騎士学生と教官の百合物語

コマドリ

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第5節 魔族領編 リュネとクロ

第69話 メイヴ=アールザー=モルヴィウス

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クロ「それは…そうだけど…っ…仕方がない…ね…だけどお手柔らかにお願いする…。
(リュネが笑ってくれるなら…まあそうなっても悪くない…かな…。)」

結局リュネにふんわりと紋のことを押し切られて、でも私はリュネのものでリュネの色に染められるのは悪い気がしなくて…

コトリと一緒の時にリュネに与えられた快楽を思い出し、リュネになら少しだけならおもちゃにされるのも悪くない? とか思ってしまい。


クロ「あ、スリスさんだ…モルヴ?
えっ リュネどうしたの? リュネがそんなに動揺する相手…気になる…まあ一緒に逃げてあげる、私はリュネのメイドだし。」

メイド長のスリスさんの言葉に動揺し、慌てた様子でリュネが私に逃げるぞと説いてきて。

私は不思議そうに首をかしげるも一緒に逃げてあげると手を差し出し、リュネのメイドだから仕方なくというが、リュネとの逃亡は楽しそうだと思ったりして。

ーーーー

リュネメイア「う、うむっ!よし、早く用意を整えよっ。あの変態科学者なんかに会ってたまるものかっ…!」

クロの手を取り逃げようと扉の方を向き直ると、直ぐに扉が勢いよく開かれる。

そこには白衣を着て、赤色の眼鏡、柔らかそうな金髪をツインテールにした背丈はモニカと同じくらい小柄の少女が佇んでいる。

彼女はリュネを見つけるとニヤっと笑いズカズカと部屋に入り


白衣の少女「リュネリュネー♪久しぶりっ!元気してたっ?」

リュネメイア「も、モルヴっ!主、どうやってここを突き止めた。とゆうか、勝手に入るでないっ!だいたい主は…」

白衣の少女「元気そうだね、うんうん♪それじゃ、これあげるよーっ♪私の愛だよ愛♪」

一瞬でリュネの背後を取り抱きつくと、リュネが反応する間もなく彼女の口にビーカーに注がれていた白色の液体を流し込んでしまい


リュネメイア「んむぅ……っん、んん!う、な、何を…♪う、あ、あああ…く、んあああっ!…は、あ…♪」

リュネが液体を飲み干してしまうと、たまらず苦しそうな表情を浮かべながら座りこんでしまう…すると、彼女の背中が盛り上がり着物が勢いよく破れる。

リュネの背中からは純白で時折光を浴びて輝く、天使のような翼が生えてしまっていて、リュネは頬を赤らめ甘い吐息を


白衣の少女メイヴ「ありゃ?生えるのは悪魔の翼にしたはずなんだけどなー。まぁ、いっか綺麗だし♪
…ん?あなた新しいメイドちゃん?始めまして、メイヴだよ♪メイメイって呼んでくれたら嬉しいな♪貴方のお名前は?」

頬を赤らめ息も絶え絶えなリュネを見ながら感想を呟くと、クロの方に向き直り笑顔で挨拶を

ーーーー

クロ「科学者? ……!?」

リュネの言葉が気になったが聞き返す間もなく扉が開く。

そこには見慣れない女性が立っており 勢いよくリュネの方にやってきて、私は驚きで呆気にとられその場を動けなくて。


クロ「リュ、リュネ 大丈夫…っ!? リュネに翼が生えて…いやすごく綺麗なんだけど…何がどうなって…。
メイメイ…さんですか…あっ はい 新しいメイドです…リュネにこんな陽気なお友達がいたんだね…えっと私はクロです。」

見慣れない女性に翼を生やされたリュネに素直な感想をつぶやくも…
どうしてこうなったのか事態を把握できなく少し混乱した様子を見せていて…
そしてリュネの友達しては陽気すぎる…とか思ってしまって。

ーーーー

メイヴ「んー?…その猫耳!クロクロ、かわいーじゃん♪イケテるよ!
なんなら、もっとモフモフ具合を増やさない?手をもっと猫に近付けて、肉球つけたり、猫ヒゲも生やしたげよっか?♪」

クロの姿を見て目をキラキラさせて子どものようにはしゃぎながら、サラリとクロを改造しよっかと明るい様子で質問し


リュネメイア「この…クロは妾のもの!そのようなこと、勝手にさせぬっ。第一、これを戻せっ!動きづらくてたまらぬっ…」

バランスが取れないのか大きな翼を広げながらメイヴに詰め寄るも、彼女は大して気にした様子もなく


メイヴ「えー…チョー綺麗だから嫌だっ♪クロもそう思うでしょ?
このまま戻さなきゃ、リュネにお姫様抱っこしてもらって空中お散歩デートもできるよ♪そーゆうのしてほしいでしょ?♪

それに、さっきから生意気っ。昔から変わらないなー……その偉そうなとこーっ。アイリスや、キールの謙虚さを見習いなよー♪」

リュネメイア「怪しげな薬品や薬を絶えず作り、人体実験に使う主に言われとーないっ」

リュネは呆れた様子を見せ、敵意溢れる発言をするもとくにメイヴに攻撃を加える様子もなく、クロを庇うように後ろに下がらせる 

ーーーー

クロ「えっ…あの…メイメイさん、肉球とかつけられたら剣を握りにくくなるかもだから…遠慮する…リュネの役に立てなくなったら困るから…。」

ずいずいと来るメイヴの勢いに押され 私は一歩後ろに下がる。

肉球とかにされて動きが鈍ったりするかもと答えながら断る…自分はリュネの剣であり盾だからとリュネを慕う様子を見せて。


クロ「……リュネも私やスリスさんたちで実験したりしてるような…あとコトリにも…。

えっ? リュネにお姫様抱っこ…悪くないかも……でもメイメイさん すみません…私はすでにリュネのものなので…それに無理に変わる必要はないかと…リュネがリュネらしくいてくれれば私はそれだけで…。」

メイヴがどんなことをしてるか分からなかったが、リュネも私やコトリの胸を大きくしたりしてなかったけ…とジト目で見つめて。

お姫様抱っことか少しだけそれもいいかもと考えたが、すぐにさっきリュネからもらった証 家紋をメイヴに見せて…
そしてまだ私自身はリュネの過去を知らないけど、リュネに穏やかな日々が訪れ 笑っていてくれたらいいなと思ったりして。

ーーーー

リュネメイア「む、むぅ。しかし、妾の実験はそやつのためになることゆえ配慮して行うのだ。きちんとした安全も保証済みゆえ。
…こやつは、だいたい新薬とか新しい被験者とゆうことで、妾たちに試すからたちが悪い」

クロにジト目で見つめられ、扇子を広げ顔の下半分を隠しながら少し焦るように弁解をする


リュネメイア「妾が妾らしく…」

メイヴ「クロクロ、健気だね♪いい子じゃん!あー、もうこうゆういい子を見ると改造して、更にかわいい感じにしてあげたいよー、もう♪

…ま、クロクロに免じて今日はいーや!それに、アイリスのとこに薬を仕込んだからそっちの楽しみに集中、集中♪」

驚いたように瞳を揺らす彼女を横に、テンションを上げながらも実験をしないことを告げて椅子に座り足をパタパタとさせながら楽しげな様子を 


リュネメイア「…はぁ、もうよい。主が来たということは何かあったであろう?この翼の経過観察をさせてやるから、話かぬか」

メイヴ「んー?ふっふっふー♪いいよー♪よし、クロクロ。私は何で来たでしょーか?ヒントはねー…爆発だよ♪」

ーーーー

クロ「んっ まあ別にいいけど…私はリュネのこと信頼してるから。」

捕らわれての最初の時はコトリをどうするのか不安だったが、今での実験はリュネのことを信頼してるから不安はないと言葉にして。


クロ「まあ私がこんな性格になったのは…コトリとアイリス教官の影響かな…?
…ってアイリス教官の方にもって…教官に何したの…? あんまり過度なことするとコトリって生徒が怒るよ?

爆発…? いや私に言われても…てか爆発じゃ何がなんだかわからないですよ。」

いい子と言われ お人好しのアイリス教官に真面目なコトリを見てきたから、魔族ぽくないこんな性格になったのかなと思い。

教官にも薬をと聞き、あんまり危険なことすると教官大好きっ娘なコトリが斬りかかってくるかもよと口にして。

少し考える素振りを見せるが漠然と爆発と言われてもわからなく、私はお手上げで。

ーーーー

メイヴ「んー?いまはアイリスにも何もしてないよん♪まあ、その時がくればわかる、うんうん♪
コトリ?ふっふっふ、嫌だなー。その子がどんな子か知らないが、怒るはずがない。何故なら私は皆が幸せになるよーな薬しか実験しないからねん♪」

クロの脅しとも事実とも取れる言葉を意に介さず、金色のツインテールを揺らしながら、白衣に手を突っ込み威張るような表情を見せる


メイヴ「まだまだ修行が足りないっ!…なんてね♪まあ、実験中に私の研究所が爆発した話は置いてと。
戦争になりかけてるよー……お隣の魔族さんたち、各部族同士が対立してしまって内部はズタズタ。その余波がこの国にも来るかもしれないよん♪」

クロに指差しながらビシッと、まるで教官のように声を張るもすぐに笑顔になりながら、重要な話をサラリと話始めて


リュネメイア「……ふん。それを妾に聞かせてどうする。魔族など滅んでしまえばよい。この国もどうでもよい。妾の大事なものは妾のかわいい雌奴隷たちのみ。

確かに妾は7年前の戦争で、この国と旧友のために戦い、妾はあやつらを葬った。だが…今更なにをせよと?妾はもう騎士ではない」

自嘲しながら適当に話を切り上げようとすると、白衣の研究者はニヤリと笑い、今度はクロを見つめる


メイヴ「いいの?クロクロのご主人様は、自分の世界だけを守るつもりだー。
アイリスやコトリのような友。自分を救ってくれた恩人、そして口では死んだといいながら消息を探し続けている、キールやマサキ…すべてはどうでもいいと。無気力なもんだねん♪

君はリュネリュネに従っているだけの意思もない人形かなー?♪それなら、それでいいけどね♪」

煽るような挑発をクロに向かって始め、メイヴが名前をあげるたびに魔法を使ったのか、姿がやや透け無表情なアイリスやコトリ。

クロたちに背を向けた状態で、キールやマサキ。そして恩人と呼ばれた人物らしい女性が現れる。

ーーーー

クロ「……実験中に爆発って…大丈夫なのそれ…?
……ってまた今さらっとすごいこと言わなかった? 魔族同士の争いって…。」

みんなが幸せになれるように…
そう言った後に爆発とか物騒なことを言ったため、私はそれはどうなのかと なんともいえない表情を見せて。

メイヴと話していると急に重要な話題が登場し、その度に私は驚かされてしまって。


クロ「……リュネ…私も一応…その…魔族…なんだけど…。
(滅んで…か…リュネの過去に何があったかわからないけど…私 魔族だから傷つくな…。
いや自分がどんな魔族だったのとか覚えてないんだけどね…。)」

リュネが私を気に入ってくれているのは分かっている…
けどそれはコトリの姿だからじゃないのかと少しだけ思ったりもしていて…
だってリュネは魔族を嫌ってるから、そこのところどうなのか私にはわからなくて。


クロ「…いや…そんなの急に言われてもですね…。
……その…答えになってるかわからないですけど、私はリュネが悲しむようなことが起きそうなら自分の判断でそれを退けます。

恩人とかその辺りの人たちは私が会ったことないからわからないんですけど、アイリス教官とかコトリのこととかは、どうでもいいとは本心では思ってないはずなので…
とりあえずその二人 あとは名前がでた人たちがピンチなら私が勝手に救えればと思います。

私は今リュネに面倒見てもらってるし、コトリと離れて行く当てのなかった私を拾ってもらった恩もありますし…それくらいでしか私はリュネに恩を返せそうにないので…。
考えが甘いお子様なのかもしれませんが、私が無理してできる範囲ではこれくらいかと。」

メイヴの真剣な問いかけに私は少しの間黙り込んでしまう。

実際のところはわからないけど、アイリスとかが傷つくとリュネが悲しみそうなので…
もし何かあったらリュネにとっては余計なお世話かもしれないけど、自分がそうならないように動くと言って。

リュネは過去のことで自分から動きたくないんだと、そう考えに至ったからで。

ーーーー

リュネメイア「…!!……すまぬ、クロ。他意はない…主は主。信じてもらえぬかもしれぬが、妾は主を…本当に大切に思っておる。
…魔族でも、コトリの類似品でもない…1人の人間として見ているつもりなのだ」

クロの傷ついた表情と、彼女の心情に気づいて罰が悪そうに、自分の心情を告白し、小さく、だがしっかりと言い切る。


リュネメイア「だからクロ…妾のためと言って危ないことをするのはやめよ。
……妾には…主が必要なのだ。また…大切な存在を…失うなど…妾には…耐えられぬ。どうしてもゆくとゆうならその時は…主を妾が止める。行かせるわけにはゆかぬ……絶対にな」

アイリスたちを救うというクロに対して、いつものような余裕と気品はまったく感じられず、クロに対する愛情…

そして依存と執着が感じられる言葉を残し、そのまま彼女は部屋を退室してしまう


メイヴ「あーらら♪…リュネリュネは、まーだ…過去のことを引きずってるのね。7年前のこともあって余計に悪化してそう。
…やーれやーれ、リュネリュネが見捨てたってことは…あの子の恩人ちゃんも、もう終わりか」

明るい口調で手をあげるとアイリスらの幻はたち消えて独特のイントネーションで、更にサラリと重要なことを小さく呟く。

ーーーー

クロ「んっ そっか…リュネからその言葉が聞けてよかった…それだけで安心した。
……リュネ…あっ…やっちゃった…私がリュネを傷つけてどうするのよ…。」

リュネからちゃんとした言葉を聞かされ、私は安心したように笑って…
自分は魔族だけど人間のように見てくれてることを知り、そしてコトリとは違う人間としても見ていてくれて私は嬉しく思う。

気持ちを聞かされたのち部屋を後にしたリュネ…少し垣間見えたリュネの過去に、私はすぐになんて答えればいいか分からずに彼女を追いかけられなくて。


クロ「……何か知ってるの? それに…私にこんな話して…メイメイさんは私にいったい何をさせたいの?

あと終わりじゃない…リュネの恩人も私が救ってみせるし、私がリュネをみんなと昔のようにいられるよう頑張るから…リュネが本当の笑顔を取り戻せるようにね。

さっきすぐに答えられなかったけど…失うのが怖いなら もう失わせない…私がリュネやその周りを今まで以上に守る そう決めた…!」

メイヴが私に重要な話題ばかりをぶつけてくるので、私をどうしたいのか何をさせたいのか真意を聞いていて…
そして私は魔族だけど、その精神はコトリの目指す騎士と同じもので。

私はリュネを一目見たとき、そしてコトリの友達の言葉に反応したときから彼女が気になっていた…
綺麗だけど何処となく寂しそうな姿がほっとけなかったからで…
一目惚れ…という感覚に近いかもしれなくて、あとリュネの心の底からの笑顔を見たいから、私は彼女のそばにいたいと思うようになっていた。

ーーーー

メイヴ「ふっふっふ♪知っているともリュネのことも…アイリスのことも…このメイメイ博士はね♪あの子たちが子どものころから知っている…生い立ちも何もかも♪」

机に腰かけた小柄な少女はパタパタと足を揺らしながら軽い口調で話を続け


メイヴ「その心意気は買うよー、やる気があるのは良いこと良いこと♪でも、何をさせたいか…ねー…質問が間違ってるよ、クロクロ。もっと視野を広く持ちなよ♪

それは大事な質問かもしれない…でも、クロクロはリュネを守ると言いながら、彼女のことを知らない。彼女の恩人を守ると言いながら、その人のことも知らない♪

いま、大事なことー♪リュネリュネを追いかけて、その言葉を伝えること。そして彼女の過去を聞き出すことじゃないのん?まぁ、リュネリュネが話すかどうかはわかんないけど♪」

金色のツインテールの髪が脚に合わせてパタパタと揺れる中、鼻歌を歌いながらクロに提案を出してあげて、彼女の反応を見る

ーーーー

クロ「……メイメイさんっていったい何歳ですか…?
えっ 質問が間違ってる…? うっ…た、確かに私はリュネのことちゃんと知らないけど…意外と痛いところついてくるね…。」

メイヴの子供の頃からという言葉を聞いて、私は素直な質問が口からでてしまい。

真面目な答えをメイヴが口にし、私は図星を当てられ うぐ っという表情を見せ。


クロ「まあ…メイメイさんのおかげで私のやりたいこと、そしてやらなくちゃいけないことがわかったよ…ありがと。
…でも…リュネにあんまりひどい実験したら斬る(峰打ち)からね?」

私はメイヴにお礼を言ってから部屋を後にしてリュネを追いかけて。

コトリを守ることが過去を失った今まで私の存在理由だったけど、今度はリュネを私は守りたくて…
その理由はリュネが好きになったからで、それにコトリの方はアイリスが守ってくれる…
そしてコトリもアイリスを守るだろうと思ってるからで。

ーーーー

メイヴ「ふっふっふ♪レディに年齢を聞くとは…マナーがなってないよん♪はいはい、いってらっさいな♪」

ヒラヒラと手を降り質問を煙に巻きつつ、クロを見送る。彼女の姿が見えなくなると


メイヴ「やれやれ、パラドクス博士は無茶を言う。この私を再び表舞台に出すとはねー…」

小さく笑いながら虚空を見上げて呟いた……。
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