騎士学生と教官の百合物語

コマドリ

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第5節 魔族領編 リュネとクロ

第72話 主従交代

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ー幕間ー

「………」

夕闇と静寂が支配する中、1人の女性の吐息だけが静かに響き渡る。

眼下には無数の倒れた人間ー、王国騎士団の旗印が無惨に破れ、その戦いが既に決していることが証明されていた。


「見事だ。…流石、大戦の英雄。
王国騎士団の精鋭。第631中隊をこうも簡単に壊滅させるとは。数々の作戦の成果、前述の経歴に加えて、第1段階のクリア。こうなればお前を試さないわけにはいくまい。」

暗闇の中に新たにもう1つ響く野太い声。

その響く方向を確認すると彼女は無言のまま片膝を付き、瞳を閉じ、頭を垂れ臣下の礼を取った。


「宜しい。それではお前に最終試験を与えよう。……眼を開けて、その1枚の紙切れを見よ。」

彼女の眼下には1枚の紙。そこには数名の名前が並べられていた


「ターゲットはそこに書かれている者たちだ。完膚なきまでに叩きのめし。そして滅ぼすのだ。…返答を聞こうか」

「………了解。全ては貴方様の御心のままに」

彼女はしっかりとした声で闇の声へと忠義の礼を示した…。


………。

リュネメイア「む……クロ。そろそろ見えてきた故、降りるぞ。魔の要素が強い。あてられぬよう注意するがよい」

眼先にはそれまでの光景と異なり暗雲で覆われ空からでは伺い知ることのできない黒雲が漂う様子。リュネはそれには触れないよう地上に降り、優しくクロを降ろしてやる。


リュネメイア「ここが、魔族と人間の国境。……7年前の大戦前はもう少し先まで人間の領土ではあったのだが、講話条約で現在の位置はあの大門とゆうわけよの」

リュネが指し示す先には魔法で作られたのか遠くまで続く、巨大な壁。そして巨大な門がそびえている


リュネメイア「これから入るが…身体の調子はどうじゃ?主がキツイようであれば引き返せる。いまのうちではあるが…」

クロの方を見て彼女の体調を確認する。

ーーーー

クロ「んっ 了解…リュネ ありがと。 ここが国境…ん? 大丈夫だよ 私一応元は魔族だし。

むしろリュネこそ平気? なんならまずは私 一人で様子見てくるけど。」

それまでとは違う景色とリュネの言葉に私は気を引き締め直し、ゆっくりと降ろしてくれたリュネにお礼を言って。

心配してくれたリュネ、だから私も彼女を心配してみせて…
魔族だからリュネよりは魔への適合があるから まずは私が中の様子を伺ってこようか? と言ってみて。

ーーーー

リュネメイア「なに。7年前はこれ以上の土地で各地を転戦しておったし、大事ない。
ふむ……後はこれを。魔族領で使われておるものよ。建前は教会の巡礼者とゆうことでな。

……よし。妾も一緒に行く。
しかし……妾の記憶が確かなら鳥人族は、その戦闘力、魔力的要素の薄さから地位は部族の中でも末席だったはず。

故に、やり取りはクロ。主に任せよう。くれぐれも門番に怪しまれぬようにな」

教会の紋章を型通った、信者の証であるネックレスを首もとにかけながら、もう1つをクロにも渡す。

クロを伴い門へと歩む。
やがて大門につき、内部に入るとそこには3メートル程の1つ目の小柄な巨人族、サイクロプスが二体ほどいて、彼女たちの姿を確認すると瞳をクロにむけ確認をする


「入国希望か?もしそうなら……希望人間と、入国理由を教えてもらおうか。
後は…隣の女は鳥人族だろ。お前さんが主人か?そうなら首輪はどうした」

淡々と事務的な様子で、リュネメイアを無視するとともにクロに質問を投げ掛ける。

ーーーー

クロ「えっと…このネックレスをかければいいんだね?
ええ…私にそんな重要な役目を…いやリュネの指示なら従うけど…私 こういうやりとりってどうも苦手なんだけど…んっ…まあ頑張ってみるよ。」

リュネから受け取ったネックレスを自分も首もとにかけて。

コトリと同じく誰かとの会話はあまり得意な方ではなく、だけどリュネのために苦手だけどなんとか頑張ろうと思って。


クロ「む…私と彼女は対等な関係です、見た目と生まれで私の大切な人を侮辱しないで。

ここには教会の巡礼に来ました、入国は私と彼女の二人です。」

リュネが私の主人というのもあるが リュネを下に見る発言を聞き、私は少し尖った言葉を返し リュネとは対等な関係だと口にし。

その最初のだけは少し怒りも見え隠れしていたが、それ以外はちゃんとした対応をして答えて。

ーーーー

「なんだ…お前ら教会の巡礼者か。それならまあ、少数とはいえ宗教の1つだし、通してやらんこともない。だがなぁ…」

門番の1人は腕組みをして渋い表情をする。もう一体のサイクロプスが頷いて


「久方ぶりに戻ってきだみだいだから、同族のよしみで教えといでやる。こごさいぎんは、魔族の部族間抗争が激化してでなぁ。

……とぐに鳥人族は、抗争に破れたうえに…にもづの運搬や輸送に便利だからよぉ。
誰かの所有物ってこどをしめしとがないと…すーぐ、狙われで奴隷にされちまうぞお。
なにせ、そいづは美人なうえ、羽が綺麗だからなぁ。どーする″? 」

二体のサイクロプス族はそれほど種族を差別してないようで、悪意もそれほど感じられず、クロを見ると忠告を行う。なまりがひどい方は、クロに善意のつもりかリュネ用の首輪を渡すと、ゲートを通るよう促す。


リュネメイア「……クロ。ここで騒いでも得策ではあるまい。
こやつら、まだ話が分かるほうではあるようじゃし……あまり敵対はせぬように。その首輪もとりあえず受け取っておくがよい」

後ろからばれないように小さな声でクロに助言を送るも、門番の注目を集めないようにあくまで交渉はクロに委任を。

ーーーー

クロ「…リュネがそう言うなら……あと…その…少し私も熱くなりすぎたかも…ごめんなさい…忠告素直に受け取っとく。」

リュネの助言で少し熱くなった頭を冷やし 首輪を受け取り、自分も悪かったとサイクロップスたちに謝って。


クロ「……リュネ ごめん…相手をちゃんと見ずにさっきのは軽率すぎたかも…ここからはもっと慎重になるから…。」

そのまま門をくぐると私は小声でリュネに謝って…リュネに迷惑をかけたことを反省し、私は受け取った首輪を手渡して。

ーーーー

リュネメイア「ふふ……戦闘になると申し分ないが、主には交渉や駆け引きは向かんな。てんでダメじゃ。役に立たん……が、そうゆうものが妾的には好きよの♪
なにせ……それだけ素直とゆうことであるし。何より眩しい♪」

袖もとから扇を取り出し拡げると、小さく笑いながらクロをからかうように言葉を続け。


リュネメイア「む。これか……さて、どうしたものか。あやつらがゆうことが誠であるならば、いらぬ火の粉が降りかかるの。しかし……妾が奴隷の首輪をの………うーむ……」

首輪を受け取るとそれを人差し指でクルクルと回し、しばらく思案をしている様子を見せる。


リュネメイア「クロよ。………主、これを妾に着けてみるか?もちろん魔族領にいるときのみではあるが、一時期に妾の主人(仮)をやってみても構わぬぞ♪」

いたずらっぽい笑みを浮かべるとクロのリアクションを楽しむかのように彼女の表情を伺い


リュネメイア「まあ、魔族ごとき正面きって戦えば妾の相手ではないが…
不意を突かれ魔族の野蛮な雄などに拉致でもされて凌辱等、絶対に嫌であるし…
…それに、主もいずれはスリスのように部下を率いて指揮をせねばならぬときも来る♪」

セリフを楽しむように冗談なのか真実なのかどちらにもとれるような口調で淡々と語る。

ーーーー

クロ「う…だ、だからこういうのは苦手って言ったじゃん…。
っぅ…な、何よ…急に褒めて…そんなの言われても嬉しくない…いや…やっぱり少しは嬉しいけど…。」

リュネに微笑みながらダメだしされ、私は頬を膨らませて拗ねてみせて。

そうするとリュネはからかうように私のことを褒めてきて、私は赤くなり照れたような表情で視線を逸らして。


クロ「……えっ? っ リュ、リュネ 本気…?
いや…まあ…リュネがそんな目に合うのは私としても絶対…絶対っ嫌だけど…でも…私がそんな…うぅん…わ、わかった…魔族領内にいる間だけはそういうふりをする…。」

リュネのいたずら からかうような問い、そしてリュネが嫌な目に合うような語りに…
少しの間真剣に悩んだ後 私はリュネの提案に乗ることにして。

忠誠を誓ったのに主人であるリュネに形だけとはいえそんなことをしていいのかと悩んだが、やっぱりリュネの安全確率を少しでもあげるならそれがいいかなと考えて。

ーーーー

リュネメイア「ふふ……♪なに、本当のことをゆうたまでよ。
主は心の余裕とゆうものが足らん。妾を守るのなら、その実力だけでなく、心も広く、余裕を持つがよい。
さすれば、自身の成長に繋がるとゆうもの」

扇で自身をゆっくりと扇ぎながら、瞳を閉じて彼女への助言を語る。


リュネメイア「お、やる気よの♪
……って、主。固くなりすぎよ。もっと軽く考えるがよい。振りとはいえ、主がこの妾を奴隷にするなど2度とないかも知れぬ。本気でそのようの関係になるわけでもあるまいし、ゲーム感覚でよい。ゲーム感覚で♪」

小さな笑いながらリラックスするよう伝えるとクロに奴隷の首輪を渡し、自身は扇を袖もとにしまい、クロに背を向け座り込むと髪を自身の手で上げ、首輪をはめやすくしてあげ


リュネメイア「ほれ♪早くするがよい♪」

ーーーー

クロ「くぅ…メイメイさんに言い負かされて、うじうじとしてたリュネに言い負かされるなんて…。
…でも ありがと…まだこういうところとか足りてないけど…ちゃんと身に付けてリュネに相応しい…騎士…になってみせるよ。」

からかい余裕あるリュネにありがたい助言をもらえ、私はなんだか悔しくて少しだけ反撃しておいて。

でもリュネが言ってることは正しいと思いながら、私はその言葉を真摯に受け止め リュネに相応しい私になってみせると誓い。


クロ「いや…だって…リュネにされることはあっても 私がリュネにすることなんてなかったじゃない…
だから緊張するなっていうのが無理…だけどリュネがそう言うなら…リラックスできるよう頑張る…
っ…そ、それじゃ…んっ…リュネ…どう…痛くとかない…?」

ふりとはいえ私が逆にリュネにそういう関係を迫るというのはなかったので緊張し、でもリュネの笑みに少しだけ緊張がほぐれ 私は首輪をはめて。

首輪をリュネにはめると 私は少し おろおろ としながら痛くはない? とか心配して。

ーーーー

リュネメイア「ぬ。だーれが、ウジウジじゃ、誰が……主、なかなか言うようになったの」

ジト目でクロを見つめて抗議するも自然体で話す彼女を見て、小さく笑うと満足気にそれ以上追及することはなく。 


リュネメイア「……ふむ、問題ない。むしろフィットして着け心地はよいな。
………む?こ、これは……」

首輪をつけて直ぐは普段と変わらない様子を見せていたが暫くすると、ワナワナと震えだして戸惑う様子を見せるも、やがてそれが収まるとクロに振り向き直り


リュネメイア「……す、済まぬ。なんでもない故、気にするな。
さて………とりあえず、近場の村があったはず。まずはそこに行くとしよう…」

ほんのり頬を赤らめつつも、いつもと同じ調子でクロに提案をして彼女のリアクションを伺い…
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