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第2節 過去編 人魔大戦(アイリス)
第54話 ペンダント
しおりを挟むアイリスの身体が安直されている大聖堂の一室。
そこに白い光が弾けるように満ちると、ゆっくりとコトリの姿が実体化し
アイリス「......」
彼女が近づくと、寝息を立てるアイリスの首に刻まれた睡魔の刻印がだんだん薄れやがて完全に消えてしまい
ーーコトリ視点ーー
コトリ「……ここ…は…?
アイリス教官…もしかして、教会の大聖堂…?
……寝てるだけみたい…よかった…本当に…。」
気がつくと教会の部屋にいて、私はゆっくりとアイリス教官に近づいていく。
刻印が消えたのを見て、私は安心した表情をみせて。
コトリ「でも何で…私ここに…マサキさんは…?
それに…蒼の剣を教官が持ってるってことは…キールさん…それに…リュネ…。」
過去に行く前はマサキさんのところにいたのに、なぜかアイリス教官の側にいて…私は少し戸惑う。
私がいた未来と少し異なっていて、特にマサキさんのことが不安になってくる…いなくなってないよね、と。
ーーーー
アイリス「......ふぁ....むにゃ..コトリ..?」
コトリの足音を聞いて指が僅かにピクッと動くと、ゆっくりとブルーの瞳を見開き、身体を起こすと小さくアクビをし、右手で目をこすりながらコトリに反応し
アイリス「....ふふ♪コトリにとって7年ぶりに私と再開になるのかな?まぁ、大した時間じゃなかったみたいだけどね。よいしょっ..とっ」
睡眠の間に全ての記憶が引き継がれたのか、懐かしげな表情をしつつ、祭壇から立ち上がりコトリに近寄ると
アイリス「ん♪....私を..いや違うね♪私たちを助けてくれてありがとう♪また会えて嬉しいよ♪」
コトリをギュッと抱き締めながら、彼女に向けて晴れやかな笑顔を向けて
アイリス「7年前の私はどうだったかな?案外、髪を伸ばしたロングの私も良かったでしょ?♪思い出せば、コトリは相変わらず私への愛に溢れてたね♪」
左手で肩までの髪を弄びながら、少し落ち込んでいる様子のコトリを元気づけるように、ちゃかしてあげ
ーーコトリ視点ーー
コトリ「えっ…あっ…アイリス教官…もう起きて大丈夫なの…?
ん、そだね…でも7年ぶりって感じじゃないかもね……アイリス教官…その…あの後 辛いことはなかった…?」
眠りから覚めた教官…刻印が消えたとはいえ、私は心配した表情を見せる。
過去からすぐに帰ってこれた私にとっては一瞬に思えるが、アイリス教官はあの後もあの時代から7年過ごした…私がいない間、辛いことがなかったかを心配して。
コトリ「ん、お礼を言う必要はないよ…私だって教官には助けられてばかりだからね。
…それに…大好きな人を助けるのは…あ、当たり前…だから…//
っ…ふあっ// ……私も…その…また会えて嬉しい…よ…すごく…//」
言葉で伝えるのは、苦手でうまくできないけど…私は恥ずかしそうにしながら、想いの言葉を口にして。
ぎゅっとアイリス教官に抱きしめられ…私は嬉しそうな表情を浮かべ、自らもぎゅっと教官を抱きしめて。
コトリ「っ…あ、愛って…//
確かに…その…アイリス教官のこと…す、すごく大好き…だけど…//
んっ、んんっ…私はどっちのアイリス教官も素敵で…戦う姿も綺麗でかっこよくて…もっと惚れ…ちゃった…//」
アイリス教官の愛という言葉に、私は赤くなってもじもじする…そして、小さくもっと好きになったとつぶやき。
過去でも未来でも、やっぱりアイリス教官はかっこよくて私の憧れで…いたずら好きでえっちなところもあるけど、やっぱり私はアイリス教官が大好きで…。
ーーーー
アイリス「それは..まぁ、ね。
解決してない問題もあるし....今の今まで記憶にはなかったこと、覚えてなかったこともたくさんあったからね」
苦笑いしながらも、最後の戦いのときに何があったのか..自分のことや、リュネ、キールやマサキのことなどを思いだしていることを告げ
アイリス「ふふ..♪最初のころと比べてだいぶ素直になったね♪私も貴女のことが大好きだよ♪....ん♪でも、ホントにコトリが無事で良かった....これの意味も思い出したよ♪」
少し頬を赤らめ嬉しそうに小さく微笑むと軽く唇にキスしてあげて、懐からコトリに貰ったブルーのペンダントを取り出すと、首もとに着けながら
アイリス「何か大事なものの気はしてたけど....思い出せなくてつけられなかったんだけど、それもおしまい..っと♪....さて、コトリから何か聞きたいことはあるのかな?」
ペンダントを着けて、自分が寝ている間に壁に立て掛けてあった蒼の剣を背負いなおしながら、話を続け
ーーコトリ視点ーー
コトリ「そっか…ごめんね…その時に力になれなくて…側にいれなくて…。
でも、記憶も思い出せて…無事で本当によかった…。」
苦笑いした教官を見て、私は申し訳なさそうな表情をする。
記憶を思い出せたことと、あれから無事に今日まで生きていてくれて…私は嬉しく思っていて。
コトリ「ん…まだ人と話すのは慣れないし、取り戻せた心もすごく弱くて不安定だけど…アイリス教官、そしてみんなのおかげで笑えるようになったよ…♪
んんっ…♪ 教官のキス…嬉し…い…//
あっ…それって……よかった、まだ持っててもらえて…//」
アイリス教官たちのおかげで、人らしい感情などを思い出せたと…私は微笑んで言葉を紡ぎ。
軽く唇にキスしてもらえ、私は頬を赤くして本当に嬉しそうにして。
プレゼントしたペンダントを持っていてもらえ…想っていてもらえ、私は幸せな気持ちになる。
コトリ「そだね……リュネの方はクロがついてるはずだし、とりあえず今は様子を見るしかないとして…。
あの後、キールさんはどうなったのかな…無事…だよね…?
あとは…ジェイドさん改め、マサキさんがあの後どうなったのかも聞きたい。
でも、一つだけ私からお願いがあるんだけど…。
これからも、マサキさんとは今まで通りに接してあげて欲しい…。
あんなことがあったとはいえ…秘密にしていたかったはずなのに、バレちゃうのを承知のうえで私を過去に送ってくれて…何より私たちの恩人だし、アイリス教官にはマサキさんとまで仲違いして欲しくないの…。
キールさんたちのこともあるし、これは私の身勝手かもしれないけど……。」
キールさんのことや、マサキさんについてのことを聞き…私はある言葉を口にして。
ーーーー
アイリス「....」
コトリが自らの盟友の話に触れると小さくため息をついてやや寂しげな表情をすると
アイリス「公式の記録では、キールは..最後のあの決戦で裏切ったジェイドに立ち向かって、部隊の指揮をしていた皇太子や仲間の騎士たちを守るために立ち向かって殺されたって記録されてるよ。
でも、キールの遺体は出てないし確認されてないから..私が正確に言うなら、行方不明ってほうが近いかな」
思い出すように淡々と話を続け
アイリス「あと....私は、マサキとジェイドが同一人物って知らなかったからね。
ジェイドとしての彼女は、7年前から今に至るまで王国騎士団や教会騎士団の最重要手配犯罪人で、暗殺対象だよ。
味方の騎士は愚か、皇太子まで手にかけて..虐殺をし..盟友だったはずの..王国騎士団副長のキールまで殺したってされてるからね」
淡々と話を続けるなか一呼吸置いて
アイリス「....わからないんだよね。マサキは学生時代同じ班のメンバーで親友なんだー。私は..胸を張って言えるよ。マサキになら、何でも話せるよ。
でも..マサキは....
ジェイドとしての彼女とマサキとしての彼女....信じたいけど....」
記憶が戻ったばかりのこともあり、少し戸惑いを見せ、マサキが真相を今の今まで隠していたことが引っ掛かるのか、信じたい気持ちと疑う気持ちがせめぎあい混乱する様子を
ーーコトリ視点ーー
コトリ「そっか…そう…なんだ…。
でも遺体は誰も見ていないんだよね? ならきっと…ううん、必ず生きてるよ…。
私やアイリス教官にリュネも生きてるし、キールさんだって必ず今もどこかで無事でいるよ……これも約束に加えるよ…一緒にキールさんを見つけだそ…?」
アイリス教官の寂しそうな表情に、私は心を痛める。
でも私はすぐに少し微笑み、教官の手をぎゅっと握って言葉を紡ぐ…キールさんはきっと生きていると信じていて、だから一緒に彼女を見つけ出してあげよ? と約束を交わす。
コトリ「……殺害で暗殺対象か…でも、なんでそんなことをしたのかな…?
パラドクスさんに過去の扉を開かせたのはマサキさんだし、私が過去に行かなければ自分がジェイドだということはバレなかったはずだし……まだ私たちが知らない真実があるのかもね…。」
マサキさんの行動の真相が分からなくて、まだ私たちは過去の真実にたどり着いていないと知る。
コトリ「……ねぇ、アイリス教官…とりあえず、これだけは伝えておこうかな…。
あらためて誓うよ…私は教官より先に死んだりしない……これからどんなことがあっても、私はアイリス教官の側にいて一緒に歩いていくよ…。
それで…キールさんやリュネにマサキさん、そしてアイリス教官が昔みたいに…また一緒に笑えるようにお手伝いする。
約束もしたからね…パーティーをやるなら、四人に加えてマサキさんも呼ぼうねってさ…。
だから…さ……私と一緒に本当の真実を探しだして、またみんな一緒に笑おうよ…?
過去も未来も難しいことも…全部それから考えよう…♪」
迷っているアイリス教官を見て、私は真剣な表情で言葉を紡ぐ。
本当の真実を見つけ出し、それでアイリス教官がどんな答えを出そうと…私はずっと側にいるよ、とあらためて誓いなおす。
辛いことがあっても、これからは一緒に分かち合おうと口にし…ぎゅっと握る手の力を少し強めて。
ーーーー
アイリス「うん..そうだね。ありがとう、コトリ。コトリがいるから、私もブレないでいられるよ」
マサキのことを、罪人として疑いもしない様子の彼女を見て微笑みながら、お礼を言ってまぶしいように見つめ
アイリス「うん....私も貴女にふさわしいような立派な騎士を目指してまだまだ成長しないといけないからね♪教官として..パートナーとして、改めてこれからもよろしく♪よし..」
頬に軽くキスしながら笑うと、少し悩む様子を見せるも頷いて
アイリス「これからマサキのお店に行こうか。私たちになら真相を話してくれるかもしれない。
何が真実で..誰が敵なのか。それではっきりするだろうから。一緒にくる?」
ふっきれたのか先ほどとは異なり自信に溢れた表情でコトリに質問を
ーーコトリ視点ーー
コトリ「うん…♪ 私もね、アイリス教官がいるから強くなれたんだよ…だから、教官を元気にさせてあげられて嬉しいよ♪」
微笑むアイリス教官を見て、私も優しく微笑みを見せて。
心に傷を負って人を避けていた私が強くなれたのはアイリスのお陰だとつぶやき、嬉しそうな…色んな表情を教官に見せて。
コトリ「アイリス教官は今でも立派な騎士だと思うけどな…ん、私もそんな教官に追いつけるよう頑張る。
っ…ふぁ…// あっ…ぅ…キス…ありが、と…う、うん…こちらこそよろし、く…♪」
まだまだ成長するという教官…だから私も今よりもっと成長して、いつかアイリス教官のパートナーになれるように頑張ると改めて心に誓う。
微笑んだアイリス教官に頬へキスされ、私は頬を赤くしてもじもじと嬉しそうにしていて…嬉しくて幸せだけど、まだキスされることには慣れなくて、すぐに顔にでちゃい。
コトリ「ん、もちろん私も行くよ。二人で歩いていこうって約束もしたからね…♪」
重なった手のひら…ぎゅっと優しくアイリス教官の手のひらを握り、私は微笑みかけ。
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