ギランバルト団長にはお気をつけなさい。あの方はそもそも暗殺と、数々の謀略で今の地位にまで登りつめたと私は見ています。何せ対立していた勢力は全て消えてしまいましたから」
エリシアのギランバルトを見る一面を正しいと感じながらも、彼女を心配し、嗜める。
マリスミゼル「こう言っては、アイリスに叱られるかもしれませんね。
ですが私は、彼女と違い…大切な人こそ、危険なことに巻き込むことが正しいと信じています。それは、私なりの最大限の信頼の証です。私が信じた人はこの事態を、私と共に乗り越えてくれる人材だと……」
眼下に見下ろすアイリスを見つめ、そして机の上の資料に視線を軽く走らせると、小さく自分の考えを呟く。
マリスミゼル「……ふふ…♪少し気分転換に昔話を話すのも良いかもしれませんね。さあ、座りなさい……♪」
エリシアの表情に、ようやく柔らかい笑みを浮かべると彼女を長ソファーに座らせ、横に腰かける。
マリスミゼル「さ……♪ほら、こちらです。言わずとも、貴女ならわかるでしょう?」
ポンポンと自分の太ももを軽く叩き、膝枕を促してあぜる。
ーーーー
エリシア「大丈夫だよ マリス…彼の黒いところというか そういうところは気づいてるから…だから彼のことが 私は少し苦手なんだ。
それに…君が目指すところまでの障害になるかもしれない人だ、あらためて注意するよ。」
マリスに嗜められ、私はわかっていると彼女の目を見ながら答える。
暗殺や非人道な策略…騎士としては あるまじきことをしている可能性がある彼を苦手だと口にし、彼が何か仕掛けてくるのなら 私はマリスを守り抜くと気を緩めることはなく。
エリシア「ふふ それは確かにアイリスが少し怒りそうな感じがするな…
まあ 巻き込まれた方が私的にはいいな…大切な人が危険な目にあってるかもしれないのに、自分だけ安全な場所には いたくない…たぶん 彼女もそうだろう。
もちろん 魔法騎士の先輩として、私だって彼女には負けてないさ…マリスのその信頼に答えるよ。」
マリスの考えを聞いて、私も自分の考えを答えながら 窓の外のコトリを見つめて。
入学の時より剣の腕も精神も成長している彼女…その成長には、大切な人を守りたいという気持ちが手助けしているのだと思い。
エリシア「ああ そうだな それじゃあお茶を…えっ…マリス?
なっ! っ…// わ、わかるとも…だが…それは…ん…それじゃあ…横になる…よ…//」
お茶をいれようとするが、笑顔のマリスに手を引かれ ソファーに座らされ…
マリスの問いの答えが わかり…私は恥ずかしそうに頬を赤らめながら、マリスの膝に自分の顔を乗せて…気恥ずかしさ と 緊張 と 嬉しさの混じった表情で私は膝枕をしてもらって。
ーーーー
マリスミゼル「ふふ…♪相変わらず貴女の髪は艶やかでサラサラ……いい手触りです♪
思えば初めて…こうしていたのも、あの時でしたね……」
ゆっくりと彼女を愛でながら感想を呟き過去を振り返り初める……。
ーーーー
エリシア「んんっ…少しくすぐったい…けど…マリスにこうされるのは…その…好きだ…//
当たり前だ…マリスが喜んでくれるから…いろいろと気をつけてる……そうだったな…。」
マリスに髪を撫でられ、私はくすぐったそうに 恥じらいと嬉しそうな表情をさせ…
マリスの言葉を聞き、私も目を瞑って過去を思い返していく……。
コーヒーカップを机に置き、開いていた資料を閉じる。表紙には『第2次、S計画』と記述されている。
マリスミゼル「……全く。だから政治は嫌いなのです。このような人道に背くものを…昔からこの国は、王国騎士団も、議会も、変わりませんね…」
その資料を机に置いたまま、椅子から立ち上がると窓から景色を見下ろす。
眼下の訓練場では、アイリスが「戦闘実技」の講義を行っている。
生徒たちの表情は真剣でいて、それでいて確かなやる気が伝わってくる。
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エリシア「マリス 入るぞ。
ん? ああ 今は戦闘実技の時間だったか…アイリスの授業だからコトリはもちろんだが、他の生徒たちもやる気があるから伸びるのが早いな。」
私はドアを軽くノックして学園長室に入る。
窓から訓練場を見ていることに気づき マリスの横に並び、私はマリスと学園の生徒たちの会話をして。
エリシア「……どうした? 何か険しそうな表情をしていたが…あの資料が原因か?
…君の負担になるようなら、私が理由をつけて つき返してこようか?」
今は普段のマリスの表情に戻っていたが、入室時にしていた表情が気になり 聞いてみる。
机に置かれた資料にも気づいていて 私は心配した表情を見せて。
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マリスミゼル「エリシア。
…いえ。『それ』は、王国騎士団長ギランバルト殿の肝いりの政策の1つです。同時に議会、教会、そしてこの学園が絡み合う、高度に政治的な案件でもあります。ですので、真っ向から歯向かうのは得策ではありません」
小さく溜め息をつくと、淡々と言葉を紡ぐ。
思い起こされるのは、任期が切れても王国騎士団長という国の重要ポストに10年間以上の長きに渡り居座り、騎士団を私物化しつつも、『表面的』には職務に邁進するあの男のことだ。
彼は…何を目指しているのでしょう。
表面的には民間人と交流を保ち、民に寄り添う姿勢で国民からの人気は高い。
だが裏を見ればお付きには騎士、民間人問わず美女を侍らせ、不正を揉み消し、あるべき事実からは目を背ける。
マリスミゼル「ふふ…♪私たちもああゆう時期がありましたね。ただ強くなり、心身を鍛練することのみ考えていれば良かった」
そんな事実から目を背けるように、二人の生徒が杖と剣をぶつけ魔法を唱え、剣を振るいお互いに楽しげな表情をしながら、ぶつかり合う試合を見下ろし、懐かしげに過去に思いを馳せる。
マリスミゼル「あの試合は…いま思い出しても心が震え立ちます」
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エリシア「ギランバルト…殿のか…そうだな…正直 彼は怪物だ…彼の騎士としての実力の方はもちろん…そのカリスマ性と知識に洞察力…10年間も上のポストに居座れるだけをみても常人とは比べものにならない才をもってる…。
もちろん裏もその分 深いが…あの才を自らのため以外にも使ってくれたらいいものを…。」
マリスからギランバルト殿の名前を聞き、私は彼の良いところと悪いところをあげていき…
彼には学生の時から勧誘 その他いろいろと誘われたりし、私は苦手意識と迫られた時に少し恐怖を感じたことも…。
エリシア「ああ 懐かしいな…あの頃は君に教えてもらった魔法を磨き…一切の迷いもなく剣を振るい 成長を実感できるほど…すごく充実した日々だった…。
君と私の試合か…君に勝ちたくて、お互いに熱くなって やりすぎたところもあるが…うん あの時の純粋な勝負は…時間は今も忘れられない 心踊るものだった…。」
2人で若い雛鳥たちを見守りながら、マリスの横で私も懐かしい表情をみせて。
大戦時のマリスに迷惑をかけた 一対一 の勝負の方ではなく、同じくもう一つの良き思い出を思い出して。
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マリスミゼル「いずれにせよ。エリシア……わかっているとは思いますが、ギランバルト団長にはお気をつけなさい。あの方はそもそも暗殺と、数々の謀略で今の地位にまで登りつめたと私は見ています。何せ対立していた勢力は全て消えてしまいましたから」
エリシアのギランバルトを見る一面を正しいと感じながらも、彼女を心配し、嗜める。
マリスミゼル「こう言っては、アイリスに叱られるかもしれませんね。
ですが私は、彼女と違い…大切な人こそ、危険なことに巻き込むことが正しいと信じています。それは、私なりの最大限の信頼の証です。私が信じた人はこの事態を、私と共に乗り越えてくれる人材だと……」
眼下に見下ろすアイリスを見つめ、そして机の上の資料に視線を軽く走らせると、小さく自分の考えを呟く。
マリスミゼル「……ふふ…♪少し気分転換に昔話を話すのも良いかもしれませんね。さあ、座りなさい……♪」
エリシアの表情に、ようやく柔らかい笑みを浮かべると彼女を長ソファーに座らせ、横に腰かける。
マリスミゼル「さ……♪ほら、こちらです。言わずとも、貴女ならわかるでしょう?」
ポンポンと自分の太ももを軽く叩き、膝枕を促してあぜる。
ーーーー
エリシア「大丈夫だよ マリス…彼の黒いところというか そういうところは気づいてるから…だから彼のことが 私は少し苦手なんだ。
それに…君が目指すところまでの障害になるかもしれない人だ、あらためて注意するよ。」
マリスに嗜められ、私はわかっていると彼女の目を見ながら答える。
暗殺や非人道な策略…騎士としては あるまじきことをしている可能性がある彼を苦手だと口にし、彼が何か仕掛けてくるのなら 私はマリスを守り抜くと気を緩めることはなく。
エリシア「ふふ それは確かにアイリスが少し怒りそうな感じがするな…
まあ 巻き込まれた方が私的にはいいな…大切な人が危険な目にあってるかもしれないのに、自分だけ安全な場所には いたくない…たぶん 彼女もそうだろう。
もちろん 魔法騎士の先輩として、私だって彼女には負けてないさ…マリスのその信頼に答えるよ。」
マリスの考えを聞いて、私も自分の考えを答えながら 窓の外のコトリを見つめて。
入学の時より剣の腕も精神も成長している彼女…その成長には、大切な人を守りたいという気持ちが手助けしているのだと思い。
エリシア「ああ そうだな それじゃあお茶を…えっ…マリス?
なっ! っ…// わ、わかるとも…だが…それは…ん…それじゃあ…横になる…よ…//」
お茶をいれようとするが、笑顔のマリスに手を引かれ ソファーに座らされ…
マリスの問いの答えが わかり…私は恥ずかしそうに頬を赤らめながら、マリスの膝に自分の顔を乗せて…気恥ずかしさ と 緊張 と 嬉しさの混じった表情で私は膝枕をしてもらって。
ーーーー
マリスミゼル「ふふ…♪相変わらず貴女の髪は艶やかでサラサラ……いい手触りです♪
思えば初めて…こうしていたのも、あの時でしたね……」
ゆっくりと彼女を愛でながら感想を呟き過去を振り返り初める……。
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エリシア「んんっ…少しくすぐったい…けど…マリスにこうされるのは…その…好きだ…//
当たり前だ…マリスが喜んでくれるから…いろいろと気をつけてる……そうだったな…。」
マリスに髪を撫でられ、私はくすぐったそうに 恥じらいと嬉しそうな表情をさせ…
マリスの言葉を聞き、私も目を瞑って過去を思い返していく……。
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